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環境ニュース[海外]

中国 ゴミ処理に存在する三大問題 ゴミ処理が初めて環境保護重点に

ごみ・リサイクル ごみ処理】 【掲載日】2007.05.25 【情報源】中国/2006.07.25 発表

 建設部都市建設司の張悦副司長によると、中国では660都市の生活ゴミ量が毎年4%の速さで増加しており、総量は1.5億トンにもなる。各地方のデータ統計によると、都市の生活ゴミ無害化処理率は51%である。しかし、255都市の388ヵ所の生活ゴミ処理場の調査分析に基づけば都市生活ゴミ無害化処理設備基準合格率は約25%に過ぎず、運行管理などの要素も考慮すれば、実際の処理率は20%にも満たない。ゴミがもたらす環境汚染、市民(特に農民)への悪影響の問題は非常に深刻である。近年、中国は積極的な財政政策を実施し、都市ゴミ処理プロジェクトは相応の支援を受け、一連の国債プロジェクトも相次いで建設・完成している。同時に、市場化改革の推進によって、投資主体の多元的構成が形成されつつある。
 ゴミ処理には以下の問題が存在している。
 第一に、埋立処理の割合が大きすぎる。現在、ゴミ埋立処理の割合は85%を超え、多くの土地資源を消費している。多くの浸透液が生じる同時に、埋立場の気体が大気汚染をもたらしている。規範的無害化埋立場の建設も、想像以上の投資が必要となる。日量処理能力1000トンの埋立場には、2、3億の投資が必要となり、1トンあたりのゴミ処理コスト(投資コストを含む)は60〜80元に達する。
 第二に、ゴミ燃焼処理の発展が速すぎて、プロジェクト着工に安全上の課題とリスクが存在する。現在、50の生活ゴミ焼却場が稼動しており、100近くのゴミ焼却事業が現在計画・建設中である。そのうち、広東省東莞市だけでも10数ヵ所のゴミ焼却場建設を計画している。ゴミ焼却発電は、ゴミ減量化と熱エネルギーの利用に一定の優位性があるが、問題は冷静に考慮しなければならない。まず、投資・運行コストが高いこと。処理能力日量1000トンのゴミ焼却事業には4〜6億元の資金が必要であり、1トン当たり平均ゴミ処理コストが150元以上必要である。次に、ゴミ焼却発電は高い電力網接続価格に依存していること。石炭火力発電の電力網接続料は1kWhあたり約0.3元であるが、ゴミ発電の電力網接続価格は0.5元以上である。発電収益を追求するため、一部の企業では石炭を過剰投入し、「小火力発電」事業と化している。さらに、焼却で発生した灰塵が正しく処理されていないこと。この他、ゴミ焼却で発生したダイオキシンによる汚染問題も社会の関心を集めている。中国の生活ゴミ発熱量は低く、先進国の約1/3しかないので、焼却には適していない。
 第三に、バイオコンポスト技術が発展しておらず、国債事業が「ゴミ事業」となっている。生活ゴミを利用したコンポストは、中国で長い間採用されてきたが、効果はあまり上がっていない。問題は、分別効率が低く、肥料の質が悪い上、市場販売ルートがないことである。最近検査を行った四川、安徽のゴミ処理事業の多くは機械分別とバイオコンポスト技術を採用していたものの、いずれも正常に稼動していなかった。
 中国の都市生活ゴミ処理の取るべき方向性は、まず中国の生活ゴミの特徴を改めて認識し、考え方を整理しなければならない。主な特徴は、先進国と違い水含有量が高いということである。一般には55%〜65%とされているが、南方の都市では、夏には70%にも達する。しかし、西側先進国は普通30%〜35%である。同時に、中国の生活ゴミには、台所ゴミ、食べ残しなどの有機廃棄物の割合が大きく、45%〜55%あり、西側先進国では普通20%程度である。また、中国の生活ゴミは依然混合収集が主流であり、ここ数年分類収集を推進しているにも関わらず目立った成果は現れておらず、全国の大部分の都市では混合されたままの生ゴミを処理している。これに対し、先進国の生活ゴミ分類収集率は60%以上で、ドイツなどの一部欧州諸国では80%を超えている。このような特徴から、中国の生活ゴミ処理問題は先進国よりも厄介である。第一に、ゴミ埋立で発生する浸透液は大量で汚染濃度が高い。第ニに、生活ゴミの発熱量が低く、大部分は直接焼却に適さない。第三に、混合ゴミには粘着性があり機械化分別が難しいため、資源回収率が低く、コンポストの質が低い。中国は長年にわたり国外の先進技術や設備を導入し研究してきたが、それらの技術や設備は中国にそのまま適用できなかった。当面の急務は、中国の生活ゴミの特徴とその影響をよく認識し、中国に適した技術・設備を開発することである。
 これらの問題に対し、ゴミ処理の技術路線を整備する必要がある。第一に、大部分の都市の生活ゴミを、生物前処理して、ゴミの水分や有機物を重点的に削減し、ゴミの特性を改善し、後続処理と汚染物削減の条件を整える。北京順義ゴミ焼却場の検査によると、生活ゴミは、簡単な生物醗酵と篩い分けにより50%近く減量化でき、発熱量は約2.5倍上げられ、技術経済効果を高められるという。第二に、ゴミの機械化分別を強化し、混合ゴミの分別効率を高める。生物前処理は、機械化分別に有利な条件を作り出す。また分別設備の性能の改善も重要である。そのため、中国は、国産分別設備の研究・開発に適切な支援を出すよう提言している。第三に、分別処理技術を合理的に採用し、優位性を相互補完させる。第四に、混合ゴミ焼却技術の発展を慎重にし、技術・経済的総合評価を強化する。第五に、混合ゴミ直接埋立を規制し、根本から汚染を抑え、土地消費を削減する。第六に、生活ゴミの最終処理段階で、直接に回収できる廃棄物は20%を超え、そのうち、プラスチックとゴムが6%〜9%を占め、紙類は4%〜6%、ほかにも一定量の繊維・金属・ガラスなどがある。機械化分別技術問題を解決すれば、ゴミに含まれる使用可能資源の大部分の直接回収が可能になり、同時にゴミ総量の8%を占める良質の基本肥料の生産が可能となり都市緑化や林業に転用でき、資源回収効率を更に高められる。また、廃棄物加工利用の監督管理を強化し、規範化・大規模化された資源再生産業を発展させることで、都市政府は関連政策の制定に取り組み、基準に符合するゴミコンポストについて都市緑化と林業における優先的使用を奨励し、化学肥料の使用を徐々に削減していくようにする。【中国環境報】

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