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Issued: 2009.05.07
シリーズ・もっと身近に! 生物多様性(第18回)
 環境に経済不況を克服するヒントあり:愛知環境賞の事例と生物多様性
 COP10開幕まで残り1年半。最近は、金融危機や雇用不安など暗いニュースが続きます。COP10開催地の東海地域も厳しい情勢にあるのは例外ではありません。モノづくりの現場の疲弊も指摘されます。
 そのような厳しい情勢のなかで、環境技術や地域づくりを通じて経済や雇用を生み出していこうという機運が高まっています。環境配慮型の自動車や自然再生型のエネルギーへの投資を通じて、雇用や産業を生み出そうとする、いわゆる「グリーン・ニューディール政策」。
 「環境か 経済か」という二律背反の問いではなく、低炭素社会形成や生物多様性の保全など環境への配慮を通じて、経済の発展を達成していこうとする姿勢が国際的にも鮮明です。その実現のためには、モノづくりと同時に、次世代のヒトづくりである教育が鍵となります。
 今回は、今年2月に「愛知環境賞」を受賞した数多くの事業所と教育活動のなかから、生物多様性に関わる取り組みとして、金賞を受賞したカゴメ株式会社、優秀賞 技術・事業部門の大同エコメット株式会社・中澤建設株式会社、東海リソース株式会社と活動・教育部門「ヒトづくり」での優秀賞の栄光八事幼稚園の4つの事例を紹介します。
 目次
愛知環境賞
在来種クロマルハナバチの受粉利用 〜カゴメ株式会社
化石燃料に代えて木炭を利用し、CO2の削減&木くずの利活用を 〜大同エコメット株式会社・中澤建設株式会社
幼稚園における自然環境教育の取り組み 〜栄光八事幼稚園
まとめ
愛知環境賞
 「愛知環境賞」は、資源の循環や環境負荷の低減を目的とした、企業、団体等による先駆的で効果的な技術、事業、活動、教育の事例を募集し、優れた取り組みに対して表彰するとともに、広く一般に紹介することによって、新しい生産スタイルや生活スタイルを文化として社会に根付かせ、資源循環型社会の形成促進をねらいとしています。
 2005年より、東海地域の企業の事例が紹介してきました。以下は、08年度の受賞事業です。
在来種クロマルハナバチの受粉利用 〜カゴメ株式会社

◇概要
 カゴメは企業理念に基づき、ブランドのありたい姿としてお客様に提供する価値を定め、全ての企業活動を一貫して展開しています。その考えの下、環境保全活動にも積極的に取り組んでいます。
 この度、これまで取り組んできた食の安心・安全と環境に配慮した地道な活動を評価頂き、『2009愛知環境賞』の金賞を受賞致しました。
 今回は、カゴメの環境に配慮した活動の一つとして、生鮮事業における取り組みをご紹介します。
 なお、カゴメの環境への詳しい取り組み内容は、社会・環境報告としてホームページ等で開示しています。

企業理念とブランドプロミス
環境方針
企業理念とブランドプロミス 環境方針(出典:カゴメ株式会社)

◇生態系・生物多様性との関連性
 カゴメでは、環境方針に従い様々な取り組みを進めています。今回は、このうち、地球環境・生態系への配慮として生鮮事業におけるマルハナバチ利用の取り組みについてご紹介します。
 カゴメでは、10年前から大型ガラス温室を備えた菜園で、安全でおいしい生鮮トマトを生産し、皆様にお届けしています。そして当初から、マルハナバチによる自然受粉の促進にも取り組んでいます。
 これにより、以下のメリットがあると考えています。
 (1)人手による授粉処理に比べ、マルハナバチを利用した方が迅速かつ省力化が進む
 (2)安心・安全な商品提供のため、いわゆるIPM【1】の考えに従い、化学合成農薬の使用をできるだけ少なくして天敵や生物農薬の利用を積極的に進める上からも、マルハナバチの利用に影響を及ぼす殺虫剤が使いにくくなるため、農薬使用量低減の一助にもなる
 (3)ホルモン処理をする場合と比較すると、種子が多くできるため、果肉やゼリー部がしっかりしたトマトになりやすいという副次効果が期待できる

【1】 Integrated Pest Managementの略。様々な防除手段を組み合わせて必要最小限の農薬散布にとどめ、病害虫を低密度に抑えその状態を維持すること。

◇苦労・苦心した点
 現在でも、マルハナバチの主流はセイヨウオオマルハナバチのようですが、この種は2006年9月1日に外来生物法に基づく特定外来生物に指定されました。
 それまでは、セイヨウオオマルハナバチのみが実用化されていたため、当初はカゴメでも同種を利用していました。2004年に「特定外来生物の生態系への影響を考慮した法律の制定が検討され始めた」とマルハナバチ生産業者から連絡を受けました。
 そして、生産業者から日本在来種であるクロマルハナバチについて、ほぼ同等に実用利用できる状態にあるとの情報を入手しました。
 そこで、法制化の動きに関係なく、事業部門自らがカゴメは食の安心・安全と環境に配慮するとの考えに基づき、生態系への影響が少ないと考えられる在来種のクロマルハナバチに全面切替することを決め、2004年のうちにカゴメ大規模菜園での全面切替を完了しました。現在も、全国8ヶ所、約45haのカゴメ大規模温室では、クロマルハナバチのみを利用しています。

 クロマルハナバチは、セイヨウオオマルハナバチと比べ働きが悪いとか、寿命が短いと言われることもあるようですが、これまでの経験から、クロマルハナバチは臆病なため、落ち着いてから温室内で巣箱を開けて利用し始めるなど、性格の違いを理解して適切に管理すれば機能に差はないと理解しています。


◇地元との関係・COP10に向けて
 カゴメは1899年(明治32年)に創業者の蟹江一太郎が、現在の東海市で西洋野菜の栽培に着手し、最初のトマトの発芽を見て以来、愛知県出身の企業として、農産物の生産・加工・販売を中心とした事業活動を通し、自然の恵みがもたらす価値を、最善の方法でおいしく、楽しく磨き上げ「よい食事」を誠実に提供し、皆様の健康長寿に貢献することを目指しています。
 それゆえ、これからもお客様との約束である「自然を、おいしく、楽しく。K AGOME」を果たすため、安全で安心な食の提供とともに、自然の恵みを提供してくれる地球環境に感謝し、自然生態系も尊重し企業活動を進めて参ります。

トマト
トマトとマルハナバチ(出典:カゴメ株式会社)
マルハナバチ
化石燃料に代えて木炭を利用し、CO2の削減&木くずの利活用を 〜大同エコメット株式会社・中澤建設株式会社

◇概要
 廃棄処分されている未利用の木質バイオマス資源(木製廃パレット、伐採木・剪定枝(樹木廃棄物)等)を利用して炭化物を製造する企業と炭化物を製鋼原燃料(電気炉製鋼用のコークス代替、電気炉ダスト溶融設備用の重油代替等)として工業的に利用する企業が連携を図り、木くずを利活用するリサイクル事業を実施しています。

全体システムフロー
全体システムフロー(出典:大同エコメット株式会社・中澤建設株式会社)

 (1)本事業は、化石燃料消費量の低減や地球温暖化防止といった社会的要請を受け、製鋼業にて製鋼電気炉使用コークスをカーボンニュートラルな資源である木質バイオマス(木炭)に代替する他、資源循環とゼロエミッションに貢献している電気炉ダストのリサイクル設備において、新たに木炭を重油代替として活用するものであり、木炭の化石燃料代替によるさらなる環境負荷の低減が可能となります。
 (2)事業形態としては炭化物製造事業者及び炭化物利用事業者がネットワークを組んだ全国に先駆けた取り組みです。

木くずを用いた、炭化物製造事業と炭化物利用事業
木くずを用いた、炭化物製造事業と炭化物利用事業(出典:大同エコメット株式会社・中澤建設株式会社)

【環境負荷低減効果】
 (1)木炭の化石燃料代替により、製鋼用電気炉は1.5%/年、電気炉ダストリサイクル設備では4.1%/年のCO2排出量の削減が可能となります。
 (2)エネルギー収支としては、廃棄していた木くずの保有熱エネルギーを炭化物の熱エネルギーとして約35%回収可能となります。

【啓発効果】
 愛知県は臨海部を中心に製鋼メーカーが多く立地しており、それらの事業所に本システムを拡大展開すれば、原料供給と製鋼業が一体となった木質バイオマスのネットワークを形成することになり、愛知県全域でのゼロエミッションとCO2排出量削減を促進することができます。
 さらに将来的には炭化物原料として未利用間伐材や林地残材等の利用により、林業分野との連携を視野に入れた展開も可能となり、新しいビジネスモデルの構築によって新規雇用の創出が期待できます。
 また、県内ではこれからも様々な整備事業に伴う土地造成事業から多量に伐採木等の排出が予想され、本事業の実施によりこれら木くずの受け皿となるモデル事業を構築できます。

◇生態系・生物多様性との関連性
 産業革命以降、化石燃料を大量使用した結果、二酸化炭素(CO2)の大量排出により、我々は、地球温暖化という大問題に直面しています。また、化石燃料枯渇問題から、地球温暖化対策とともに新たなエネルギー源発掘は、緊急の課題です。
 バイオマスとは、生物資源(bio)の量(mass)を表す概念で、「再生可能な、生物由来の有機性資源で、化石資源を除いたもの」です。中でも木質バイオマスはもっとも身近なバイオマスの一つであり、燃焼させると、CO2と燃焼灰が発生しますが、このCO2は植物の成長によって吸収されるため、大気中のCO2濃度の上昇に実質的に影響しないことが国際的に認知されています(カーボン・ニュートラル)。
 また、木質バイオマスは、光合成によって生成する有機物のため、生命と太陽エネルギーがある限り持続的に利用できる資源であり、そのエネルギーは、化石燃料とは違って、再生可能な循環型エネルギーといえるものです。
 日本は、国土面積の67%が森林であり、木質バイオマスエネルギー利活用の推進により、林業の振興、森林保全による生物多様性の保全など、多面的な効果が期待できると考えています。

◇苦労・苦心した点
 平成18年6月からが木質バイオマスの可能性を探ってきました。例えば、担当者の製鋼技術者は、無煙炭(中国産の大西炭、ベトナム産のホンゲイ炭等)が製鋼用電気炉で使用されていた過去を知っていたため、木質バイオマス=木炭と結び付けましたが、さらなる情報収集を行なう必要がありました。関連するシンポジウム、講演会に参加してきました。
 NEDOのバイオマス補助事業への応募を検討する中で、木質ペレット事業を行っている愛知県豊根村をたびたび訪問することになり、県内にも自然いっぱいの村があることを知るとともに、製炭炉メーカー社長、商社マン、行政関係者、大学の先生等、今回の仕事を通じていろいろな人と交流を深め、意見交換できた事は大きな財産となりました。
 なお、本事業は、法規制の壁をクリアするため紆余曲折ありましたが、最終的には平成20年度愛知県循環型社会形成事業費補助金交付により中澤建設(株)に炭化設備を設置できることになったため、本格的な事業化への道が開けた訳です。

◇地元との関係・COP10に向けて
 愛知県の森林率は43%で四大都市圏では一番大きく、工業県という顔を合わせ持っているにも拘わらず、豊かな生物多様性を育む土壌に恵まれています。史上初の環境博となった愛知万博の「自然との共生」は、今後も引き継いで行かなければならない永遠の命題であります。
 製鋼業にとっては、木質バイオマス利用による温室効果ガス排出量削減が最大の目的ですが、眼を転じますと、県内では、森林保全という観点からの間伐材処理さらには数年後には設楽ダム工事に伴って発生する伐採木の処理が課題となることは容易に予測されます。
 これら課題についても、今回のモデル事業実施により、よりよい指針と方向性を出すことができるだろうと考えています。

幼稚園における自然環境教育の取り組み 〜栄光八事幼稚園
おたまの池(出典:栄光八事幼稚園)

◇概要説明
 自然あふれる環境の中に位置する栄光八事幼稚園では、毎日のように虫と遊び、花や木々と触れ合い、鳥のさえずりを当たり前のように聴いて生活して来ました。ところが、平成7年、園長先生から、ひとつの問題が提起されました。
 「大変だ。今、地球の環境汚染で大気に穴が空き、有害な紫外線が直接降り込まれているらしいよ、太陽の光を30分以上浴び続けるのは大変危険らしい…」
 とにかく驚きました。今まで外でいくらでも遊んでいた子供たちに、外遊びの時間制限があるなんて…。その時から、我が園での本格的な環境教育が始まりました
。  それでは、どんなことから手がけていけばよいのでしょう、そう考えた時、ふと、幼稚園の周りが自然環境そのものであることに気づきました。私たちの住んでいるこの場所は、まさに自然の宝庫。特に、どんぐりのなる木が多く、アベマキ、カシワ、クヌギ、コナラ等、様々な木々が生息し、また、自然の中に暮らす鳥や虫やトカゲ、カエルなども、こんな身近な場所で生活しているのです。ぜひそれを子供たち自身に気づいてもらいたい、そんな思いから作成されたもの、それが『環境マップ』でした。

環境マップを持って、園内散策(出典:栄光八事幼稚園)

 始めは、環境マップを片手にひとつひとつ木々の名前を確認したり、観察したりしていきましたが、次第に楽しみながら木々の名前を覚えられるようウォークラリーをしたり、クイズ形式にしたり、充分に親しめる工夫が行われるようになり、やがて木々に集まる虫や鳥など、様々な生き物の生態系について知る機会も増えて行きました。また、平成14年度のISO14001認証取得をきっかけに、エコ活動も本格化し、平成15年には、名古屋市より名古屋キッズISOモデル園に認定され、環境紙芝居『水のたび』を作成し、上下水道局より感謝状をいただきました。
 それ以降様々な環境に関するイベントに多数参加させていただき、いろいろな場で環境保全について学んで参りました。さらに平成17年に開催された「愛知万博」の出演をきっかけに、「ワンガリ・マータイさん歓迎行事」にて環境劇を行なったり、「国際生物多様性の日」のイベントに参加させていただいたりと、様々なイベントに関わらせていただく機会も多くなり、園内における環境教育の内容も、自然に親しみ、関わるだけでなく、共存し、守りあうことへと発展していきました。
 最近では、生態系、食物連鎖などを学ぶ機会を増やし、命の大切さや、命の繋がりを話し合い、自分達が生活していく上で、どんなことができるだろうと真剣に考えています。平成21年には、いよいよ名古屋にてCOP10が開催されます。大きな期待と共に「生物多様性の保全」について、子供たちと学んでいくことを計画しています。
ダンゴムシの観察(出典:栄光八事幼稚園)

◇生態系・生物多様性との関連性
 四季折々の自然を散策したり、触れたり、遊んだりすることは、生態系を知り、いきものとの共存を実感していく上でもっとも大切なことです。環境マップを片手に園内を散策し、木々の名前をひとつひとつ確認してみるといろいろな発見があります。いつも何気なく遊んでいる園庭で、こんなにも様々な種類の木があるとは思いもしないことですので、新しい発見に子供たちは興味津々、葉っぱの形にもいろいろあることを知りました。  また、葉っぱの形から木々や草の名前を知ることができるということも、なかなか意識しないとわからないことです。
 幼稚園の周りにはいろいろな生き物が生息しています。これまで環境マップあそびを通して、自分達の周りの様々な生き物たちと出会い、身近な生き物に関わり、親しみ、お世話をすることで生態系や命の大切さを学んできました。
 例えば、草花あそびでは、草花にはそれぞれの特性があり、その特性を知ることで、いろいろな草花遊びを楽しむことができます。また、虫みつけでは、虫の生態を調べたり育てたりすることで、どんな小さなものにも命が宿っていること、とても大切であることを知ることができます。

 さらには、稲植え体験やにんじん・だいこんの栽培を経験したり、地球上の生き物たちが年々減少していることにまで目を向け、その原因をみんなで考えることへと発展しつつあります。

ニンジン・ダイコンの栽培
ニンジン・ダイコンの栽培(出典:栄光八事幼稚園)
ニンジン・ダイコンの栽培

◇苦労・苦心した点
 地球環境を知ることは、幼児の発達段階上難しいことです。そこで、地球の入口である自然、特に子供が日々関われる園環境に目を向け、環境マップを作りました。しかし、環境マップと一口に言いましても、環境マップ作りは大変な時間と労力を伴います。職員全員で園内の遊具から一本一本の樹木まで写真を撮り、イラストにして示していくのです。この作業に一年はかかってしまいました。
 しかし、この手作りのマップがまた、何とも言えない、いい味を出しており、木々への愛情や想いを深めるもとになったのではないかと考えています。

環境マップ
環境マップ(出典:栄光八事幼稚園)

 さらにこの活動を通して素敵な出会いもありました。朝日新聞に「環境がキ−ワード」という各方面の連載記事に掲載され、女子高校生Oさんから「わたしが10年前から育てているコナラ、モミジの木をこどもたちの環境に役立ててもらえませんか?」という問い合わせがあり、いきさつを聞くと、この夏に事情があって家を引っ越することになり、準備をしていたところ、庭にある木を思い出し、木の引っ越しに頭をかかえてしまった。引っ越し先はマンションで木をもって行けない。現在の住宅は借家で、新たに入居する人のため庭を整地し、木を伐採するというのです。
 Oさんは小さい頃から生き物が大好きで、6歳の時ドングリ、モミジの苗木を買ってきて庭に植え、この10年間手塩にかけて育ててきました。今ではりっぱな大木となり、四季折々の自然の美しさを魅せ、秋には実になったり、葉を真っ赤に染めたりと心をなごませてくれる、Oさんにとってはまさに宝物であり、大切ないのちなのです。そんな木とともに育った10年を思い起し、引っ越しも手につかないとき新聞記事が目に入り、早速電話をしたというのです。本当に心温まる話に深く共感し、快く引き受けました。その後、移植されたコナラ、モミジの木は園庭で子どもたちとともに生長し、見守っています。Oさんとの出会いから自然に関わることが教育の原点であることを改めて知らされました。

◇地元との関係・COP10に向けて
 幼稚園の裏山一帯は、自然環境に恵まれた東山緑地帯として自然保護地区とされています。時折、山からは狸が顔を出したり、ヘビと出会ったり、春になるとウグイスの鳴き声がどこからともなく聞こえて来ます。およそ都会ではみられない生き物たちと、毎日、ごく自然に共存しているのです。
 幼稚園では、今、地球上の生き物たちについていろいろな角度から学んでいる最中で、その中には、『ペットボトルのミニ地球』や『動物信号・植物信号』など、むずかしいテーマにも取り組もうとしています【註】

 まさに、COP10を迎えるに当たり、地球上の海、陸、空、それぞれに生きている生物たちが手を結び、ひとつの輪になること『つながリング』を願い、将来を担う子供たちと共に考え育てていきたいと願っています。

【註】地球上の生きものたちについて学ぶプログラム
(1)ミニ地球を観察しよう! 写真・ミニ地球参照
 「ペットボトルに黒砂、水、水草、ぬまえびを入れ、蓋をして様子をみます。生きもの達が、それぞれの役割を担って生きていることを知ります。」
(2)動物信号・植物信号
 赤(絶滅してしまったもの)、黄(近い将来絶滅の可能性があるもの)、青(現在絶滅の心配がないもの)に、みんなで考え当てはめていきます。
 「地球上には数多くの動植物が生きていますが、様々な理由から、その数は年々減少しています。その原因をみんなで考えてみましょう!」
ペットボトルのミニ地球
ペットボトルのミニ地球(出典:栄光八事幼稚園)
動物信号
動物信号(出典:栄光八事幼稚園)
植物信号
植物信号(出典:栄光八事幼稚園)
動物信号
動物信号(出典:栄光八事幼稚園)
まとめ
 今回の愛知環境賞の受賞団体は、単独の省エネや技術革新よりは、技術・教育と地域性とが融合し、生物多様性の保全と持続可能な利用のためのヒントが込められているといえます。
 カゴメは、生態系への影響に配慮し受粉用のハチを地元や地域のものに切り替えました。大同エコメットと中澤建設、また東海リソースは、地域にある木質資源を有効活用させ、地域全体の循環を実現する可能性を秘めています。栄光八事幼稚園は、近所の森・里山という資源を最大限に活用しています。
 ニューディール政策は、ダムなどのインフラ事業に投資しました。グリーン・ニューディールでの生物多様性への投資は、より広範にインフラ事業を捉える、いのちのインフラの設備投資ともいえます。
 旧来のインフラへの投資というと、大規模で人工物というイメージがあります。対して、愛知・名古屋の「ものづくり」流では、堅実で地に足の着いた投資で、お金や労力をスマートに集約的に使っている焦点を絞ったインフラ投資が行なわれていました。また、究極の基盤でもある「ヒトづくり」でも、着実に取り組んでいることが分かります。今回、各事業や教育の取り組みは、環境分野にこそ経済不況を克服するヒントがあることを示しています。
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関連情報 |
  愛知県プレスリリース
  「2009愛知環境賞」の各賞が決定しました
 http://www.pref.aichi.jp/0000022196.html
  過去の受賞事例
  愛知環境賞サイト
 http://aichi-shigen-junkan.jp/kankyoushou/main.html
  カゴメ株式会社の環境への取り組み
 http://www.kagome.co.jp/kankyo/index.html
  カゴメの生鮮事業における取り組み
 http://seisen.kagome.co.jp/
参考図書 |
 『いのちのつながり よくわかる生物多様性』
(近刊)
   香坂 玲著
 1,500円(本体価格1,429円) 中日新聞社
「生物多様性って何?」に始まり、世界各国や日本での取り組み、観光やビジネスとの関連、コーヒーから考える生物多様性など、さまざまなアプローチで解説。地球温暖化や開発、里山の荒廃などで、生活の恵みの源泉である生物多様性が崩れつつあると警鐘を鳴らしています。
<目次より>
 生物多様性って何?
 食卓から見る生物多様性
 生物多様性とビジネス
 生物多様性をテーマにしたさまざまな教材から
 一杯のコーヒーから考える生物多様性
 

 『森林大国カナダからの警鐘―脅かされる地球の未来と生物多様性―』
(原著タイトル:At the Cutting Edge)
   エリザベス・メイ[著] / 香坂 玲・深澤 雅子[訳]
 A5判 566頁 定価3,500円(本体3,333円+税) 2009年3月31日刊行
 

記事:香坂玲

〜著者プロフィール〜
東京大学農学部卒業。在ハンガリーの中東欧地域環境センター勤務後、英国UEAで修士号、ドイツ・フライブルク大学の環境森林学部で博士号取得。環境と開発のバランス、景観の住民参加型の意思決定をテーマとして研究。帰国後、国際日本文化研究センター、東京大学、中央大学研究開発機構の共同研究員、ポスト・ドクターと、2006〜08年の国連環境計画生物多様性条約事務局の勤務を経て、現在、名古屋市立大学大学院経済学研究科の准教授。
 ブログ:http://biodiversity.blog21.fc2.com/
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