一般財団法人環境イノベーション情報機構

ヘルプ

サイトマップ

メールマガジン配信中

環境ニュース[海外]

中国 国家環保総局が白洋澱の魚大量死事件の処理状況を公表

水・土壌環境 水質汚濁】 【掲載日】2007.03.06 【情報源】中国/2006.04.06 発表

 国家環境保護総局の担当者は先日、記者会見で河北省中部に位置する白洋澱の魚が大量に死んだ事件について処理状況を説明した。
 同担当者は、06年2月から3月にかけ、同地で魚が相次いで大量に死亡する事件が起き、社会問題となったと説明。事件の後、同局と農業部の専門家、同省政府は合同で調査チームを緊急組織し、現場での原因調査活動を実施したという。調査結果によれば、水質汚染が深刻で、水中溶存酸素の濃度が低下したことが大量の魚が死亡した主な原因と判明した。ただ同地とその上流水域の20ヵ所の観測地点で計9項目の指標について水質調査を行ったところ、現在すでに若干の改善が確認されている。
 水質汚染の原因について、同担当者は主に4点を指摘。第一に、同省保定市の汚水処理場の建設が停滞していることが原因。大量の工業排水や生活廃水が未処理で白洋澱に流入している。同市や市内各区では1日当りの生活廃水と工業排水が約25万トンに達し、既存処理施設の汚水処理能力は1日当たりにわずか16万トン程度で、約9万トンもの汚水が未処理のまま府河を通じ、同地に流入している。
 第二に、満城県内の製紙工場の廃水量が大きく増加したことを指摘。ここ数年で、特に大册営鎮製紙工業区を中心とする同県内の製紙産業が過度に発展し、県内全域には計156ヵ所の製紙工場が存在する。1日当たりの汚水排出量は8万トンにまで増加し、大册営鎮汚水処理場がそのうちの3万トンを処理するほかは、5万トンの汚水は簡単な処理の後に漕河に流入するという。
 第三に、同地が恒常的に低水位で、今年は水量の補充が比較的遅れたことも原因と説明。05年、水量の補充量はわずか4251万立方メートルで、冬季に入ってからは持続的な干ばつに見舞われ、同地では汚染物の濃度が上昇。水質の悪化につながったという。
 第四の原因として、環境保全に対する意識が欠落した一部企業が秘密裏に汚水を排出していることも指摘した。調査グループが行った汚水排出調査では、銀定庄と満城大册営鎮の2ヵ所の汚水処理場が正常に稼動していないことも発覚したという。特に保定市新市区内に位置する28社の製紙企業のうち、27社が汚水排出基準の安定的遵守ができていない。
 同市政府は3月19日から府河の汚水をせき止め、一時的な処置として現在は唐河貯水池に排水を行っている。また安定した排水基準遵守ができていない218社の企業に対し、閉鎖や生産停止または汚水排出制限を命じたほか、違法な汚染物排出を行っていた11社の企業には処罰を実施。同時に、白洋澱の水補充も緊急で行われ、安格庄ダムと王快ダムから同地に向け5000万立方メートルの水を補充する見込みである。一方で同市政府は漁民の生活と漁業活動の困難を解決する補償方案も策定済みで、現在は賠償金の準備が完了している。
 今回の事件に関し、保定市政府は新市区を主管する区長に対し行政警告処分を実施。環境保護局長には過失を記録する行政処分を行い、2年間は同等の職位に就任することを禁じた上で引責辞職させた。そのほか汚染対策と監査を主管する副局長2人と、満城県政府の副県長、同県大册営鎮の鎮長(共産党委員会副書記)に対しても過失を記録した上で免職させ、同県環境保護局局長と同鎮の副鎮長の2人には、降級とした上で現在の役職を引責辞任させた。【中国国家環境保護総局】

情報提供のお願い(企業・自治体の方へ)

記事に含まれる環境用語

プレスリリース