一般財団法人環境イノベーション情報機構
作成日 | 2003.09.12 更新日 | 2009.10.14
高度処理(排水の)
コウドショリ 【英】Advanced WastewaterTreatment
解説
富栄養化対策として、窒素やリンを除去する排水処理方法。
現在の標準的な下水処理方法は、有機物(=汚れ)の除去には効果がある一方で、栄養塩類である窒素やリンが十分に除去できない。栄養塩類の流入が増加すると、それを栄養素にして、生物の繁殖が活発になる。この現象を富栄養化といい、藻類等の異常増殖を招き、その結果、水中の酸素消費量が高くなって貧酸素化したり、また藻類が生産する有害物質による魚介類の死滅を引き起こすこともある。水質は累進的に悪化し、透明度が低く、水は悪臭を放つようになる。
現在の標準的な処理方法は、下水に活性汚泥(微生物の塊)を入れて空気を吹き込むことで、下水に含まれる有機物を微生物の力で分解する。分解後は、汚泥を沈殿槽で分離し、処理水は塩素消毒をして、放流する。
高度処理では、酸素条件を変えた反応槽を通すことで、窒素とリンを効率よく除去することができる。下水中のアンモニア性窒素は好気性条件で硝化細菌によって硝酸化され、その後無酸素槽で脱窒細菌の呼吸によって窒素ガスとして大気中に放出される。一方、リンは好気条件で微生物体内に蓄積され、沈殿汚泥といっしょに取り除かれる。