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エコチャレンジャー

環境問題にチャレンジするトップリーダーの方々との、ホットな話題についてのインタビューコーナーです。

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エコチャレンジャー

環境問題にチャレンジするトップリーダーの方々との、ホットな話題についてのインタビューコーナーです。

目次
リサイクル率を高め、地域に必要とされる事業に転換することを会社の方針として選択
「現場を見ろ」という父の教えで、四六時中現場でゴミを触って確認
教育をとおして、それぞれの社員が将来に向け技術を修得するなどモチベーションを高める
【1】グッドライフアワード2015
 環境省が進める、環境に優しい社会の実現を目指し、日本各地で実践されている「環境と社会によい暮らし」にかかわる活動や取組みを表彰するプロジェクト。
【2】不燃残渣
 廃棄物を燃焼処理した後に残る、細かなリサイクルが困難なもの。
【3】プラント
 工場設備一式。
【4】分級
 同一種で粒径の異なる粒子群を粒径別に分ける、あるいは同一の粒径で異質の粒子群を種類別に分ける操作。
【5】唐箕(とうみ)
 収穫した穀物を脱穀した後、籾殻や藁屑を風で飛ばして選別する農具。
【6】OJT(On-the-Job Training)
 オン・ザ・ジョブ・トレーニング。従業員に対する職場での実務をとおしたトレーニング。

No.044

Issued: 2015.08.21

第44回 石坂産業社長の石坂典子さんに聞く、地域とともに進める産業廃棄物処理の取り組み[1]

実施日時:平成27年7月22日(水)10:00〜
聞き手:一般財団法人環境イノベーション情報機構 理事長 大塚柳太郎

リサイクル率を高め、地域に必要とされる事業に転換することを会社の方針として選択

石坂典子(いしざか・のりこ)さん
石坂典子(いしざか・のりこ)さん
 石坂産業株式会社代表取締役社長。「所沢ダイオキシン騒動」最中に2代目社長に。「脱・産廃屋」を目指して、社員教育を断行。現在は、企業や市民など国内外から多くの見学者が訪れるようになっている。
 2015年、環境省「グッドライフアワード2015」の実行委員会特別賞(「環境と企業」特別賞)を授賞。
 著書に『絶体絶命でも世界一愛される会社に変える!――2代目女性社長の号泣戦記』(ダイヤモンド社)。

大塚理事長(以下、大塚)― 本日は、エコチャレンジャーにお出ましいただきありがとうございます。石坂さんは、石坂産業株式会社社長として、産業廃棄物処理のイノベーションともいうべき革新を進め、なかでも中間処理に力を注ぎ95パーセントの減量化・再資源化率を達成されました。また、会社が運営する「やまゆり倶楽部」が、環境省の「グッドライフアワード2015」【1】の「環境と企業」特別賞を受賞されるなど、環境と社会あるいは人びとの暮らしを良くすることにも積極的に貢献されておられます。
石坂産業が、持続可能な社会の前提である循環型社会の構築に向け、産業廃棄物の再資源化を大きく進められたことがなんといっても特筆されますが、その原点について最初にご紹介いただきたいと思います。

石坂さん― 石坂産業は私の父親が創業者で、今年で48年目を迎えた会社です。私が社長を引き継いだのは13年ほど前のことでした。創業当時は、高度経済成長に伴い廃棄物は縮減することが目的化されていたように思います。廃棄物の容積を小さくするのに簡便なのは焼却で、今でも国内で7割ほどの廃棄物が焼却処理されているのです。現在も海洋埋め立てがつづけられています。
一方、廃棄物を300〜400℃以下で燃焼するとダイオキシンが発生します。15年ほど前にダイオキシンの大気中への排出がマスコミで大きく報道され、私どもの会社の煙突がこの地域で一番大きかったこともあり、バッシングの対象になってしまったのです。

大塚― 多くの地域で、ダイオキシンが問題になりましたね。

石坂さん― その時、私は父親から事業をはじめたことなど廃棄物に対する思いを聞き、これからはリサイクル率を高めること、そして地域に必要とされる事業に転換することを会社の方針として選択しました。それまでの主な事業だった焼却から撤退することにしたのです。
父親は元々解体の手伝いをしてきたので、解体のときに出る混合廃棄物という不燃残渣【2】を扱うことがありました。実は、建設系廃棄物が国内で一番不法投棄されている廃棄物であり、同業者たちがあまり受けたがらない物だったのです。私共は困っている物を優先的に処理しようと、そのために多額の投資をして、新しいプラント【3】をつくったのです。それが7年前になります。

「現場を見ろ」という父の教えで、四六時中現場でゴミを触って確認

大塚― それまでのリサイクルシステムとの最大の違いは何だったのでしょう。

石坂さん― 焼却する、燃やすという発想から、すべての物を徹底的に分離・分級【4】するという発想に転換したことです。

大塚― 徹底的な分離・分級には、いろいろな技術革新が必要だったと思います。どのような課題にどのように取組まれたのでしょうか。

石坂さん― 最も基本的なことは物の重さです。混合廃棄物なので、比重差が大きい物が混ざっています。それらの物をすべて分離・分級したいのですが、既製の破砕機や選別機は特定の用途にあうようにつくられています。私たちは、特定のメーカーの製品を1つのユニット装置として組むような通常の使い方ではなく、広く混合廃棄物に適用できる装置を目指しました。ここに石坂産業の力を投入することにしたのです。
父親の経験も必要でした。私は父親と一緒に全国の鉄工所などを回り、選別機を見せてもらいました。廃棄物の選別機だけでなく、たとえば農作物の選別機、お米の脱穀に用いる唐箕【5】の原理で風を利用した選別機など、多くの物を見せてもらったのです。そして、それらを何度も何度もテストランし、改造してもらいました。とくに気にかけたのは強度を保つことでした。廃棄物は穀物とは違うからです。これらの作業を経て完成した機械装置が稼働するようになったのが、先ほど申し上げた7年前なのです。

大塚― 大変なご苦労をなさったのですね。
分離・分級の具体的なプロセスについてもご紹介ください。

石坂さん― 運ばれてくる解体後の混合廃棄物を何度も何度も調査します。分類調査です。手で1立方メートル(1000リットル)の箱に入れて、分級割合を見るのです。コンクリートの瓦礫やガラスを手で分けていきます。このような作業を幾度となく繰り返したところ、建物から排出されてくる廃棄物ですから、土砂が含まれている割合などはほぼ同じでした。これらの結果から、機械装置の設定を決めたのです。

大塚― 石坂産業のオリジナルですね。今のお話で、運ばれてくる廃棄物を最初にチェックするところがポイントのように感じました。

石坂さん― そのとおりです。これは、経験に基づく職人の技みたいなものです。「現場を見ろ」というのが私の父親の教えで、四六時中現場でゴミを触って確認するわけです。重さを量り、比重を調べ、風力をつかってどう飛ばすと物がどう分かれていくかというようなことを試行錯誤しながら確認するのです。その結果に基づき、メーカーさんに手伝ってもらい、装置の設計につなげたのです。設計は、私と父親とメーカーさん、それに現場の責任者を加えてもごくわずかのメンバーで行ってきました。我々が細かい設計にもかかわり、メーカーさんは自社以外の製品を使うことを嫌がりましたが、すべての責任を我が社でとることでお願いしたのです。

石坂産業のリサイクルシステムを理解してもらうため、工場見学を受け入れている。

石坂産業のリサイクルシステムを理解してもらうため、工場見学を受け入れている。

石坂産業のリサイクルシステムを理解してもらうため、工場見学を受け入れている。

教育をとおして、それぞれの社員が将来に向け技術を修得するなどモチベーションを高める

大塚― 技術的な話を伺ってきましたが、廃棄物処理のレベルアップに成功した原因として、ソフト面あるいは会社の組織力としてどのようなことに気を配られたのですか。

石坂さん― すべてのことを、最終的にコントロールするのは人間だと思います。個々人の知識や経験知を高めることによって、機械を含むハード面が活かされます。そのためにも、社員教育が大事だと考えています。

大塚― 経験知という言葉も使われましたが、社員教育はどのように進められているのですか。

石坂さん― 大事なのは、教育のために多くの時間を使い、たんに現場OJT【6】で終わらせないことです。具体的に何をするかといえば、現在は石坂技塾と呼んでいますが、学校での教育のように進めています。足りないスキルを高めるための講座もありますし、自由に参加して学ぼうとするための講座もあります。また、さまざまな資格を積極的にとらせようとしています。たとえば、重機のオペレーターにしても、重機の免許を元々持っている者を採用するのではなく、資格のない者を採用し採用後に資格を取ることを推奨しています。言い換えると、教育をとおして、それぞれの社員が将来に向け技術を修得するなどモチベーションを高めるようにするのです。このことが私の役割だと思っています。

大塚― 社員教育にかける熱意を話していただきましたが、石坂さんが社長になられてから進められたのでしょうか。

石坂さん― これまではOJTが基本の教育でしたが、私が父から社長を引き継いだ13年ほど前、プラントのリニューアルだけでなく、きれいな工場をつくりほかの方々にも見ていただきたいという大きな目標をもちました。そのための許認可を得るのが私の最初の課題でした。ところが、許認可をとり必要な投資をした後で、当時の社員がそれだけの設備を十分に活用できたかというと、ノーでした。このことが社員教育に積極的に取組むきっかけになり、ツールとして国際規格ISOを導入することから始めました。現在は、努力したことの実が結びつつあると感じています。

年に数度催している「お客様大感謝祭」。顧客満足度調査も兼ねて実施している。

年に数度催している「お客様大感謝祭」。顧客満足度調査も兼ねて実施している。

年に数度催している「お客様大感謝祭」。顧客満足度調査も兼ねて実施している。


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