一般財団法人環境イノベーション情報機構
大気中HFC−134a濃度、年14%増の勢い 依然深刻なオゾン層の状況
【地球環境 オゾン層】 【掲載日】2006.07.31 【情報源】環境省/2006.07.31 発表
環境省は2005年度の(1)オゾン層の状況、(2)CFC(クロロフルオロカーボン)などのオゾン層破壊物質の大気中濃度の状況、(3)太陽紫外線の状況−−についての監視結果をまとめ、06年7月31日に公表した。05年の南極域上空のオゾンホールは面積、オゾン破壊量とも、過去10年の中では平均的な規模にとどまったが、今回の報告では「オゾンホールはほぼ毎年大規模に形成されており、年々変動が大きいために、現時点でオゾンホールに縮小の兆しがあるとは判断できず、南極域のオゾン層は依然として深刻な状況」と分析。
またオゾン層破壊物質の大気中濃度については、CFC−12が1990年代後半以降ほぼ横ばい、CFC−11や113は減少していることが報告されたが、一方でモントリオール議定書で生産量削減規制が導入されてないCFCの代替物質・HCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)−22、141b、142b、HFC(ハイドロフルオロカーボン)−134aの大気中濃度が増加傾向で、特にHFC−134aの増加率は00年以降年14%増と著しいことが報告された。
太陽紫外線については、国内の4観測地点中、札幌とつくばの日積算紅斑紫外線量(注1)の月平均値が過去の観測値と同程度かそれより多かった反面、那覇では少なめだったが、その差は天候によるものであり、天気やエアロゾル量などに変化がなければ、いずれの地域も1980年以前と比較して紅斑紫外線量が増加しているという推測が示された。
また世界的な状況としては、ヨーロッパ、南北アメリカ、南極大陸、ニュージーランドなどでオゾン量の減少に伴う紫外線量増加が観測されていると指摘したが、地球規模で統計的に有意な長期的傾向を把握するところまでは至っていないとの見解が示されている。
なお、環境省はこの報告の内容をわかりやすく解説したパンフレット「オゾン層ってどうなってるの?」06年版を新たに作成。環境省ホームページにも掲載した。
(注1)日積算紅斑紫外線量は紫外線が人体へ及ぼす影響の度合を示す量。紫外線が人体に及ぼす影響は波長によって異なるため、280〜400ナノメートルの波長範囲について、波長ごとに波長別紫外線強度に人体への相対的影響度を掛け、積算して求める。【環境省】