ニュース&トピックス

2016.11.25
長期低炭素戦略に関する提言

 気候変動に関する国際的枠組みであるパリ協定は、パリで開催されたCOP21で2015年12月12日に採択され1年も経たない本年11月4日に発効し、世界各国が共同して脱化石燃料エネルギーに依拠する低炭素社会の構築に向けた取り組みを開始した。パリ協定は、世界中の研究者による長年にわたる科学的知見に基づくIPCCの第5次評価報告書を踏まえ、世界の平均気温の上昇を産業革命前から2℃未満に抑えることを目的としている。
 同協定において、各国は2020年までに、2050年に向けた長期の温室効果ガス低排出発展戦略を作成・提出するよう努めることなどが規定されている。また、IPCCなどが指摘しているように、各国の現在の削減計画が実行されたとしても、今世紀末までに地球の平均気温の2℃上昇が避けられないことなどから、5年ごとに目標見直しを行い改善していく仕組みも盛り込まれている。本年11月にマラケシュで開催されたCOP22で、パリ協定の実施ルールを2018年に決定する作業計画が採択された。
 パリ協定を批准した我が国も、地球温暖化対策計画(2016年5月閣議決定)の実現に向け、国を挙げて取り込みを本格化した。我が国が、長期的目標である2050年までに80%の温室効果ガスの排出削減を実現するには、大幅な排出削減を可能にする技術革新を核とするイノベーションの推進と、国および地方自治体はもちろん、企業、学校、家庭さらには地域社会というすべての主体が、それぞれの特性に応じ排出削減に向け積極的に取組むことが肝要である。

 環境イノベーション情報機構は、2050年に向けた長期低炭素戦略に盛り込むべき視点として、次のとおり提言する。

○到達すべき社会ビジョンの提示とロードマップの作成

 最も重要なことは、温室効果ガスの排出量が80%削減された社会の具体的なビジョンの提示と、その実現に向けたロードマップの作成である。
 作成される社会ビジョンは、多様な主体にとって温室効果ガスの排出に関わる具体的な状況を理解し易く、かつ対策を策定・推進する上で有効になるよう配慮すべきである。作成されるロードマップは、バックキャスティングの発想に基づき、5年あるいは10年ごとに達成すべき目標とそれに至る具体的な道筋を示すべきである。

○ロードマップの評価・検証機関の創設

 地球温暖化対策計画において、地球温暖化対策の進捗状況は3段階(①国全体、②温室効果ガス別・部門別、③個々の対策)で厳格に管理するとされているが、長期的目標に向けたロードマップの評価・検証体制は必ずしも明確とはいえない。また、国民がより効果的な行動を選択するなどの動機付けを誘導するためにも、ロードマップの各段階における温室効果ガスの排出状況およびその原因などの開示を行う必要がある。これらのことに鑑み、専門性が高くかつ独立した産官学連携による評価・検証機関を創設することを提案する。

○科学技術イノベーションと人材育成

 温室効果ガスの大幅な排出削減を実現するには、技術革新に基づくイノベーションが不可欠である。その中には、過去に類例を見ない斬新な技術から、既存の複数の技術を組み合わせる新規技術など多岐なものが想定される。多様な科学技術イノベーションの開発には、ベンチャー企業を含む企業および大学を含む研究機関等が協力すること、そして異なる研究分野間の連携・融合を強化することが重要である。さらに、これらのイノベーションの実効性を担保するために、科学研究の成果を社会実装する橋渡しの役割を担う人材の育成も重要である。

 環境イノベーション情報機構は、地球温暖化対策のための国の政策的補助金の交付団体として支援を継続するとともに、長期低炭素戦略の目標、評価・検証、進捗状況等についてEICネット等を通じ広く国民に情報提供することにより、我が国が目指す低炭素社会の構築、特に2050年までに温室効果ガスの80%排出削減の実現に貢献していく所存である。

一般財団法人 環境イノベーション情報機構

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