作成日 | 2003.09.10 更新日 | 2025.07.18
捕鯨
ホゲイ 【英】Whaling
解説
鯨類(イルカを含む)を捕獲すること。古代から行われてきたが、鯨類の資源量減少等を理由に、捕鯨の規制や反捕鯨運動が起こるようになっていった。
1946年、鯨類資源の適切な保存を図り、捕鯨産業の秩序ある発展を可能にすることを目的に国際捕鯨取締条約(IWRC)が締結、同条約の執行機関として国際捕鯨委員会(IWC)が1948年に発足している。なお、日本は1951年に条約に加盟したが、2019年6月末に脱退、その後はオブザーバーの立場で参加している。
国際捕鯨委員会(IWC)では、締約国の大型捕鯨を商業捕鯨、調査捕鯨、原住民生存捕鯨の3つに分けており、1982年の商業捕鯨モラトリアムの採択後、世界で継続されている捕鯨は、2025年4月現在、非加盟国による商業捕鯨を含めて、以下のとおり。
(1)IWCが認めている原住民生存捕鯨:米国アラスカ州でのホッキョククジラ、同ワシントン州でのコククジラ、ロシア・極東地方でのホッキョククジラとコククジラ、デンマーク・グリーンランドでのナガスクジラ、ミンククジラ 、ホッキョククジラ 、ザトウクジラ、セントビンセントのザトウクジラなど
(2)IWC加盟国による科学調査目的の捕鯨(調査捕鯨):ノルウェーではミンククジラ、アイスランドではミンククジラとナガスクジラ
(3)IWCの管轄外にある小型鯨類の捕鯨:IWCは条約で定められた大型鯨種だけを管轄、イルカ類などの小型鯨類は管轄外となっている。(4)IWC非加盟国による捕鯨:カナダではホッキョククジラ、インドネシアではマッコウクジラ、日本ではミンククジラ、ニタリクジラ、イワシクジラ、ナガスクジラの商業捕鯨を実施している。
IWCにより捕鯨が大きく制限される中で、捕獲が禁止された鯨類の中には資源量が十分もしくは増えすぎているとされる種もあり(ミンククジラなど)、海洋生態系のバランスを崩していると懸念する意見もある。日本は、(1)鯨類資源は重要な食料資源であり、他の生物資源と同様、最良の科学事実に基づいて、持続的に利用されるべきである。(2)食習慣・食文化はそれぞれの地域におかれた環境により歴史的に形成されてきたものであり、相互理解の精神が必要である。という基本認識のもと、2019年7月から大型鯨類を対象とした捕鯨業を日本の領海と排他的経済水域に限定して再開した。(2025年4月改訂)
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関連Webサイト
- 捕鯨(外務省):https://www.mofa.go.jp/mofaj/ecm/fsh/page25_001544.html
- 捕鯨の部屋(水産庁):https://www.jfa.maff.go.jp/j/whale/index.html
- 捕鯨の歴史(一般財団法人日本捕鯨協会):https://www.whaling.jp/history.html
- 国際捕鯨取締条約脱退と日本の進路(東京財団):https://www.tkfd.or.jp/research/detail.php?id=2985