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目次
今回の法改正の背景
法改正の概要
【1】地方公共団体実行計画
 国の地球温暖化対策計画に即して策定するものとされている地方公共団体の計画のことです。地方公共団体実行計画は、大きく分けて2つの部分(「事務事業編」と「区域施策編」)から構成されます。
 1.地方公共団体実行計画(事務事業編)は、地方公共団体自らの事務・事業に伴い発生する温室効果ガスの排出削減等に向けて、計画期間に達成すべき目標を設定し、その目標を達成するために実施する措置の内容を定めるものです。全ての都道府県、市町村に策定義務があります(地球温暖化対策推進法第21条第1項)。
 2.地方公共団体実行計画(区域施策編)は、その区域の自然的社会的条件に応じて温室効果ガスの排出の抑制等を行うための施策を定めるものです。都道府県、政令指定都市、中核市(施行時特例市を含む。)に策定義務があります(地球温暖化対策推進法第21条第3項)。また、その他の市町村に策定の努力義務があります(同 第19条第2項)。

No.253

Issued: 2016.07.29

地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律について(環境省地球環境局)

 昨年12月のCOP21で採択されたパリ協定は、先進国・途上国という従来の二分論を超えて、歴史上初めて全ての国が参加する温室効果ガス排出削減等のための枠組みです。長期目標として2℃目標の設定(1.5℃に抑える努力を追求)、温室効果ガスの削減目標の5年ごとの提出・更新、適応計画プロセスや行動の実施等を内容とするパリ協定の採択によって、地球温暖化対策は国際的に新しいステージに入り、これに呼応して、我が国の国内の地球温暖化対策も新しいステージに入ることとなります。
 我が国は、COP21に先立つ昨年7月に、我が国の温室効果ガス排出量の中期削減目標について、温室効果ガス排出量を2030年度に2013年度比で26.0%(2005年度比で25.4%)削減するとの目標を柱とする「日本の約束草案」を国連に提出しました。
 今後、パリ協定と約束草案を踏まえて本年5月に閣議決定した地球温暖化対策計画に基づき、2030年度目標の実現に向けて、また、2050年に80%削減するとの長期目標の実現に向けて、着実に取組を進めることとなります。
 温室効果ガスの排出削減目標の達成に向けて、民生部門での4割削減を実現するための国民運動の強化、国際協力の強化、地域における温暖化対策の促進を柱とする「地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律(平成28年法律第50号)(以下「改正法」という。)」は、これらの施策を強化する基盤となっていくものです。
※改正法は、本年5月20日に成立し、同月27日に公布・施行されました。

今回の法改正の背景

パリ協定から始めるアクション50-80
パリ協定から始めるアクション50-80 ※拡大図はこちら

 我が国が約束草案で示した2030年度の温室効果ガス排出削減目標は、エネルギーミックスと整合的なものとなるよう、技術的制約、コスト面の課題などを十分に考慮した裏付けのある対策・施策や技術の積み上げによる実現可能なものとなっています。この削減目標を達成するための対策・施策を取りまとめたものが、地球温暖化対策の推進に関する法律(以下「地球温暖化対策推進法」という。)第8条第1項に基づき策定された「地球温暖化対策計画」です。
 また、昨年12月に採択されたパリ協定においては、世界共通の長期目標として2℃目標を設定しています。これを踏まえ、地球温暖化対策計画においても、長期的目標として2050年までに80%削減を目指すことを位置付けました。一方、2050年80%削減に向けた大幅な排出削減は、従来の取組の延長では実現が困難です。このため、抜本的排出削減を可能とする革新的技術の研究開発・普及などイノベーションによる解決を最大限に追求するとともに、国内投資を促し、国際競争力を高め、国民に広く知恵を求めつつ、長期的、戦略的な取組の中で、大幅な排出削減を目指し、また、世界全体での削減にも貢献していくこととしております。環境省としては、今後の長期大幅削減に向け、社会構造やライフスタイルの変革などを含めた目指すべき社会の絵姿を示すため、長期低炭素ビジョンの検討に着手することとしています。


法改正の概要

改正する規定の内容
改正する規定の内容 ※拡大図はこちら

 我が国の2030年度26.0%削減目標の達成のためには、特に家庭・業務部門においては約4割という大幅な削減が必要です。また、今後の長期目標達成のためにも、国民の皆様の意識の変革やライフスタイルの転換をお願いすることが必要です。加えて、パリ協定で世界全体の気温上昇を2℃より十分下方に抑えることが規定され、国際協力を通じた地球温暖化対策が、今後ますます重要となっていきます。
 このため、今回の改正法は、普及啓発を強化するという国の方針を明示し、所要の規定を整備するとともに、国際協力を通じた地球温暖化対策の推進、地域における地球温暖化対策の推進のために必要な措置を講じようとするものです。具体的な改正内容は以下のとおりです。

(1)普及啓発・国民運動の強化

国民運動の強化について(COOL CHOICEを旗印とするムーブメントづくり)
国民運動の強化について(COOL CHOICEを旗印とするムーブメントづくり) ※拡大図はこちら

 我が国の26%削減目標達成には、民生部門(家庭・業務)4割などの大幅削減が必要であり、その実現のためには、規制、税制、補助金といった施策に加え、国民の皆様の意識の変革やライフスタイルの転換をお願いすることが必要となります。
 そのため、国の責務規定(第3条第3項)及び地球温暖化対策計画の記載事項(第8条第2項第9号)に、排出削減に関する普及啓発等を明記(法定)し、国民運動を抜本強化することとしました。まず、地球温暖化の影響が既に現れており、手をこまねいていると危機的状況になること、そして、その解決のために、一人一人が家庭や地域、オフィスでCO2排出の少ない製品・サービス・ライフスタイルを選択することが鍵になることを、更に分かりやすい形で国民の皆様にお伝えし、国民一人一人の取組強化の機運を醸成していきます。
 今回の法改正も踏まえ、既に普及啓発・国民運動の具体的な取組も進められております。環境大臣がチーム長となり、経済界などをメンバーとして効果的な普及啓発を行う「COOL CHOICE推進チーム」が本年5月に設置され、6月には第1回が開催されました。これを軸として、関係省庁が一丸となり、経済界やメディア、自治体、NPO等とも十分に連携し、具体的なメニューやメリットなど的確な情報を、全国津々浦々に提供してまいります。

※COOL CHOICE:省エネ・低炭素型の製品/サービス/行動などあらゆる「賢い選択」を促す新国民運動。クールビズ、ウォームビズもCOOL CHOICEの一つ。

(2)国際協力を通じた地球温暖化対策の推進

国際協力を通じた温暖化対策の推進
国際協力を通じた温暖化対策の推進 ※拡大図はこちら

 国内の排出削減対策に加え、地球規模の排出削減に貢献する国際協力の取組を、地球温暖化対策計画の記載事項(第8条第2項第10号)に明記(法定)しました。
 パリ協定では、世界全体の気温上昇を2℃より十分下方に抑えることが規定され、国際協力を通じた地球温暖化対策が、今後ますます重要となっていきます。今年は、4月に静岡県で日中韓三カ国環境大臣会合(TEMM(テム))が開催され、5月に富山県でG7富山環境大臣会合が開催されました。
 また、パリ協定において、二国間クレジット制度 (Joint Crediting Mechanism (JCM))(以下「JCM」という。)を含む市場メカニズムの活用が可能となり、JCMを展開していく上での国際的な位置付けが明確になりました。JCMは、途上国への優れた低炭素技術等の普及や対策実施を通じ、実現した温室効果ガスの排出削減・吸収への我が国の貢献を定量的に評価するとともに、我が国の削減目標の達成に活用する制度です。地球温暖化対策計画にも記載されている通り、JCMにより、2030年度までの累積で5千万〜1億t-CO2の温室効果ガスの排出削減・吸収量を見込んでおり、パートナー国の拡大や案件形成の支援に取り組みます。
 今後もこれらの取組を含め、この改正法を踏まえ、あらゆるフェーズによる重層的な環境外交を通じて、国際的な排出削減・吸収量の達成に向けた取組を進めていきます。

(3)地域における地球温暖化対策の推進

地方自治体の地域レベルの温暖化対策の推進
地方自治体の地域レベルの温暖化対策の推進 ※拡大図はこちら

 地域における地球温暖化対策をより効果的に推進するため、地方公共団体実行計画【1】を共同して作成することができる旨を規定(第21条第1項等)することにより、広域的な取組を促進するとともに、計画における記載事項の例示として、都市機能の集約等を追加する(第21条第3項)等の改正を行いました。

○地方公共団体実行計画の共同策定について
 複数の地方自治体が共同して事務・事業における排出抑制等のための措置や域内の排出抑制等の施策を立案し実行することで、より効果的な温室効果ガスの排出の抑制等が可能となる場合があります。例えば、長野県では、岡谷市、諏訪市、茅野市、下諏訪町及び長和町と連携して、霧ヶ峰高原及び周辺地域の低炭素化と観光振興が両立する地域づくりに向けた可能性調査と事業計画の策定に取り組んでいます。
 このような広域的な取組を促進するため、地方公共団体実行計画の共同策定ができる旨を規定しました。広域的な取組の例としては、以下のような例も考えられます。

  • 複数自治体のごみ処理を共同で行う清掃組合において、ごみ収集車の運行ルートの効率化、処理施設の稼働率の見直しにより燃料使用量の削減を行うとともに、熱回収施設を導入し廃棄物発電を行う。
  • 都市部の自治体が、住民から出資を募り、農村部の自治体と提携してバイオマス発電事業を立ち上げ、発電設備等の導入に出資を行い、電力の供給を受ける。

市街化区域人口密度と一人当たり自動車CO<sub>2</sub>との関係(出典「平成27年環境白書」)
市街化区域人口密度と一人当たり自動車CO2との関係(出典「平成27年環境白書」) ※拡大図はこちら

○都市機能の集約について
 都市の空間的な構造・特徴は、運輸部門や業務部門の排出量の基礎的な部分を規定する自動車走行量や床面積に多大な影響を与えることが分かっています。このため、CO2排出量の大幅削減の実現のためには、都市の構造を変革することも含めて対策を進めていくことが有効です。そこで、計画における記載事項の例示として、都市機能の集約等を追加することとしました。例えば、エコ住宅の設置誘導や公共交通の活性化等により、居住・商業・業務などの都市の諸機能の集積を行うことなどが考えられます。現在でも北九州市では城野地区において、エコ住宅や創エネ・省エネ設備の設置誘導、エネルギーマネジメントによるエネルギー利用の最適化、公共交通の利用促進など、様々な低炭素技術や方策を総合的に取り入れて、ゼロ・カーボン(CO2の排出を極力抑え、排出量が理論上ゼロ)を目指した住宅街区を整備しています。


※パリ協定については、過去の記事(「COP21の成果と今後」)も御参照ください。
http://www.eic.or.jp/library/pickup/pu160202-1.html

(記事:環境省地球環境局)