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No.211

アメリカ横断ボランティア紀行(第34話)
国立野生生物保護区訪問

Issued: 2012.09.20

国立野生生物保護区訪問[1]

チンカティーグ国立野生生物保護区
チンカティーグ国立野生生物保護区

 ワシントンDC内を横断する高速道路を避け、市街地の南部から環状に走る高速道路インターステート495号線に入る。東方に向かって走り、チェサピーク湾を渡る。魚類野生生物局での研修の一環で、近郊の国立野生生物保護区を訪問することになった。上司のピーターさんから、チンカティーグとブラックウォーターの2箇所を勧められた。

チンカティーグ国立野生生物保護区

ブラックウォーターおよびチンカティーグ国立野生生物保護区の位置図
ブラックウォーターおよびチンカティーグ国立野生生物保護区の位置図
※拡大図はこちら

 ワシントンDC市内の高速道路はいつも混んでいる。その上、皆かなりのスピードで走行しているので、道路事情に慣れていない私たちにとっては「鬼門」だ。一方、市街地の一般道路は比較的幅員も広くて比較的すいている。ルートさえ間違えなければ意外と時間もかからない。今回も、ワシントンDC市街地の南部に位置するアレクサンドリアまで一般道路を走行し、そこからインターステートの環状線を使うことにした。
 途中ポトマック川を渡るが、ハーパースフェリー付近とは比較にならないほど川幅が広くなっている。環状線をそのまま東へ走り、ワシントンDCの東側で国道50号線に乗り換える。国道といっても高速道路とほぼ変わらない高規格道路だ。チェサピーク湾の中ほどにある小さな島をつなぐように建設されたチェサピーク・ベイブリッジという大きな橋を渡っていく。
 チェサピーク湾の内陸側にあるアナポリスという小さな町には海軍士官学校があり、昔ながらのレンガ色の歴史的な街並みが残されている。湾に面して港もあり、カニなどの新鮮な魚介類を使ったシーフードを提供するレストランも多い。ワシントンDCへの通勤も可能で、郊外には住宅地も広がっている。今回は残念ながら横を素通りする。
 チェサピーク・ベイブリッジ(Chesapeake Bay Bridge)は、名前の通り、チェサピーク湾を渡る橋だ。橋の上から眺めると、チェサピーク湾は予想していたよりもずっと大きかった。ベイブリッジも日本の橋梁のイメージよりもずっと大きく、高いところを道路が走る。現在の橋梁と並行するように橋げたが新たに作られており、新設中の橋の大きさに驚かされる。

チェサピーク・ベイブリッジ
チェサピーク・ベイブリッジ

チェサピーク・ベイブリッジ

チンカティーグ国立野生生物保護区 区域図
チンカティーグ国立野生生物保護区 区域図 ※拡大図はこちら

チンカティーグ国立野生生物保護区 拡大図
チンカティーグ国立野生生物保護区 拡大図 ※拡大図はこちら

 チンカティーグ国立野生生物保護区(Chincoteague National Wildlife Refuge)は、Snowy Gooseというガンの一種を保護するため、1944年に設立された野生生物保護区である。チェサピーク・ベイブリッジが建設されるまでは、チェサピーク湾を迂回しなければならなかったため、ワシントンDCから片道で12時間以上を要したといわれている。これが、首都の大人口地帯から比較的近いにもかかわらず、それほど開発が進まなかった理由だ。国立公園局の管理するアサティーグ島国立海岸(Assateague Island National Seashore)にも隣接しており、州の境界線をはさんでバージニア州側がチンカティーグ、メリーランド州側がアサティーグ島国立海岸になっている。2つの保護区は連続する砂嘴上にあり、生態系としては一体のものだ。
 野生生物保護区内には、人工的に水位が調節されるため池(impoundment→第33話「ドンさんとの出会い」参照)が14箇所設けられている。また、保護区の年間訪問者数は150万人と、野生生物保護区としては全米でも有数の訪問客数を誇る。そのためか、新設されたビジターセンターは、魚類野生生物局の平均的なセンターと較べてかなり大規模な施設になっている。

入口標識には、チンカティーグ国立野生生物保護区とアサティーグ島国立海岸の2つの名称が記されている
入口標識には、チンカティーグ国立野生生物保護区とアサティーグ島国立海岸の2つの名称が記されている

アサティーグ島国立海岸のパンフレット
アサティーグ島国立海岸のパンフレット

裏面がチンカティーグ国立野生生物保護区用の表紙となっている
裏面がチンカティーグ国立野生生物保護区用の表紙となっている

パンフレットの内容は2つの保護区を網羅した内容となっていてわかりやすい
パンフレットの内容は2つの保護区を網羅した内容となっていてわかりやすい

スノーイーグース
スノーイーグース

新しいビジターセンター

ビジターセンター(Herbert H. Bateman Education and Administration Center)の入口にて
ビジターセンター(Herbert H. Bateman Education and Administration Center)の入口にて

ビジターセンターの外観。建物はかなり大きいが、デザインや色彩、素材などが周囲の景観になじんでいる
ビジターセンターの外観。建物はかなり大きいが、デザインや色彩、素材などが周囲の景観になじんでいる

 私たちを案内してくれたのは、保護区スタッフのビル・ハグランさんだ。この保護区にくる前は魚類野生生物局の本局国際課に勤務していた。ピーターさんのお知り合いで、その縁で紹介してもらった。
 まずは、新しいビジターセンター、Herbert H. Bateman Education and Administration Centerを案内してもらう。
 「このセンターにはいろいろな工夫があります。再生可能な素材を多用していたり、各種の自然エネルギーを利用できるよう設計されたりしています」
 センターの敷地自体も、もともと施設が建っていた跡地を利用しているため、大きな樹木の伐採は12本にとどまっているそうだ。これだけ大きな施設を建設した割に伐採量は少ない。
 「排水は、センター前に作った人工的なウェットランドで処理しています。処理が終わった再生水は、トイレの便器の洗浄水に再利用します」
 トイレにも工夫があるという。
 「トイレは、水の使用量が少ないタイプを採用しました。特に男性小便用の便器は洗浄水を使用しないタイプになっています。『野生生物保護区のビジターセンターにきたら、変わった便器が使われていた』、そんなことにも興味をもってもらいたいのです」
 トイレの洗浄水は、よく見ると淡い黄色に色付いている。また、男性小便用の便器は本当に洗浄水が出てこない。大きめの排水口に特殊な液体が満たされていて、それが油のように排水を覆っている。においは全く気にならない。考えてみれば、小便をするたびに上水を流すのはもったいない。
 もちろん、主目的は使用水量の削減だ。ウェットランドを保護するこの野生生物保護区では、汚染水の発生を極力抑える必要がある。

排水の循環利用に関する説明パネル
排水の循環利用に関する説明パネル

トイレには再生水が使われている
トイレには再生水が使われている

 施設の暖房・冷房にも工夫がある。
 「このセンターの空調には地熱が使われています。地熱といっても摂氏12.8度(華氏55度)にすぎませんが、グリコール溶液を地中のパイプに通し、それを熱交換器(ヒートポンプ)に通すと空調にも利用することができるようになります」
 外壁や屋根も変わっている。
 「建物には、外断熱パネルシステム(Structural Insulating Panel System: SIPS)が採用されています。2枚の合板の間に分厚い断熱材を入れた外壁を使用するもので、断熱効果が高いといわれています。屋根には亜鉛の板を使用しています。腐蝕しにくく、雨水に微量が溶け出すと植物への微量元素としても機能します」
 ただし、かなり重量があるため、それに耐えるだけの基礎を用意しなければならなかったという。

天井が高く明るい室内。展示物の色あせを防ぐため、通常は展示室には自然光を入れないことが多い。
天井が高く明るい室内。展示物の色あせを防ぐため、通常は展示室には自然光を入れないことが多い。

 建物に入ると、天井がかなり高いのが印象的だ。空調効率の面からいえば天井は低い方がいいはずだ。
 「天井が高いのは採光のためです。低い位置には展示物があるため、採光のためには窓を高い位置に取り付ける必要があります。ただ、自然光そのものは強いので、展示物の上に光を弱めるための白い布(ディフューザー)を設置しています」
 施設には自然光をうまく取り入れている。室内にはセンサーを設置して、曇りや夕方など室内が暗いときだけ、照明で補うようにしてあるという。
 「窓が高い位置にあることで、展示に集中できる効果もあるんです。低いと外の景色が見えてしまい、利用者の注意がどうしても散漫になってしまいます。特に子どもは外に出て行ってしまいたくなってしまいます」

自然光をやわらげるために設置されたディフューザー
自然光をやわらげるために設置されたディフューザー

ディフューザーが天井を覆うように設置されている
ディフューザーが天井を覆うように設置されている

明るさセンサーと補助照明
明るさセンサーと補助照明

展示物にとりつけられたモーションセンサー。展示の前に人が来たときだけ電源が入る
展示物にとりつけられたモーションセンサー。展示の前に人が来たときだけ電源が入る

環境教育用の教室にも自然光が取り入れられているが、子どもたちの注意力が散漫にならないように、採光窓は高い位置につけられている
環境教育用の教室にも自然光が取り入れられているが、子どもたちの注意力が散漫にならないように、採光窓は高い位置につけられている

 モーションセンサーやタイマーなども採用され、照明の使用を最小限にする工夫があちこちにみられる。エネルギーの値段が安いアメリカでは、こうした省エネルギーの取り組みはめずらしい。
 「自然光を取り入れることは、経費削減や、職員の作業効率を高めるという効果もあります。また、教育的な面からも、野外の環境が取り入れられることにより学習効果が増進されるといわれています」
 天井が高いのには他にも理由がある。天井が低いと暗く閉鎖的なイメージを与えてしまい、なかなか利用者が入ってきてくれないそうだ。
 「利用者が抵抗なく施設に入ってくる雰囲気を作るためには、利用者の興味をひきつけるような施設の大きさやデザインが求められます」
 給湯は集中ボイラー式ではなく、お湯を使用する場所ごとで必要なお湯をつくる「オンサイト」の加熱装置を使用しているという。
 「従来の集中ボイラーだと、必要以上のお湯を作って長い距離を流すため効率が悪いのです。ビジターセンターのような施設では常時給湯が必要な訳ではありません」

講堂の前面にも窓が設置されている。テーマや聴衆によって効果的な設定が可能だ
講堂の前面にも窓が設置されている。テーマや聴衆によって効果的な設定が可能だ

明るいエントランス。広々としていて圧迫感がなく、ボランティアもいて活気がある
明るいエントランス。広々としていて圧迫感がなく、ボランティアもいて活気がある

エントランスホールには、国内の国立野生生物保護区システムに関する解説板が設置され、この保護区がこうした大きな保護区システムを構成していることを印象付けている
エントランスホールには、国内の国立野生生物保護区システムに関する解説板が設置され、この保護区がこうした大きな保護区システムを構成していることを印象付けている

 建築材料も工夫されている。
 「建物の構造材には持続可能な管理が行われている森林から生産された木材が使用されています。強度を出すため、集成材を利用しています」
 床は何と竹の集成材だ。カーペットの部分も、再生プラスチック、コルク、そして廃タイヤを使用した再生ゴムなどを用いた四角のマットが敷き詰められている。

竹の集成材を使用した床
竹の集成材を使用した床

竹や集成木材が多用された室内。明るく、やわらかい色調になっている
竹や集成木材が多用された室内。明るく、やわらかい色調になっている

再生プラスチック素材を使った四角のマット
再生プラスチック素材を使った四角のマット

廃タイヤを原料とする再生ゴムを用いたマット
廃タイヤを原料とする再生ゴムを用いたマット

展示物の照明はなるべく低い位置に取り付けられていて交換が楽なように配慮されている。できるだけ汎用電球を使うことで、消耗品の費用を抑制している
展示物の照明はなるべく低い位置に取り付けられていて交換が楽なように配慮されている。できるだけ汎用電球を使うことで、消耗品の費用を抑制している

 「建築物の総工費は約1,000万ドルで、そのうち展示物の制作費用は100万ドル程度でした。建設費用は、各種の予算を組み合わせて捻出しました。保護区の入場料収入は、500万ドルを超える建設事業には使用できませんが、施設の維持管理費として使っています」
 維持管理費を低く抑える工夫もある。
 「設計の際、電球などの交換部品の種類を減らし、汎用品を使えるよう依頼しました。展示についても、特別な機材ではなく、一般に販売されているモニターとDVDプレーヤーを使用するようにしました」
 天井は高いものの、照明器具の設置位置は低くしてあって、脚立があれば自力で交換ができるという。こうした点は、デザインを優先した国立公園の施設にはあまり見られない特徴だろう。
 「展示内容の変更については、地域事務所が契約しているデザイン会社2社に依頼しています。現在の契約業者2社のうち1社は、このセンターをデザインした会社です。今後5年間はその業者が面倒をみてくれるはずです」
 展示にはいろいろ細かい変更がつきものであるが、これなら安心して業者に任せることができそうだ。

展示室をインタープリターが案内してくれた。展示はそれほど特別なものでないが、いろいろな工夫がある
展示室をインタープリターが案内してくれた。展示はそれほど特別なものでないが、いろいろな工夫がある
展示室をインタープリターが案内してくれた。
展示はそれほど特別なものでないが、いろいろな工夫がある

国立野生生物保護区の管理方針

アメリカにおける国立野生生物保護区の箇所数の推移
アメリカにおける国立野生生物保護区の箇所数の推移 ※拡大図はこちら

 「魚類野生生物局は、野生生物の保護を第一に掲げています。その点で、利用者を第一に考えている国立公園局とは対照的といえます。それゆえ、利用者からの評価の高い国立公園局の予算と、魚類野生生物保護区の予算規模とでは大きな開きが生じ、おおよそ18倍にもなるといわれています」
 ちなみに、総面積からいえば、国立公園システムよりも国立野生生物保護システムの総面積の方が若干大きい(第33話参照)。
 さらに、その箇所数も増加の一途で、規模や箇所数が横ばいの国立公園システムとは対照的だ。それだけに、経費や人員は常に不足している。

チンカティーグ国立野生生物保護区のパンフレット。すべての情報をひとつのパンフに含めるのではなく、用途に応じて使い分けられるようにいくつかの種類のパンフを用意している。
チンカティーグ国立野生生物保護区のパンフレット。すべての情報をひとつのパンフに含めるのではなく、用途に応じて使い分けられるようにいくつかの種類のパンフを用意している。
保護区内の生物についても、それぞれ別のパンフレットを用意している。これもコスト削減の取組といえる
保護区内の生物についても、それぞれ別のパンフレットを用意している。これもコスト削減の取組といえる
保護区のパンフに掲載されている区域図。それほど質は高くないが必要十分な情報が含まれている
保護区のパンフに掲載されている区域図。それほど質は高くないが必要十分な情報が含まれている
国立公園局が制作したパンフ。印刷の質が高く多くの情報を含むが、製作コストも高い
国立公園局が制作したパンフ。印刷の質が高く多くの情報を含むが、製作コストも高い
国立公園局のパンフに掲載されている区域図。GISを最大限に活用し、非常に質が高い。色彩も鮮やかで細かいが製作コストも高い。予算に余裕がなければこのような印刷物は作れないだろう
国立公園局のパンフに掲載されている区域図。GISを最大限に活用し、非常に質が高い。色彩も鮮やかで細かいが製作コストも高い。予算に余裕がなければこのような印刷物は作れないだろう

 国立公園局と魚類野生生物局は、同じ内務省内の政府機関でありながら、待遇には違いがあるという。
 「魚類野生生物局職員のポストには、給与やランクが低いものが多いのです」
 にもかかわらず、魚類野生生物局の職員には、比較的現場に近く、野生生物の保護などに直接かかわることのできるポストを好み、同じポストに長くとどまる傾向があるという。
 「国立公園局がインタープリテーション(自然解説)の面で優れているといわれているのに対し、魚類野生生物局は科学の分野が高く評価されてきました」 
 この保護区で保護対象にしているもののひとつに、チドリがある。
 Piping Ploverは1986年に絶滅危惧種に指定されたチドリの一種で、この保護区では1988年より海岸の立ち入り制限を行っている。
 「毎年繁殖期になると、6〜7人のインターンが配置されます。インターンは主に学生で、モニタリングを担当します」
 学生には無償の宿舎と食費が提供される。
 保護区には3名の生物学者と1名の生物技術職員が勤務しているが、こうしたモニタリングにはとても手が回らない。

保護区の大西洋側には原生的な砂浜が広がっている。ここならチドリも繁殖できるだろう
保護区の大西洋側には原生的な砂浜が広がっている。ここならチドリも繁殖できるだろう
保護区の大西洋側には原生的な砂浜が広がっている。ここならチドリも繁殖できるだろう
砂浜にはシギもみられた
砂浜にはシギもみられた
砂浜の一部はオフロード車利用にも開放されており、多様なレクリエーション利用への対応も配慮されている
砂浜の一部はオフロード車利用にも開放されており、多様なレクリエーション利用への対応も配慮されている

 一方、ビジターサービス職員は7名が勤務していて、利用者向けのサービスは比較的充実している。首都圏から近く、利用者が多いことがその主な理由だ。
 「夏期は入場料金を徴収するための職員を3名臨時雇用するので、ビジターサービス部門は総勢10名になります」
 これは、政府が近年採用しているフィー・プログラム【1】との関連が深い。それまではすべて国庫に納入されていた入場料収入が、徴収されたそれぞれの保護区で使えるようになったのだ。ただし、使途はビジターサービス関係に限られる。職員の給与には充てられないが、臨時職員を雇用することはできる。このため、野生生物保護区でもビジターサービスが充実される傾向にある。
 「以前保護区入口にあったビジターセンターには水道がなく、トイレは隣接する便槽式トイレを使用してもらっていました。ビジターセンターが営業していても、管理上トイレが閉鎖されている時期もありました。それを考えるとビジターサービスは大幅に改善されています」

 なお、魚類野生生物局は、野生生物保護区の管理方針の優先順位(管理ヒエラルキー)を定めている(下表参照)。野生生物の保護を最優先にしながら、関連のある利用者の活動も許容する。もし、それらの活動が競合する場合には、優先順位に従って調整が行われる。明確な管理方針が、こうした透明性の高い優先順位付けを可能にしている。
 野生生物の生息や繁殖にあまり影響のない砂浜は、区域を区切った上でオフロード車の利用のために開放されている。このような例も、野生生物保護区の管理方針の特徴をあらわしているといえる。

表1 保護区システムの利用のヒエラルキー(The hierarchy of Refuge System designated uses)
主たる利用目的
(Primary Uses)
1. それぞれの保護区の設立目的に基づくもの
2. 保全を目的とするもの(ただし、1. の保護区の設立目的に反しないもの)
第2の利用目的
(Secondary Uses)
3. 野生生物に依存するレクリエーション(優先的一般利用)
(狩猟、つり、野生生物観察・写真撮影、環境教育、自然解説など)
主たる利用目的と補完的なものについて、
−15年ごとに再評価を行う
−魚類野生生物局の義務として推進する
第3の利用目的
(Tertiary Uses)
4. その他のレクリエーション利用
(スノーモービル、ボート、オフロード車両などでの利用)
第2の利用目的の補完的で、主たる利用目的に反しないものについて、10年ごとに再評価を行う。
第4の利用目的
(Quaternary Uses)
5A. 保護区管理のための経済的活動
(間伐、捕獲、牧草採草など)
5B. 自然資源の経済利用(その他の利用)
(伐採、放牧、石油・ガス生産、送電など)
 主たる目的と補完的であり、第2、第3の利用目的にも反せず、かつ、主たる目的の達成に貢献するものについて、10年ごとに再評価を行う。

 なお、非経済的管理行為(水位調節、外来種対策、科学的モニタリングなど)は利用には含まれない。
The National Wildlife refuges: Coordinating a Conservation System through Law (Robert L. Fischman 2003, Island Press) の93ページ図6.1を翻訳し一部改変

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