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環境Q&A

炭酸カルシウム(CaCO3)換算の意味 

登録日: 2002年12月02日 最終回答日:2002年12月06日 水・土壌環境 その他(水・土壌環境)

No.1322 2002-12-02 17:50:18 タロウ

初歩的な質問で心苦しいのですが、以下の事が分からないので教えてください。
水の中の硬度の算出方法は、炭酸カルシウム(CaCO3)換算といって、次の式で算出するという説明をよく見かけます。

    
 全硬度 = Ca量(mg/L)×(TB/CaG) + Mg量(mg/L)×(TB/MgG)   

     TB:炭酸カルシウムの分子量 … 100.1
     CaG:カルシウム原子量 ……… 40.1   
     MgG:マグネシウム原子量 ……… 24.3

計算は出来ますが、TB/CaGや、TB/MgGの式の必要性が分かりません。これを省略し、次の式だと何が問題なのでしょうか?

 全硬度 = Ca量(mg/L) + Mg量(mg/L)

化学に詳しい人からみると、常識以前のことかもしれませんが、色々探して、答えを見つけることが出来きず、モヤモヤしたままです。化学反応エネルギーに関係している気がしますが、・・・・

知っている方がいれば、教えてください。
宜しくお願いします。

総件数 5 件  page 1/1   

No.1326 【A-1】

Re:炭酸カルシウム(CaCO3)換算の意味

2002-12-03 14:51:24 LP

化学には無頓着ですが。

ご質問にある式を簡略にすると

硬度=〔Ca〕×2.5+〔Mg〕×4.0

というようになります。

化学反応に関係があるというのはご推察どおりだと思います。
1個の原子の重さが違っても同じような働きをする場合,1個あたりの重さを考慮しないと正しい評価ができないということからきています。

洗濯水に硬度の高い水を使用した場合,炭酸水素カルシウム類が多ければ多いほど洗濯に有用な成分が他の物質に変化して役に立たなくされるため,硬度の低い水を洗濯に利用した場合より多くの洗剤を必要とします。

たとえが「非常に不謹慎」でありますが,わかりやすく言えば

1個40グラムの毒リンゴと25グラムの毒ダンゴがあって,どちらも1個がヒト1人の致死量であるとすると,1キログラムのこれらの詰め合わせがあった場合,一人の致死量100グラムの毒キノコに換算すると何キログラムに相当するか?

ということだと思います。

総重量が同じでもリンゴ:ダンゴの比率が1:2の場合と2:1の場合では前者の場合のほうが致死量が多いということになります。

リンゴ25個1キログラム,ダンゴ40個1キログラム,あわせて2キログラムでは「あわせて2キログラム」だけの情報では内容がわかりません。
>  全硬度 = Ca量(mg/L) + Mg量(mg/L)
は式と答えがそろっていれば情報として役立ちますが答えだけではわからないと思います。

(あくまでも「たとえ」ですので,炭酸水素カルシウムなどが毒であるというたとえではありませんので念の為。)

尚,この硬度は洗濯のしにくさや工業用水としての価値の高さの尺度になりますが,水の「うまい・まずい」については若干異なり,同じ硬度であった場合でもマグネシウム分の割合が多いほうが「苦く」感じるようです。

回答に対するお礼・補足

LPさん、回答ありがとうございます。
とても、分かりやすい譬えで説明して頂いて、だいぶすっきりしてきました。
ただ、まだ少しモヤモヤしている部分があります。
LPさんのコメントで次の説明がありますが、

>1個の原子の重さが違っても同じような働きをする場合,
>1個あたりの重さを考慮しないと正しい評価ができない
>ということからきています。

 この意味が、良く理解できないのですが、つまり、

「化学反応の強さを重さという単位に置き換えて評価する」

と理解していいのでしょうか?

 度重なる質問ですが、宜しくお願いします。

No.1327 【A-2】

Re:炭酸カルシウム(CaCO3)換算の意味

2002-12-03 19:46:52 北海道 / きた

>TB/CaGや、TB/MgGの式の必要性が分かりません。
排水や用水の処理について重要な場合があります。
イオン交換樹脂を用いる場合には、炭酸カルシウムなどの換算でおおよその必要な樹脂量などが計算できます。
ですから、化学というより工学の分野とでもいうのでしょうか。便利だから使うので、化学的に意味があるからというのでもないと思います。
また、水質を測定するのに別々に測定する必要もなく、簡単に測定できるという利点があります。
http://www.try-net.or.jp/~tajima/life/soap_refresh.htm
「イオン交換樹脂の再生」
などを参照してください。
http://www.asahi-net.or.jp/~dn8t-ootk/mizu/SUISITU.html#GH
などで測定が簡単だということも分かるかもしれません。
実用的なのです。ボイラの水処理などで盛んに用いられています。

回答に対するお礼・補足

きたさん、回答ありがとうございます。
そうですか、化学ではなく工学の分野での使用ですか、それでは、化学的な説明は難しいのかもしれませんね。

それから、サイトの紹介ありがとうございます。
実用的な内容のサイトで参考になります。

No.1340 【A-3】

Re:炭酸カルシウム(CaCO3)換算の意味

2002-12-05 10:16:20 LP

---------------------------------------------
「化学反応の強さを重さという単位に置き換えて評価する」

と理解していいのでしょうか?

 度重なる質問ですが、宜しくお願いします。
---------------------------------------------

カルシウムもマグネシウムも同じ「2族元素」の仲間で原子1個あたりの働きは同じような働きをします。
マグネシウムとカルシウムは原子1個あたりの重量が違いますのでその重量比がMg:Ca=24:40ということです。

化学反応の「強さ」は別の問題で,水の硬度をあらわす場合にはさほど考慮されていません。

1個あたりの重量が違うため,集合体の重量が同じでも構成が1個あたりの重量が軽い方を多く含むもののほうが「より反応する量が多い=より多くの洗剤成分が無効にされる」ということです。

回答に対するお礼・補足

LPさん、返事が遅れ申し訳ありません。また、回答ありがとうございます。
 重さと働きの関係で理解すればいいのですね。よく分かりました。

No.1354 【A-4】

Re:炭酸カルシウム(CaCO3)換算の意味

2002-12-06 21:37:04 神奈川県 / あめんぼう

>化学反応エネルギーに関係している・・化学反応の強さを・・硬度は、そんな難しい、また厳密な指標ではありません。

全硬度=Ca量(mg/L)×(TB/CaG)+Mg量(mg/L)×(TB/MgG)
で算出されるのは既出の通りですが、次のように書き換えてみましょう。

硬度(CaCO3換算値)[mg/L]=CaCO3分子量[g/mol](Ca濃度[mg/L]/Ca原子量[g/mol]+Mg濃度[mg/L]/Mg原子量[g/mol])

右辺のCa濃度/Ca原子量+Mg濃度/Mg原子量ですが、これはその水の中に合わせて何ミリモルの2価の金属イオンが含まれているか、を示します。ここで、その後のMgの取り扱いですが次のように考えます。

自然水(地下水、河川水、湖沼水等)に含有される2価のカチオン(特に金属陽イオン)には、Ca、Mg、Fe、Cu、Mn等ありますが、CaとMgが数mg〜数十mg/L単位で含まれ、他の金属イオンはトータルで0.3mg/Lを下回ることが殆どです。従ってCaとMg以外を無視します。CaとMgは同じ2属の金属でありながら、性質は大きく異なります。Mgがアルカリ土類金属に含まれないのはその為です。しかしながら、水の一般的な使用(洗濯、飲料、ボイラー用水等)においては、殆ど同様の悪さをします。従って取り扱いの簡便化のため、MgをCaと見なします。即ち、2価の金属イオンをCaで代表させるのです。通常MgがCaの1/3程度の量であることもCaを代表値とする根拠です。

水中のCaは、日本やアメリカでは、地中に存在する炭酸カルシウム(要は石灰石)が、溶け出したと考えます。つまり、硬度はもとの炭酸カルシウムの濃度として表すのが適当だ、と考えるのです。これがアメリカ式表記です。ちなみに、ドイツ式は酸化カルシウム(生石灰)で表します。
先ほど水中のCa、Mg濃度をCaのミリモル量として算出しました。これに炭酸カルシウムの分子量を乗じれば硬度、即ち水中のCa、Mg他の炭酸カルシウム換算量[mg/L]を得ることが出来ます。

文字数を超えました。続きます。

No.1356 【A-5】

Re:炭酸カルシウム(CaCO3)換算の意味

2002-12-06 21:47:16 神奈川県 / あめんぼう

前稿に続きます。

ここで冒頭の式

全硬度=Ca量(mg/L)×(TB/CaG)+Mg量(mg/L)×(TB/MgG)

を確認します。TB/CaGとTB/MgGはそれぞれ定数です。前者は、約2.50、後者は、約4.12です。硬度を厳密に測定するには、EDTA(エチレン-ジアミン-4酢酸)法を用いますが、CaとMg濃度が何らかの方法でわかっている場合や既知の場合、硬度[mg/L]=Ca×2.5+Mg×4を便利に用います。言うまでもなく、計算する上で2.5や4は電卓なんか使わなくても大変計算しやすい値なので即座に硬度を求められるからです。
水質測定の現場では硬度の他にもこのような代理式をよく使います。

話は変わりますが、日本の飲料水の硬度は、殆ど70以下です。30〜40というのも珍しくありません。日本酒に適しているのは20〜30程度と聞いたことがあります。ヨーロッパ産のミネラルウオーターの中には400以上の硬度をもつものも珍しくありません。ドルトムント(ドイツ)のビールは超高硬度の水で出来ています。この水で仕込むとホップの苦みがよくつき、複雑な味わいを与えると現地の人に聞きました。おいしいです。

回答に対するお礼・補足

あめんぼうさん、
御礼の返事が送れ失礼しました。回答ありがとうございます。とても、詳しい説明で助かりました。

まわりで、炭酸カルシウムの分子量が100という、切れのいい数字なので用いられいるとの意見がありましが、それは誤解で、炭酸カルシウム自体に意味があったのですね。
良く分かりました。

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