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エコチャレンジャー

環境問題にチャレンジするトップリーダーの方々との、ホットな話題についてのインタビューコーナーです。

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エコチャレンジャー

環境問題にチャレンジするトップリーダーの方々との、ホットな話題についてのインタビューコーナーです。

目次
社会・経済活動と環境を横断的につなげる研究
シミュレーションモデル作りから実際の社会作りまで関わる
温暖化対策は適応策研究を強化し緩和策との両輪で動かす
【1】8つの研究部門
 国立環境研究所には以下の8つの研究実施部門がある。地球環境研究センター、資源循環・廃棄物研究センター、環境リスク・健康研究センター、地域環境研究センター、生物・生態系環境研究センター、社会環境システム研究センター、環境計測研究センター、福島支部。
【2】福島県新地町のスマート・ハイブリッドタウン構想
https://www.nies.go.jp/kanko/kankyogi/60/column1.html
 情報通信技術とコミュニティを支える社会の仕組みを組み合わせることで、災害による避難や移転などで失われがちな地域の「絆」を再生しようというもの。国立環境研究所の他、福島県、大学、環境省、経済産業省、エネルギー事業者、メーカー、IT事業者などと連携している。
【3】エネルギーセンターがオープン
 福島県新地町、新地スマートエネルギー設立 新地駅周辺に電気や熱を供給(EICネットニュースより): http://www.eic.or.jp/news/?act=view&serial=40513&oversea=0

No.077

Issued: 2018.05.21

第77回 国立環境研究所社会環境システム研究センター長・藤田壮さんに聞く、社会動向予測を取り入れた気候変動適応策[1]

実施日時:平成30年4月16日(月)
聞き手:一般財団法人環境イノベーション情報機構 理事長 大塚柳太郎

社会・経済活動と環境を横断的につなげる研究

藤田壮(ふじたつよし)さん
藤田壮(ふじたつよし)さん
国立研究開発法人国立環境研究所社会環境システム研究センター センター長。
大成建設で都市開発計画等に携わった後、大阪大学大学院工学研究科助手・助教授、東洋大学工学部環境建設学科教授、同大学院工学研究科地域産業共生研究センター長を経て、2005年に国立環境研究所水土壌圏環境研究領域水環境質研究室長、同アジア自然共生研究グループ環境技術評価システム研究室長を歴任。2013年より現職。
2008年より中国科学院瀋陽応用生態研究所客員教授、2009年より名古屋大学 大学院環境学研究科連携大学院教授。2017年より東京工業大学先進エネルギー国際研究(AES)センター特任教授。土木学会の部門別委員会委員長や国の検討会委員を多く務める。

大塚理事長(以下、大塚)― 本日は、国立研究開発法人国立環境研究所(以下、国環研)社会環境システム研究センター長の藤田壮さんにお越しいただきました。藤田さんは大阪大学および東洋大学の工学部/工学研究科で教育研究に携わられた後、2005年から国環研に移られ、高環境効率の都市・地域計画をはじめ、分野横断的のシステム開発の設計と評価などの研究を進めておられます。今日の主なテーマである、「気候変動適応」研究やその情報発信でも重要な役割を担っておられます。
早速ですが、今、藤田さんがセンター長をなさっている社会環境システム研究センターは、どのような研究をしているところなのでしょうか。

藤田さん―  国環研には現在、8つの研究部門【1】があり、その1つが社会環境システム研究センターです。国環研の研究は、前身である国立公害研究所(公害研)の頃から、自然環境の観測や解析が主でした。これに対し、社会環境システム研究センターは人間の社会・経済の活動と環境との関係に焦点をあてています。加えて、これからあるべき社会とはどのようなものかという研究を、自然科学や工学など理系からのアプローチだけではなく、経済学や社会学、法学などの社会科学を含め横断的につなげるのが特徴です。
現在進められている第4期中長期計画の課題解決型研究プログラムには、5つの重点研究分野があります。低炭素研究プログラムや資源循環研究プログラム、自然共生研究プログラムや安全確保研究プログラムに加え統合研究プログラム(統合PG)があります。社会環境システム研究センターは各プログラムに参加しつつ、統合PGを主に担当しています。

大塚― 統合研究プログラムについてご説明いただけますか。

藤田さん― 多様な環境課題を統合しようということ、環境・経済・社会の統合や、グローバルなスケールの研究とミクロな都市のスケールの研究の統合をめざしています。例えば、気候変動がどのような形で生態系や植生に影響を与えるかということを研究するだけでなく、飢餓のリスク等とどのように関わるかということまで研究します。低炭素、自然共生や循環だけではなく、他の分野も含めて、実際の社会に適合して研究しようというのが特徴です。

統合研究プログラムで取り組むさまざまな断面での「統合」
統合研究プログラムで取り組むさまざまな断面での「統合」


シミュレーションモデル作りから実際の社会作りまで関わる

大塚― それぞれの研究テーマはどのように決めるのでしょうか。また、1つのテーマは3年あるいは5年くらいの時間をかけてなされるのですか。

藤田さん― 統合研究プログラムは5年をかけて取り組んでいます。研究テーマは、政府や企業、さまざまな社会側の研究ニーズに応える場合もありますし、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)やCOP(気候変動枠組条約締約国会議)など国際社会で重要とされていること、研究として必要だと思われることを考慮して、所内外での議論を通じて決めています。
もう1つ、“社会実装”も、社会環境システム研究センターの重要なテーマです。シミュレーションしてモデルをつくれば、将来温暖化が進むとか、飢餓が進むという全体像を示せます。一方で、地域エネルギー事業や、あるいはコンパクト都市事業に展開することも重要と思っています。福島県の新地町と、環境と経済が調和する復興を支援する協定を4年前に結び、「スマート・ハイブリッドタウン構想【2】」などのお手伝いをしています。先日は、公民連携の地域エネルギー会社【3】が設立されました。分野間統合、スケール間統合、それから社会化するまでが我々の役割だと考えております。

大塚― 藤田さん自身のご専門に非常に近いですね。

藤田さん― そうですね。都市計画が私の大学院の修士課程でのテーマでしたが、統合評価モデルなどの分野と合わせて、都市計画と環境科学を組み合わせた分野の研究も社会環境システム研究センターの特徴の1つであるかとも思います。

新地駅周辺地区の風景(画像提供:福島県新地町)
新地駅周辺地区の風景(画像提供:福島県新地町)

福島県新地町の地域エネルギーセンターに作られるイメージ(画像提供:福島県新地町)
福島県新地町の地域エネルギーセンターに作られるイメージ(画像提供:福島県新地町)


温暖化対策は適応策研究を強化し緩和策との両輪で動かす

大塚― 社会実装のことを考えると、地球温暖化の問題は非常に大きいと思います。緩和策(Mitigation)と適応策(Adaptation)、特に適応策のことが最近大きな話題になっていますが、2つの特徴や相互の関係に触れながら、国環研で特に関心を持っておられることをお話しいただけますか。

藤田さん― 気候変動を抑制して影響をできるだけ許容できるような範囲に抑えようとする、それがいわゆる緩和研究です。一方で、気候変動の影響は避けられないので、それに対応していこうというのが適応研究です。緩和と適応というのは両輪だと思っています。どうやってCO2を減らすか、どうやって温暖化を抑制するかという緩和についての研究は、国環研として30年の歴史があります。これから適応研究も一層強化して、国内外で緩和と適応の両輪をまわしていきます。適応研究には4つの分野があります。1つ目は気候変動の影響を観測して監視する体制を強化するモニタリングの研究です。2つ目は、モニタリングを受けてシュミレーションモデルを使い影響を予測する研究で、高度化という言葉にしていますが、できるだけスケール(影響範囲)を詳細化していくことが、これからの課題になります。3つ目はどちらかというと社会科学の分野に近いのですが、気候変動が起こって温暖化が進むと社会にどんなデメリットがあるか、どんなコストがかかるか、これを脆弱性と言って定量的に科学的に評価しようとしています。こうした3つのテーマ研究をまず日本で先行させて、それをアジアに展開することを4つ目に掲げています。

国立環境研究所の適応研究枠組み(平成29年)
国立環境研究所の適応研究枠組み(平成29年)


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