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エコチャレンジャー

環境問題にチャレンジするトップリーダーの方々との、ホットな話題についてのインタビューコーナーです。

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エコチャレンジャー

環境問題にチャレンジするトップリーダーの方々との、ホットな話題についてのインタビューコーナーです。

目次
長期的な投融資と中立性の堅持が、政策銀行としての一貫したDNA
環境格付融資は、企業の環境経営に着目する融資
【1】エンド・オブ・パイプ(End of Pipe)
環境汚染物質の排出時における適正な処理。
【2】クリーナー・プロダクション(Cleaner Production)
原料の採取から製品の作成や廃棄および再利用に至るすべての工程で環境負荷を軽減するための、個々の対策技術やシステム管理手法を包含した対応策。
【3】UNEPファイナンシャルイニシアティブ(UNEP Financial Initiative)
環境および持続可能性に配慮した望ましい金融機関の業務のあり方を模索し、普及・促進することを目的に、UNEPにより1992年に設立された。世界の200社以上の金融関係機関が署名している。
【4】エコファンド
環境対策に積極的に取り組み、または自らエコビジネスを展開する企業を対象として、従来の投資基準だけでなくこれらの取り組みも考慮して株を買う投資信託。

No.015

Issued: 2013.03.13

第15回 日本政策投資銀行・前田正尚常務に聞く、持続可能な社会を創る金融の役割[1]

実施日:平成25年3月1日(金)16:30〜17:00
聞き手:一般財団法人環境情報センター 理事長 大塚柳太郎

長期的な投融資と中立性の堅持が、政策銀行としての一貫したDNA

前田 正尚(まえだ まさなお)さん
前田 正尚(まえだ まさなお)さん
株式会社日本政策投資銀行常務取締役執行役員
1979年日本開発銀行(現日本政策投資銀行)入行。政策企画部長、環境・エネルギー部長、常務執行役員関西支店長を経て、2012年6月より現職。サステナビリティの概念をいち早く行内に取り入れ、邦銀初となるUNEP ファイナンシャルイニシアティブの署名、世界初の環境格付融資の開発を進めるなど、評価認証型金融の促進に取り組む。

大塚理事長(以下、大塚)― 本日はEICネットのエコチャレンジャーにお出ましいただき、ありがとうございます。前田さんは、日本政策投資銀行(DBJ)で長年に亘り、金融の分野で環境問題の解決に向け活躍されておられます。本日は、金融が環境保全や環境創造に果たす役割、あるいは今後の環境戦略などについてお伺いしたいと思います。どうぞ、よろしくお願いいたします。
早速ですが、DBJの役割や特色について、今日までの歩みを含めてご説明いただけますでしょうか。

前田さん― DBJの歴史は、戦後、日本経済及び産業の発展・活性化を目的として、日本開発銀行と北海道東北開発公庫が創られたことにはじまります。その2つの政策金融機関が統合したのが1999年10月です。その後、2008年10月に株式会社日本政策投資銀行法に基づき株式会社化されました。日本開発銀行と北海道東北開発公庫の時代には、エネルギー、都市開発、運輸・交通などへの融資を中心とし、長期的な資金供給を行っていました。
民営化は小泉政権時代の政策金融改革の一環として決定されました。しかし、民営化とほぼ同時に起こったリーマンショック、その後の東日本大震災に対処するため、法律の改正が行われ、現在も全額政府出資の金融機関となっています。なお、2015年3月末までに政府による株式保有の是非も含めた当行の組織のあり方が見直されることになっています。
当行の特徴として、長期におよぶ投融資と中立性があげられます。また、以前は融資が中心でしたが、現在は、投融資一体型の金融サービスをご提供しています。それから、アドバイザリー業務として、M&A(企業の合併や買収)や自治体の公有資産マネジメントなどのお手伝いもしています。

大塚― 日本開発銀行と北海道東北開発公庫が設立され、その後、統合があり、株式会社化があったわけですが、一貫したポリシーで投融資を行ってこられたわけですね。

前田さん― そうですね。「長期性」と「中立性」は当行のDNAの一部であり、このことが民営化後も広く信頼をいただいている源泉と思っています。

環境格付融資は、企業の環境経営に着目する融資

大塚― 環境の側からみると、DBJの資金の投融資で多くのことが進んでいると理解しています。ところで、DBJは技術開発や社会インフラに広く目配りされておられますが、その中で環境が占める比重はどの程度なのでしょうか。

前田さん― 日本開発銀行時代には、エンド・オブ・パイプ【1】クリーナー・プロダクション【2】という考え方に基づき、公害防止・予防の融資に取り組んでいました。ピークは1975年頃ですが、年度にしておおよそ1兆円規模の融資額のうち4分の1くらいを占めていました。
環境関連プロジェクトに対しては、これまで40年以上に亘り3兆円以上の投融資を行ってきました。また、プロジェクトに着目するのではなく、企業の環境経営に着目する融資メニューとして「DBJ環境格付融資」がありますが、こちらは現在までに約350件、金額では約6000億円ほどの実績があります。

大塚― 環境格付融資は、DBJが世界に先駆けて実施されたと伺っています。具体的な手法や効果についてご説明いただけますか。

DBJ環境格付のロゴマーク
DBJ環境格付のロゴマーク

前田さん― 話しが少し戻りますが、1999年に日本開発銀行と北海道東北開発公庫が統合したとき、法律の第1条に「持続的発展(サステイナブルディベロップメント)」という言葉が入れられました。「経済社会の活力の向上及び持続的発展に資する」ための担当部署として、DBJの中に政策企画部が創られ、私はその所属になりました。具体的な取り組みについて議論を重ね、最初に行ったのがUNEP(国連環境計画)のファイナンシャルイニシアティブ【3】への署名でした。2001年1月のことです。

大塚― DBJが展開する事業が広がったということですね。

前田さん― それまでも公害防止・予防、また省エネ対策などの融資をしており、環境への取り組みを積極的に行ってきたため署名したのですが、もっと具体的な行動をとる必要が生じたのです。社会環境委員会・社会環境グループを立ち上げ、ロードマップづくりをはじめました。環境方針を策定し、環境マネジメント構築のためにISO14001を取得し、社会環境報告書を発行しました。2003年10月に、UNEPファイナンシャルイニシアティブの会議が、アジアで初めて東京で開かれました。そのときの東京宣言に、金融機関が環境に配慮する活動を進めることを盛り込み、環境格付融資を2004年4月から開始したのです。

大塚― 実施にあたっては、手探りという面もあったのでしょうか。

前田さん― 法律に持続的発展が明記されてから、環境格付融資の開始までに4年ほどかかりました。この制度自体は、環境省と共同し、3度に亘る予算要求の末成立したのですが、産みの苦しみは大変なものでした。
直接金融の世界には、エコファンド【4】などはありましたが、融資の分野で企業を環境評価する仕組みとしては世界で初めての制度です。

環境格付融資の概要
環境格付融資の概要

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