一般財団法人環境イノベーション情報機構

ヘルプ

サイトマップ

メールマガジン配信中

環境Q&A

塩素のBOD試験に及ぼす影響 

登録日: 2002年10月10日 最終回答日:2002年10月16日 水・土壌環境 水質汚濁

No.1126 2002-10-10 19:04:12 牛久沼のカッパ

下水処理場からの放流水のデータを見てみると、消毒前後で
BODの値が大きく異なっています(減少しています)。これは、
塩素が好気性微生物の活性を低下させるためだと思うのですが、
どうなのでしょうか。また、処理水の河川水質への影響を評価
する場合、処理場からの放流BOD負荷量としては、消毒前の値
(最終沈殿地流出水)を使うべきと考えて良いのでしょうか。
以上の二点について教えて頂ければ幸いです。

総件数 1 件  page 1/1   

No.1135 【A-1】

Re:塩素のBOD試験に及ぼす影響

2002-10-16 13:14:49 神奈川県 / あめんぼう

第2沈殿地(最終沈殿池)出口水と放流水の水質の相違については、一般的に次のような理由が考えられます。

ア 砂濾過等の高度処理(3次処理)が行われていること
イ その下水処理場に複数の系列の2沈があり(中には十数系列ある処理場も往々にしてあります)、代表する(通常、最も処理能力のある系列をそれに相当させます)2沈があまり調子がよくない場合
ウ 塩素による消毒が必要以上に行われていること
エ 滅菌地(消毒池)が過度に大きく、2沈出口水のそこでの滞留時間が数時間以上あること

アとイについては省きます。

ウについては、塩素が被検物質に残留している場合、通常チオ硫酸ナトリウム(金魚飼うときの塩素消し)溶液で中和し、その後植種をしてBOD検査に供します。しかし、その作業を行っているところはあまり見受けられません。経験ではそういった作業を施さない場合、残留塩素があると、残留の度合いにもよりますが、塩素添加前のBOD値の20〜50%以下になることもあります。また、きちんと植種をしても100%にはなりません。また、そういうことを皆よく知っているので、調子が悪いときなど必要以上に塩素を入れるところがあるとか・・・・。

エについては地方の処理場によくあることなのですが、消毒池だけは全体計画で示されている規模で作ってしまい、肝心の水処理施設は計画の十分の一程度しか竣工していないという場合です。消毒池の滞留時間(接触時間)は通常日最大汚水量(合流式、分流式どちらの排水区域を抱えているかにもよりますが)に対し、15〜20分程度を見込みます。すなわち現状では消毒池で3時間以上滞留することもよくあります。すると、細かい浮遊物質は沈殿し、結果として砂濾過を施した水の様にきれいになってしまうこともあります。

我が国で公共用水域に最も負荷を与えているのは下水処理場です。小さいところは日数百トン、大きいところでは日150万トン以上の処理水を放流しているのです。PRTR法は指定化学物質だけを対象にしていますが、リスク管理の観点から、他の項目についても、牛久沼のカッパさんのように目を光らせることが必要だと思います。

回答に対するお礼・補足

ご丁寧なご回答ありがとうございました。第2沈殿池と放流水の水質の相違の原因がよく分かりました。
あめんぼうさんの示して頂いた原因の内、エは消毒池でろ過によって処理水がさらに浄化されるのに対し、
ウの場合は、消毒過程で有機物量は減少していないにもかかわらず、BOD試験では塩素消毒の影響を受けて、
見かけ上減少したように見えるので、放流先の河川水質を評価する場合には、その取り扱いに注意が必要であるのですね。
どうもありがとうございました。

総件数 1 件  page 1/1