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環境Q&A

森林吸収分と附属書I国全体の削減目標 

登録日: 2006年01月16日 最終回答日:2006年01月17日 地球環境 地球温暖化

No.14171 2006-01-16 07:36:34 kitakaze

実はすぐ下にある同様の標題の質問で似たことをお尋ねしているのですが、その質問の内容が私の理解不足のため間違っており、ご教示いただいた森野力様にはたいへん的確なご指摘を賜りまたご迷惑をおかけしました。深くお詫びいたします。

それと同じような内容なのですが、間違いを修正したものを再度記します。お手数をおかけしますが、よろしくお願いします。

気候変動枠組条約のCOP6、7で森林吸収分を削減量としてカウントしてもよいこととその上限量が決められました。一説によると、この上限量は附属書I国全体では1990年時点の排出量の3.4%に当たると言われています。これを正しいとしてかつ森林吸収分を全てカウントして削減目標を達成すると、発生源における削減量(工場、自動車、暖房器具などからの排出量の削減量)は附属書I国全体としては1.6%(=5-3.4)でよいことになるのでしょうか。

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No.14187 【A-1】

Re:森林吸収分と附属書I国全体の削減目標

2006-01-17 13:58:54 森野力

>気候変動枠組条約のCOP6、7で森林吸収分を削減量としてカウントしてもよいこととその上限量が決められました。一説によると、この上限量は附属書I国全体では1990年時点の排出量の3.4%に当たると言われています。これを正しいとしてかつ森林吸収分を全てカウントして削減目標を達成すると、発生源における削減量(工場、自動車、暖房器具などからの排出量の削減量)は附属書I国全体としては1.6%(=5-3.4)でよいことになるのでしょうか。

「一説によると」ですから、その説を述べている人に尋ねるのが適切かと思います。私も聞いてみたいところ。

削減目標は政治的な数値であって、それを達成すれば二酸化炭素濃度の上昇が抑えられるという数値ではありません。まず、これを認識してください。「正しい」かどうかではなくて、「実現可能」かどうかです。

附属書I国全体には条約を離脱したアメリカも入っていますので、そのような議論は意味がないと思います。

日本の場合ですと、3.9%相当までは森林吸収のカウントを認める。そうすれば、残り2.1%に向けて努力をするだろう。6%の純減を強いたならば、離脱するかもしれない。欧州勢がそう考えたとしたら? 削減を実現するためには、現実的なやり方だと思います。

回答に対するお礼・補足

「政治的な数値」というご指摘は確かにそのとおりだと思いました。そのような見方をしたことがなかったので、目から鱗の思いでした。でも、確かにそうですね。各国が容認できなければ何にもなりませんね。
有り難うございました。

No.14189 【A-2】

Re:森林吸収分と附属書I国全体の削減目標

2006-01-17 16:29:09 東京都 / 君山銀針

・COP7「マラケシュ合意」の決定文書暫定和訳 http://www.gispri.or.jp/kankyo/unfccc/COP7020121.html 掲載の「土地利用、土地利用の変化、林業」に各国の森林吸収量の適用上限値の附属書がのっていますが、%ではなく炭素Mt単位での表記なので、これを各国の%に直す場合に、計算のしかたによって誤差が生じる可能性があります。

・また「マラケシュ合意」ので上限値のほか、CDMで実施する「植林、再植林」事業から得られる認証排出削減量(CERs)の上限をこれに加える必要があります。

http://www.eic.or.jp/qa/?act=view&serial=251に「今回の合意の結果、先進国全体で3.4%の削減に相当する吸収量が認められ、先進国全体での吸収源を除いた削減目標は、5.2%から実質1.8%まで目減りしてしまいました」と書きましたが、これはhttp://www.jccca.org/cop/0/5-03.htmlや http://www.jccca.org/cop/7/sink-F.html に掲載されているWWFの試算値をもとにしたもので、CDM シンクの量も加えた試算です。(京都議定書の附属書T国の削減目標の合計は5.2%)

他のNGO(下記)の計算では、マラケッシュ合意に基づくシンクの利用可能量を−2.3%、CDM シンクを加えると3.3%の削減に相当する吸収量が認められたと計算している場合もあります。

特定非営利活動法人 地球環境と大気汚染を考える全国市民会議の文書
http://www.bnet.jp/casa/teigen/paper/FCCC-CP-2001-L7tnt.pdf
http://www.bnet.jp/casa/cop/cop7/MA-ANALYSIS-CASA.pdf

回答に対するお礼・補足

議論はたいへん微妙なんですね。でも、自然を相手にしたことですから、当然と言えば当然ですね。
また、たくさんのWebサイトをお教えいただいて、勉強させていただきました。

有り難うございました。

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