先住民族居住地方のダイオキシンレポート公表される

【健康・化学物質 ダイオキシン】 【掲載日】2001.04.04 【情報源】カナダ／2000.10.04 発表

　カナダのアンダーソン環境大臣は、10月４日、北米地域からカナダ北極圏・ヌナブット準州まで、大気中を長距離移動してくるダイオキシンの排出状況に関する研究報告書（タイトル：Long-range Air Transport of Dioxin from North American Sources to Ecologically Vulnerable Receptors in Nunavut, Arctic Canada）の公表を歓迎した。
　この報告書はニューヨーク市立大学自然系生物学センター(CBNS: Center for the Biology of Natural Systems of the City University of New York)のバリー博士らがまとめたもの。
　環境大臣はこの報告書提出を受けて、「カナダ政府は国民、とくに北方の先住民族の健康に影響を及ぼすダイオキシン排出に重大な関心を持っている。政府は既に2000年度予算で2千万カナダドル（約１5億円）の出資を決めており、これをもとに今後も国内外と提携して他国からの残留性汚染物の排出抑制を働きかけていく」とコメントした。
　この報告は96年7月から1年間のデータを分析しており、ヌナブット地域で観測されたダイオキシンのうち、74〜85％が米国、4〜9％がメキシコ、そして8〜21％がカナダ国内から流入したものだとしている。1年間の観測期間中、カナダはダイオキシンの排出を33％削減したものの、カナダ最大の排出源からの排出量は増加しており、目に見えるレベルでの改善には至っていないとしている。　　　
　環境協力会議（CEC:Commission for Environmental Cooperation：ＮＡＦＴＡ＜北米自由貿易協定＞内で合意された北米環境協力に基づく加米墨3カ国による国際機関）との契約に基づきCBNSでは今後、メキシコや米国・カナダ向けに大気経路を探るためのダイオキシン目録を作成すると している。【カナダ環境省】