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環境ニュース[海外]

中国 専門家が環境税実施方案を提示 グリーン税制の実施は不可欠

環境一般 調査/研究】 【掲載日】2007.05.24 【情報源】中国/2005.12.08 発表

 11月29日に閉幕した「東アジア環境・自然資源経済学フォーラム」上で、中国環境計画院、財政部財政科学研究所、税務総局科学研究所、社会科学研究院財政、貿易研究所の4研究機関は共同で環境税制実施案を提出し、独立型環境税案、浸透型環境税案、環境税・費用案の3つの案を示した。情報によると、将来的には中国はこのうちいずれかの案を採用するか、あるいは複数の組み合わせによる新案を採用する。
 独立型環境税案は一般環境税、直接汚染税、汚染製品税を含む。中でも一般環境税は収入に基づく環境税で環境保護資金の調達を目的とする。“受益者負担原則”に基づき、全ての環境保護の受益者に対し徴収を行う。増値税、消費税、営業税といった“三税”を納付する個人・団体は全て一般環境税の納付者となる。初期税率は“三税”の1〜3%に定める。
 直接汚染税は“汚染者負担”を徴収原則とし、汚染物質排出量により計算される。現在主な汚染物質については汚染排出課徴金制度が実施されているが、このうち二酸化硫黄窒素酸化物を税に改める。実施コストの削減のため、納税者を石炭石油の使用者に限定できる。例えば石炭使用者については、石炭に含まれる硫黄含有量により税率を確定する。硫黄含有量が多いほど税率は高くなる。
 “使用者負担”を原則とする汚染型製品税の対象は石炭、ガソリンなどで、燃料環境税、特殊製品汚染税などに分かれる。例えば石炭環境税の税率はSO2の税率を参考に平均値を20元/トンとして税率を定める。ガソリン環境税の場合はガソリン0.2元/リットル、軽油0.15元/リットル。化学肥料・農薬、リン洗剤、使い捨て食器、水銀クロム電池などの製品・消費財は特殊製品汚染税が課せられ、1〜3%の税率を定める。
 浸透型環境税案は環境税税目を設定しない。消費税、資源税、水資源環境税、都市維持建設税、耕地占有税、車両・船舶使用税などの既存の税目を改革・改善し、環境費徴収制度と融合させ、環境税として運用する。提案内容によると、消費税中に資源消費量の割合が大きく、汚染度の高い製品に対する税目を新たに定める。石炭およびクリーンエネルギー消費税目を新たに定め、差別化税率を実施する。石炭消費税は石炭使用の環境コストを考慮し、クリーンエネルギーは低税率を適用する。資源税中の淡水資源税、森林資源税、草原資源税を追加し、石炭、石油、天然ガス、有色金属・鉱物の資源税率を調節する。これら資源の希少性や生態補償と回復コストを税率に組み込む。水資源環境税を新たに設け、水を使用する全ての個人、団体、企業は水道代の20〜30%の水資源環境税を徴収する。都市維持建設税、耕地占有税、車両・船舶使用税など既存の税目に、追加や税率調整を行うことで、浸透型環境税案を実施できる。
 環境税・費用案は既存の環境費徴収制度を維持し、汚水処理費徴収、二酸化硫黄排出費徴収などの環境費徴収中の比較的大きな徴収項目を環境税に転換し、炭素税、生態税、ODS税を検討する。このほか税制の一部優遇規定により環境保護行為を奨励し、それに伴う環境税方式の支出政策を環境税政策制定の検討範囲内に組み込む。
 環境税収案は易しいものから難しいものへ、古いものから新しいものへ、浸透から単独制定へといった方法で行う。まず環境保護に不利なタイプの補助・税制優遇政策を停止し、次に環境税費の統合を総合的に検討する。さらに浸透型環境税案を実施し既存の税制のグリーン化を行い、独立型環境税を導入する。【中国環境報】

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