「現在、デナリ国立公園では、バックカントリー管理計画(Backcountry Management Plan)の策定作業を行っています【1】。この計画は、ノースアクセスルートを含め、現在この公園が抱えている幅広い問題についても検討の対象としています」
「国立公園の利用レベルの設定は、VERP【2】という手法に基づいて設定されています。このバックカントリー管理計画案でも同様の計画手法が用いられています」
デナリ国立公園のバックカントリーにふさわしい利用者の経験レベルや混雑度合いとはどのようなものなのか、また、脆弱な植生や野生生物への悪影響を回避するための指標とはどのようなものなのか、などについて検討が続けられているという。
「今回のバックカントリー管理計画案では、利用者のバックカントリー経験の質を次のような指標を用いて判断しています」
- Solitude(独居感):到達可能で、頻繁に利用されている地域ながらも、自然景観が維持されていて、人工物はほとんど目に入らない。利用者は、最盛期を除くと、通常は1日10組を超える他の利用者とは遭遇しない。
- Primitive(原生的):ほとんど利用者がなく、あたかもまだ新たな発見があるかのように感じられる地域。1日に遭遇する他の利用者はおよそ2組までで、アクセスポイント以外では自然資源への影響がほとんど見られない。
- Natural(自然):ほとんど踏査されていないように見え、利用者はこれまで誰も訪れたことのない原生自然に入り込むかのような印象を受ける。他の利用者との遭遇は、一週間に3組以内。
- 目に見える範囲にいくつテントが見えるか
- キャンプサイトがどの程度使われているように見えるか。
- 1つのパーティーが目にするゴミや人の排泄物の頻度
「つまり、このような受け手側の感覚として把握されるような自然環境の変化を目安として、バックカントリーの状態や変化を把握し、管理していこうというわけです」