次第に、大小の島が見えてきた。島といってもほとんどは岩山で、むしろ大きな岩礁といった方が印象に近い。周囲はほぼ垂直に切り立つ崖になっていて、たくさんの海鳥が羽を休めている。
「このような急峻な崖は、海鳥の繁殖地になっています」
確かに、カモメのような白い鳥や、鵜のような鳥がとまっている。
「あれ、パフィンっていうんだって」
水面に、何とも愛嬌のある鳥が浮かんでいる。大きさはハトと同じくらいか一回り小さいくらいだろうか。
「飛ぶよりも、海の中で泳ぐほうが得意なんですって」
船が近づくと飛んで逃げるのだが、羽ばたいてもなかなか海面から離陸できず、海面を這うように移動していく。
「えさを食べ過ぎて、飛べなくなってしまいました」
レンジャーの解説に、乗客の間に笑いがこぼれる。
他の岩礁の上には、トド(ステラーズシーライオン)が大きな群れをなしていた。このトドは、現在は
絶滅危惧種に指定されている。遠くからでも、その大きな鳴き声が聞こえる。