バイエルン州東部にあるケンプテン森林所有者共同体は、会員(森林所有者)が1,500人、総森林面積は8,000ha。この共同体は、木質バイオマスの需要がまだ少なかった1997年に、会員の共同出資で有限会社バイオマスホーフを設立した。
森で木を伐採すると、製材用の丸太にもパルプ材にもならない部分が、木の体積にして20〜30%ほど生じる。樹幹部や腐りや曲がりがひどい部位である。これらの「残材」は、お金にならないので、普通は伐採後、「ゴミ」として林地に放置される。捨てられているものを有効に活用し、少しでも自分たち(森林所有者)の利益を増やそうというのが、バイオマスホーフ設立の主旨だった。
5ヘクタールほどの敷地には、自動薪割り機が設置されている。「売れない」低質材が集められ、適当な大きさに割られ、2立方メートルほどの金網のボックスに入れられて、10ヶ月ほど乾燥させられる。太陽の熱を利用した温風乾燥施設(2週間で乾燥)もあり、薪材需要の多い冬場に備えている。その他、チップ材とペレットの貯蔵庫がある。チップ材は、移動式のチッパーによって林道端で残材をチップ化し、この施設に運ばれてくる。ペレットは、他の施設で作られたものを地域流通のために一次貯蔵している。
バイオマスホーフは、いわゆる木質バイオマスの地域供給センターである。原料のほとんどはケンプテン周辺から集められ、地域の住民や企業、自治体施設などに供給される。運営するのは地域の森林所有者で、まさに地域の資源を循環させることで、地域にお金が落ちるシステムである。バイオマスホーフは、2005年、地域に新しく作られた大型熱供給施設の契約業者にもなり、地域経済循環をさらに強化した。
需要が急速に伸びている木質系燃料であるが、その価格は、原油価格の高騰に連動して上昇している。一部の地域では、パルプの原料になる材よりも、木質バイオマスの原料費の方が高い価格で取引されるという現象も生じており、製紙産業と木質バイオマス産業の間で低質木の買取競争が起っている。買い手同士の競争は価格を上昇させるので、売り手である森林所有者にとっては歓迎すべきことだ。ケンプテン森林所有者共同体のアドバイザーでもある州の森林官ヴィルテンゾーン氏は、「製紙産業が長い間パルプの価格を低く抑えていたが、木質バイオマスという競争相手ができ、モノポール構造が崩れた。ようやく健全な状態になった」と満足気に語る。
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| ケンプテン森林所有者共同体の経営するバイオマスホーフの薪割り機 |
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| 製材用にもパルプにもならない低質材が集められ、薪にされる。バイオマスホーフ | 薪はボックスに入れて、最低10ケ月、天然乾燥させられる |










