母島を歩くと、集落周辺でも森の中でも、島中でつやつやとした三出複葉
【1】を持つ樹木が目立ちます。小笠原で大きな問題になっているアカギ
【2】です。成長が早いことから、戦前にサトウキビ栽培による砂糖製造業のための薪炭材として小笠原村に導入されましたが、利用しなくなった現在ではその旺盛な繁殖力で
固有種のシマホルトノキやオガサワラグワの生息地を奪い、アカギの単純林層を形成しています。
小笠原諸島の約6割を占める国有林。管理する林野庁では、アカギがはびこることで本来の生態系を破壊し、希少動植物に大きな影響を与えていることから、2002年度よりアカギ駆除事業を行っています。アカギ駆除は、急な伐採などによって土砂崩れや急激な乾燥、固有種への影響を引き起こすことが考えられるため、「巻き枯らし」という方法が採り入れられました。これは、環状に樹皮を剥離することで徐々に枯らしていこうというものです。また、島内外からボランティアの参加を募り、母島においてアカギの萌芽の刈払いや、シマホルトノキなど固有植物の植え付けなどを行っています。2002年度には100名、2003年度には56名、2004年度には38名が参加しました。
小笠原総合事務所国有林課では、「島内のボランティアにはアカギのことを理解して欲しい。島外からのボランティアには島で宿泊して、母島のことを知ってもらいたい。それがエコツアーです」と考えています。参加者にはリピーターも多く、地元の方から南洋踊りを習ったり、母島の魅力を語り合ったりするなどの交流が好評です。
また、
外来種駆除について「アカギ=悪者というイメージにはしたくない、アカギは人間の都合で持ち込んだのだから」、とアカギを枯らすだけでなく利用の仕方も検討し、ボランティアにアカギ染めを体験してもらうなど工夫を凝らしています。父島では地元のNPOがアカギで炭焼きを始めた他、木道や看板などにアカギを利用しています。
現在は、環境省も母島の民有林や弟島などでアカギ駆除事業を開始しました。外来種の一掃には、国有林・民有林が一体となって取り組んでいく必要があります。