一般財団法人環境イノベーション情報機構
世界初 黄砂発生から日本への飛来までの全過程観測に成功
【環境一般 調査/研究】 【掲載日】2002.06.19 【情報源】文部科学省/2002.06.19 発表
文部科学省、気象庁気象研究所などの日本の政府系研究機関、大学、民間企業と中国科学院傘下の研究所が2000年4月から開始した日中共同研究「ADEC(Aeolian Dust Experiment on Climate impact)プロジェクト」(日本側代表者:気象研究所三上正男主任研究官)は、2002年春に実施した特別観測の中で、タクラマカン砂漠で黄砂が発生する様子をとらえることに成功した。この共同研究は日本側が文部科学省の科学技術振興調整費、中国側は中国科学院などによるサポートを行い、5年計画で実施しているもの。
2002年春の特別観測は、4月8日から2週間にわたり、日本国内、タクラマカン砂漠、敦煌など中国国内の黄砂の発生域を含む11か所の観測拠点で行われ、黄砂の舞い上がりの様子や黄砂の発生から日本に黄砂が飛来してくる輸送過程を観測でとらえることに成功した。発生から日本への飛来までの全過程を総合的に観測で捉えたのは世界でも初めての成果。今回集められた観測情報は、今後黄砂現象のより確実な情報提供を行っていくために役立つと考えられる。
なお同プロジェクトの気象研究所グループは、全球スケールの黄砂輸送モデルを用いて、特別観測期間中の黄砂粒子の発生・長距離輸送のリアルタイム予測実験も行った。
2002年1月から4月にかけて日本国内で黄砂を観測した延べ日数は、1967年の観測開始以来最多の962日に達し、2002年は日本への黄砂飛来が激増した年。黄砂は酸性雨緩和作用など環境へのプラス面と、大気汚染物質運搬作用などのマイナス面の両面が指摘されている。【文部科学省】