成人２０数万人を対象に大気汚染と気管支ぜん息発症の関係を調査へ

【健康・化学物質 アレルギー】 【掲載日】2007.09.11 【情報源】環境省／2007.09.11 発表

　環境省は、関東・中京・関西の幹線道路周辺に住む成人（注３）約２０数万人を対象に実施予定の大規模な症例対照調査（注１）の計画書をまとめ、平成１９年９月１１日に公表した。
　この調査は、同省が大気汚染と呼吸器疾患との関係を調べることを目的に１７年度から実施している大規模疫学調査「そら（ＳＯＲＡ）プロジェクト」の一環として２２年度まで行われるもの。
　「そら（ＳＯＲＡ）プロジェクト」の「ＳＯＲＡ」はStudy On Respiratory disease and Automobile exhaust（自動車排出ガスと呼吸器疾患との関連についての研究調査）の頭文字をとって命名された名称で、プロジェクトの内容としては、小学生を対象に自動車排ガスにさらされている度合いと気管支ぜん息発症の関係の評価を行う「学童コホート（追跡）調査」（１７年度〜２２年度）や幼児を対象とした症例対照調査（１８年度〜１９年度）をはじめ、複数の疫学調査を実施するとしている。
　今回計画がまとまった症例対照調査は、ぜん息に関する症例対象研究及び慢性閉塞性肺疾患に関する研究の２つで、ぜん息に関する症例対象研究では関東、中京、関西の３大都市圏の２０数万人の成人について、自記式質問票を送付して健康状態等を調査する。ぜん息症状が認められた方を症例、認められなかった方を対照として詳細調査を実施して症例対照調査を行い、自動車排ガスのばく露実態とぜん息の発症との関係を評価する。
　また、慢性閉塞性肺疾患の関する研究では調査対象地域の一部で肺機能検査を実施し、慢性閉塞性肺疾患（ＣＯＰＤ　注２）と自動車排ガスのばく露実態との関係について評価する。
　大気汚染物質の測定結果を活用し、詳細調査対象者ごとに大気汚染物質にさらされた量を算出し、それぞれの疾患との関係を評価する手法を用いるとしている。
　調査地域は幹線道路が複数通っている千葉市、世田谷区、川崎市、名古屋市、大阪市、尼崎市、西宮市、芦屋市、神戸市。

（注１）症例群と適切な対照群を設定し、それぞれの群で原因物質へのばく露状況を比較し、ばく露と疾病発生の関連を明らかにする疫学調査。
（注２）公害健康被害補償法の指定疾病である慢性気管支炎及び肺気腫とほぼ同等の疾病。
（注３）４０歳以上７５歳未満　【環境省】