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環境Q&A

森林吸収源と附属書I国全体の削減目標 

登録日: 2006年01月15日 最終回答日:2006年01月16日 地球環境 地球温暖化

No.14160 2006-01-15 11:33:46 kitakaze

「京都議定書」のCOP6、7で森林吸収源が、日本には1,300万C-t、附属書I国全体では1990年時点の3.4%が認められたと聞きました。カーボンニュートラルの考え方からすると森林吸収源は一時的な削減にすぎないので、この考え方に立つと、森林吸収源を全て利用して削減目標を達成すると削減量は附属書I国全体の目標値である5% から1.6%へと後退したことになるのでしょうか。

実際、COP 7を受けて、日本の地球温暖化対策推進大綱では、森林経営による吸収量として、COP 7で認められた1,300万C-t枠全てを利用(達成?)することを目標としているようなので、全ての附属書I国がそのようにしたら京都議定書の削減目標達成がほとんど何の意味もなくなるのではないかと思うのですが...。

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No.14164 【A-1】

Re:森林吸収源と附属書I国全体の削減目標

2006-01-16 12:49:32 森野力

>カーボンニュートラルの考え方からすると森林吸収源は一時的な削減にすぎないので、この考え方に立つと、森林吸収源を全て利用して削減目標を達成すると削減量は附属書I国全体の目標値である5% から1.6%へと後退したことになるのでしょうか。

森林吸収源については、「独特の解釈」で論評される方が多いため、京都議定書の原文を読むことを薦めます。
http://unfccc.int/resource/docs/convkp/kpeng.html

カーボンニュートラルというのは、エネルギー源としてバイオマスを燃焼させたときの話です。
 京都議定書の森林吸収とは、3条3項にあるように「土地利用の変化」と「林業活動」です。森林面積が増えれば、生態系中に固定される炭素量分だけ大気中の炭素量が減少します。だから、原生林の保護が有効なのです。
 「林業活動」の方には、若干問題がありますが、日本のように森林面積を増やす余地がない国や、援助を求める途上国への政治的配慮とみるべきでしょう。確かに、こちらだけを見ると、長期的には削減できないことになります。

回答に対するお礼・補足

京都議定書の原文読みました。英語は不得手ですが、確かに原文の意味するところをやや取り違えて解釈されているようにみえる文献もあるかと思われます。たいへん勉強させていただきました。貴重なご指摘を有り難うございました。

また、カーボンニュートラルと京都議定書に言う森林吸収に関しては、私の理解が間違っておりました。的確なご指摘を頂戴し理解の足らなさを痛感しております。

有り難うございました。

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