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No.235

Issued: 2014.11.21

IPCC第5次評価報告書統合報告書が公表されました(環境省地球環境局総務課)

 近年、我が国においてこれまで経験したことがないような猛暑や豪雨が続発しており、その多くは気候変動の影響である可能性が指摘されています。世界的にも、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)において、温室効果ガスによる気候変動の見通しや、自然や社会経済への影響、温室効果ガスの排出削減に関する評価など、最新の研究成果に対して評価を行っています。そのIPCCにおいて、昨年から今年にかけて、3つの作業部会にて第5次評価報告書が作成され、今月2日には、これらの結果をまとめた統合報告書が公表されました。
 今回は、第5次評価報告書の概要についてご紹介します。

気候変動の状況と今後の見通し

1986年〜2005年を基準とした世界の年平均地上気温の変化(出典:第5次評価報告書より一部改変)
1986年〜2005年を基準とした世界の年平均地上気温の変化(出典:第5次評価報告書より一部改変)
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 地球温暖化について疑う余地がないことが改めて指摘されました。観測事実としては、世界の平均地上気温は、1850年〜1900年と1986年〜2005年を比較して0.61℃上昇したこと、さらには、1950年代以降観測された気温の上昇は、過去の数十年から数千年の間にわたり前例のないものであることが示されています。
 また、こうした地球温暖化の原因については、人間による影響が20世紀半ば以降に観測された温暖化の支配的な原因であった可能性が極めて高いと指摘されています。
 地球温暖化の将来予測については、厳しい温暖化対策を取った場合、1986年〜2005年と比べて2081年〜2100年までの世界の平均地上気温が0.3〜1.7℃上昇し、世界の平均海面水位が26〜55cm上昇する可能性が高いことが予測されています。一方、厳しい温暖化対策を取らなかった場合、平均気温が2.6〜4.8℃、平均海面水位が45〜82cm上昇する可能性が高いと予測されています。 
 さらに、CO2の累積排出量と世界の平均地上気温の変化はほぼ比例関係にあり、最終的に気温が何℃上昇するかは累積排出量によって決定づけられると指摘されました。世界の平均地上気温の上昇を産業革命以前と比べ2℃未満に抑える、いわゆる「2℃目標」は、CO2の累積排出量を約8200億t-C以下に抑えることで50%以上の確率で達成できるとされています。1870年から2011年までに約5150億t-CのCO2が排出されているとされており、世界のCO2年間排出量は2002年から2011年の平均で約92億t-Cであるため、このままの排出が続けば、約30年で約8200億t-Cに達することとなります。早い段階から厳しい地球温暖化対策を講ずる必要があると言えます。

気候変動による自然や社会経済への影響

ここ数十年における気候変動に起因する影響の世界的パターン(出典:第5次評価報告書より一部改変)
ここ数十年における気候変動に起因する影響の世界的パターン(出典:第5次評価報告書より一部改変)
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 ここ数十年、すべての大陸や海洋に気候変動の影響が現れていると指摘しています。また、将来予測についても、1986年〜2005年平均気温と比較して1℃の気温上昇でも、熱波、極端な降水、沿岸域の氾濫のような「極端な気象現象」のリスクが高くなり、2℃上昇では、北極海氷システムやサンゴ礁が非常に高いリスクにさらされ、3℃上昇に至っては、氷床の消失による大規模で不可逆的な海面水位の上昇のリスクが高くなることが示されています。
 このため、現状を上回る温室効果ガスの排出削減(緩和策)が行われない場合、気候変動の影響に対する対処(適応策)を実施しても、深刻で、広範かつ不可逆的な影響が発生するリスクは高くなるわけですが、気温上昇を産業革命前に比べて2℃未満に抑えられる可能性が高い道筋は複数あると指摘されています。

温室効果ガスの排出削減に関する評価

 気温上昇を産業革命前に比べて2℃未満に抑えられる可能性が高いシナリオ(今世紀末で温室効果ガス濃度が450ppm)では、

  1. 2010年と比べ、2050年の世界の温室効果ガス排出量を40〜70%削減し、更に、2100年には世界の温室効果ガスの排出量がほぼゼロ又はそれ以下に削減すること、
  2. エネルギー効率がより急速に改善され、低炭素エネルギー(再生可能エネルギー、原子力エネルギー、二酸化炭素回収・貯留(CCS)を伴う化石エネルギーやCCSを伴うバイオエネルギー(BECCS))の一次エネルギーに占める割合を、2050年までに2010年の3〜4倍近くに増加させること、

が必要であると指摘されています。
 さらに、2030年まで緩和の取組が遅れると、気温上昇が産業革命前に比べて2℃未満に抑え続けるための選択肢の幅が狭まると算定しています。

今後の地球温暖化対策に向けて

 この第5次評価報告書は、気候変動枠組条約締約国会議(COP)における国際交渉を始めとする、地球温暖化対策のための様々な議論に科学的根拠を与える重要な資料になります。現在、世界的には、来年末にパリで開催されるCOP21において、2020年以降の新たな国際枠組みの合意に向けた交渉が行われています。今後、この第5次評価報告書をしっかりと受け止め、国内外の地球温暖化対策に一層取り組んでいく必要があります。

記事・図版:環境省地球環境局総務課