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No. アメリカ横断ボランティア紀行(第13話) レッドウッドのボランティア(野生生物編)
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Issued: 2007.11.01
レッドウッドのボランティア(野生生物編)[4]
 目次
 昼食は、スミス川というダムのない清流の川原でとる。とても気持ちがよかったが、電波の状態が悪くならないうちに、早々に出発することにした。また同じルートを戻るので、再度トラックをとってみる。今回は少し電波状態が悪くなった上に、バックパック型の方は途中でバッテリーが切れてしまった。
 それでも、今回の調査結果は、2台の端末でそれぞれ行き帰りに記録した4本の軌跡がかなりよく重なっていた。
 「ありがとう。これで歩道のルートが大体わかるわ」
 ジュディーさんはとても喜んでくれた。
 これ以降、同じような依頼が数件飛び込んでくることになり、私たちもGPSの扱いに慣れてきた。
スミス川の川原で昼食をとる

<妻の一言>釣りとカヌー
クラマス川の河口部分。トドが餌をとっていたり、アザラシが砂嘴(さし)の上で日向ぼっこをしている姿を観察することができます。河口のすぐ近くまでクジラが接近することもあるそうですクラマス展望台からはクジラの背中や潮吹きを見ることができます
クラマス川の河口部分。トドが餌をとっていたり、アザラシが砂嘴(さし)の上で日向ぼっこをしている姿を観察することができます。河口のすぐ近くまでクジラが接近することもあるそうですクラマス展望台からはクジラの背中や潮吹きを見ることができます

 レッドウッド国立州立公園付近は、森林地帯に源を持つ大小の河川とフンボルト海流などとの関係から、海産物が大変豊かだと言われています。特に、公園中央付近に河口を持つクラマス川の河口には、トド、アザラシなどが見られ、秋には天然のキングサーモンの群れが川を上るそうです。南の暖かい海で繁殖を終え北上するクジラは、途中滅多に餌を食べないと言われていますが、この河口付近では時々餌を食べている姿が見られるそうです。私も一度河口の高台にある展望台から、クジラを見たことがありますが、かなり近くに来ているものもありました。
  魚も、脂ののったタラ、アイナメ、カサゴなどが獲れるそうです。ところが、スーパーマーケットに行ってもそういう魚にはお目にかかれません。ダンジリンクラブと呼ばれる大きなカニは漁港近くで売られていましたが、値段は驚くほど高く、手が出ません。
  仕事中、国立公園のメンテナンス部門のティムさんが、
  「船を借りて釣りに行くと、食べきれないほど釣れるよ」と教えてくれました。そこで、私たちも釣りを始めることにしました。
  釣具は日本とは少し違いました。不思議な仕掛けも多く、どれを使っていいかわかりません。とにかくスーパーでリール竿、おもり、テンビンを買いました。遊漁証は州外者80ドル、居住者30ドルくらいだったと思います。主人がスーパーのカウンターで購入したら30ドル、私が職場近くの荒物屋兼レンタルビデオ店で購入したところ80ドルでした。ちょうど居住者と州外者の中間だったということでしょうか。
  おもしろいことに、ライセンスが必要なのは自然の岩礁などから釣る場合のみで、堤防や桟橋など人工物から糸を垂れる場合には遊漁証は必要ありませんでした。ただし、実際には堤防は立ち入り禁止のところが多く、許可証を持っていた方が自由に釣りができます。餌はイカや魚の切り身を使うことにしました。
桟橋での釣り
桟橋での釣り
港ではトドがお昼寝していました
港ではトドがお昼寝していました

  私たちが釣りを始めたことを聞きつけた上司のスコットさんが、オープンデッキのカヌーを貸してくれました。マス釣りには不可欠だそうです。カヌーはとても面白かったのですが、マスは1匹も釣れませんでした。
スコットさんからお借りしたカヌー
スコットさんからお借りしたカヌー
カヌーでのマス釣り
カヌーでのマス釣り

  海釣りの方も、食べられるような魚は全くといっていいほど釣れませんでした。ただ、アイナメを狙っていたらカニが釣れてしまったことがありました。針に何か引っかかったので、糸が切れないようゆっくりと引き上げると、大きなダンジリンクラブがかかっていました。その日は結局カニが2匹「釣れ」、サイズも十分大きかったので持ち帰ることにしました。少しグロテスクなカニでしたが、そのまま茹でて味噌で味付けしてみました。すると、とても味が濃く、旨味がありました。2人とも期待をしていなかっただけに、思わず目を見張りました。
ダンジリンクラブ
ダンジリンクラブ
  釣りの方は、それ以降も「ボウズ」続きでした。投資したお金もほとんど回収できませんでしたが、ラグーンでのカヌー、カヌーでの昼寝、海の風景、近くに顔を出すアザラシ、悠々と旋回し水に飛び込むペリカンなど、釣りをしながらいろいろな風景に出会うことができました。
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記事・写真:鈴木渉(→プロフィール

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