ジャイアントセコイアは、レッドウッド国立州立公園に分布するコースタルレッドウッドと共通の祖先を持つレッドウッドの一種でありながら、ずんぐりむっくりの樹形が特徴的だ。近くで見ると、とにかく根元と幹が太い。その森も、鬱蒼とした原生林というよりは、まさに孤高の「巨人」があちらこちらに悠然と立っているという雰囲気だ
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コースタルレッドウッド同様、部厚い樹皮を持ち、幹の組織にはタンニンが多く含まれているため、害虫の被害を受けにくい。これが、2,000年を超える生存を可能とし、巨大な樹木に生長するゆえんでもある。
かつて、この巨木を伐採して、見世物にしたり木材として売り払う輩が現れたことがあった。中にはヨーロッパにまで運ばれたものもあったそうだ。幸か不幸か、ジャイアントセコイアの伐採には費用や手間もかかる割に、肝心の材質が脆かった。せいぜいブドウの添え木や、鉛筆用材、屋根板、つまようじなどにしか使えなかったこともあって、伐採はその後下火になる。それでも、19世紀の終わりまでに、何千本ものジャイアントセコイアが切り倒されたと言われている。
いずれにしても、ジャイアントセコイアの伐採が早期に終息したことが、国立公園の設立に有利に働いたことは想像に難くない。材質が軽く丈夫で、経済価値の高いコースタルレッドウッドの商業伐採が続き、森林の保護がなかなか進まなかったこととは対照的だ。
ちなみに、国立公園局のマークには、ジャイアントセコイアが描かれている。このマーク(その形からアローヘッド(Arrowhead=「やじり」の意)と呼ばれる)は、1951年の7月に、当時の内務長官により承認されたものだ(告示は1962年)。国立公園の各種標識、印刷物の他さまざまなものに表示され、アメリカの国立公園のいわば「トレードマーク」といえる。セコイアの木が「植生」、バイソンが「野生生物」、山と水が「景観及びレクリエーション的な価値」、やじりの意匠が「歴史的・文化的な価値」をそれぞれ表している
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| 国立公園局のマーク「アローヘッド」と法執行担当のレンジャー(マンモスケイブ国立公園) |
ジャイアントセコイアの生育地であるシエラネバダ山脈は半乾燥地だ。セコイアの生育条件である「豊かな日光」と「温暖で湿潤な気候」のうち、水分条件が制限要因となる。分布域の標高、1,500メートルから2,400メートル程度の一帯は、ちょうど雨雲が停滞し、比較的降水量が多い。このような気象条件に恵まれた土地や、地形的に地下水が豊かな場所など、水分条件が良好なところにだけジャイアントセコイアが生育できるといわれている。このため、連続した原生林を形成するコーストレッドウッドと異なり、ジャイアントセコイアは「グローブ」と呼ばれる一群の森を構成し、それが点々と分布する。現在残されているグローブは75ヶ所で、そのうち30ヶ所がこのセコイア・キングスキャニオン国立公園内にある。
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ジャイアントセコイア。樹皮には野火のこげ跡が残る。
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倒木の下を自家用車でくぐる「トンネル・ログ(トンネル丸太)」
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散策路に倒れていたジャイアントセコイア(倒木の下に散策路を作った?!)
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一方、キングスキャニオン国立公園は、その雄大な渓谷とダイナミックな地形が特徴だ。谷底に向けて車を走らせると、その高低差に目がくらむ思いだ。セコイア国立公園の平和な巨木林とはかなり対照的な景観を有している。なお、その高低差は8,200フィート(約2,500メートル)あり、米国内で最も深い峡谷と言われているそうだ。地形的な特徴は違うものの、グランドキャニオンの高低差が約6,000フィート(1,830メートル程度)であることを考えると、キングスキャニオンの谷がいかに深いかがわかる。
この公園にもさまざまな課題がある。中でも、人口密集地帯から流入してくる大気汚染物質は、樹木の抵抗性を損ない、害虫による立ち枯れの原因にもなっている。