生物多様性条約事務局では、教育や普及啓発の活動を「CEPA(セパ)」と呼んでいます。英語の
Communication,
Education and
Public
Awareness(広報・教育・普及啓発)の頭文字をとった略称です。
生物多様性条約だけではなく、
ラムサール条約などでも同様の概念が用いられ、これら活動の取り組みの重要性が指摘されています。
生物多様性条約では、条文の第13条に、CEPAに関連した活動を位置づけています
【注】。本文中には、法律用語の "shall" (「〜をしなければならない」「義務づける」)という強い表現を使い、広報・教育・普及啓発の活動を行なっていくことや、他の国や国際機関と協力を図っていくことを、締約国の義務と位置づけています。
00年のCOP5(ケニヤのナイロビ)で採択された決議を受けて、条約事務局は、UNESCO(国際連合教育科学文化機関)を中心としたパートナーとともに、「生物多様性の教育と普及啓発に関するグローバルイニシアティブ(Global Initiative on Biological Diversity Public Education and Awareness)」を発足させ
【6】、一連の専門会合を開催してきました。その流れは、06年のCOP8(ブラジル・クリチバ)での「優先的な活動項目」へとつながっています。優先的な活動項目は、以下の10の項目から構成され、任務も条約事務局と締約国にそれぞれ振り分けています。
- 具体的な実施形態を確立
- 現時点での知識を評価し、必要な能力開発を特定
- 鍵となるメッセージを形成
- 報道機関・メディア対応の戦略を実施
- ツールキットの作成を通じ、CEPAの戦略を実施
- ワークショップの開催
- グローバル・ネットワークの基盤整備と支援
- 国際生物多様性の日を実施
- 締約国会議と科学技術助言補助機関(SBSTTA)の知名度の向上
- 生物多様性の公式・非公式な教育の整合性を強化
(※試訳:専門用語等を省略しています)
また、COP8の決議では、来たる2010年を「国際生物多様性年」と宣言するよう呼びかけており、2007年1月に第61回国連総会の決議(61/203)として採択されました
【7】。