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環境Q&A

硝化・脱窒反応におけるpHについて 

登録日: 2006年01月23日 最終回答日:2006年01月30日 水・土壌環境 水質汚濁

No.14312 2006-01-23 03:58:28 しゅーどもなす

好気→嫌気槽の組み合わせからなる処理フローは、硝化を単独で行う方法に比べて脱窒されることにより、アルカリ度の消費が半分ですみ、pH低下を防いでくれるそうなのですが・・・
浄化槽でみられるように、嫌気→好気槽の順で処理し、好気槽の一部を前段の嫌気槽に戻した場合における嫌気槽のpHは、どうなってしまうのでしょうか?
好気槽でアルカリ度が消費された水が脱窒してもアルカリ度は、マイナスになるのでpHが低下するのでしょうか?

誰か詳しい方がいらっしゃれば、教えて頂けないでしょうか?

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No.14343 【A-1】

Re:硝化・脱窒反応におけるpHについて

2006-01-24 22:31:33 papa

>誰か詳しい方がいらっしゃれば、教えて頂けないでしょうか?
詳しいほうですが、用語(アルカリ度)の意味を質問者が理解できていないように思います。
生物学的硝化脱窒については下記の回答をごらんください。
http://www.eic.or.jp/qa/?act=view&serial=11685

回答に対するお礼・補足

回答ありがとうございます。
〉用語(アルカリ度)の意味を質問者が理解できていないように思います。

未熟ものなもので・・・どうもすみません。アルカリ度の測定方法やどうなるとアルカリ度が変化するかは、理解しているつもりなのですが、アルカリ度がどの程度で処理水に影響を与えるかについては、なかなか理解しにくいのです。その点、再度教えて頂けないでしょうか?

あと、質問の説明の補足ですが・・・
アンモニア性窒素1mg/Lが硝化でアルカリ度7.14mg/L消費し、脱窒で3.57mg/L生成することは、ご存知だと思うのですが・・・一般的な硝化脱窒反応プロセスの場合、後段の脱窒槽では、アルカリ度が生成される為(その他の要因もありますが・・・)、pHが上がると理解しています。しかし、高度処理型合併処理浄化槽のように、好気槽の一部を前段の嫌気槽に戻した場合は、脱窒槽が好気槽の前にきます。その時の循環水は、硝化によるアルカリ度消費量が脱窒による生成量よりも多い為、硝化前のアルカリ度よりマイナスになります。で、このアルカリ度が下がった循環水を返送することによって、嫌気槽のpHにどの程度影響するものなのかを知りたいのです。

ポリリン酸蓄積細菌等についても詳しいことからも、水処理分野にpapaさんは、とっても詳しいようですね。
どうかこの点についても、教えて頂けると助かります。

No.14359 【A-2】

Re:硝化・脱窒反応におけるpHについて

2006-01-25 16:34:43 papa

アルカリ度は、炭酸塩、炭酸水素塩、有機酸、炭酸ガス、水酸イオンなどの成分が含まれる水溶液を所定のpHとするまでに必要な酸の量を炭酸カルシウムに換算して表示することにより、pH緩衝性の程度を把握するものです。
アルカリ度とpHには直接的な関係がありません。
このことを理解するには、希薄水溶液における弱酸の解離平衡について基本的な勉強が必要です。
水処理におけるアルカリ度把握の意義は、pHだけでは把握が難しい硝化の進行を簡便な測定で把握することができることや、無機凝集剤の添加限度を推測できることなどです。
硝酸呼吸(脱窒)では、窒素ガスが系外に揮散するために、基質から酸化態窒素に伝達される電子を、一連の化学反応の物質収支では水酸イオン生成の形で反応式を記述することができます。
このことを「アルカリ度の生成」として表現しているようですが、もっと単純に「硝化で低下したpHが脱窒により低下した分の半分は回復する」というほうが化学的にも正確でわかり易いと思います。
現在はアルカリ度に頼らなくとも、イオンクロマトなどで形態別窒素の分析が容易にできますので、アルカリ度を硝化の把握のために測定しているところはほとんどないと思いますし、その必要もありません。
生物学的脱窒脱りんについては、装置の仕組みも含めて、前掲回答の参考図書にわかりやすく記述されていますので是非ご覧ください。
なお、浄化槽の嫌気ろ床が正常に機能していれば、嫌気分解により有機酸や炭酸ガスの発生がありますので、pHは低下し、アルカリ度は上昇します。ご質問の中ではアルカリ度の意味を誤解しているのではないかと思います。

No.14422 【A-3】

Re:硝化・脱窒反応におけるpHについて

2006-01-28 11:58:44 クマムシ

>浄化槽でみられるように、嫌気→好気槽の順で処理し、好気槽の一部を前段の嫌気槽に戻した場合における嫌気槽のpHは、どうなってしまうのでしょうか?


私の経験した嫌気・好気法の下水処理施設に限って言いますと、硝化促進の時は、phの低下した返送汚泥が大量に流入するため、硝化抑制の時より、わずかに低下する傾向にあります。
ただ、第一槽目は、phなどの性状が絶えず変化する汚水が流入するところですから、そんなわずかの変化に何かの意味を読み取るのは、ちょっと無理があると思います。

No.14453 【A-4】

Re:硝化・脱窒反応におけるpHについて

2006-01-30 23:30:14 山形県 / いちこつ


以前担当したし尿処理場では、低希釈2段活性汚泥処理方式、好気→嫌気槽の組み合わせからなる処理装置でし尿を処理していました。始めに、し尿を5倍程度の水で希釈し、1段目の嫌気槽に投入し還元反応を、その後、その混合液を1段目の好気槽に移し酸化反応を行わせます。1段目の好気槽から1段目の嫌気槽に反応液を循環混合させます。希釈し尿の投入分了だけ、2段目の嫌気槽、好気槽に混合液が移り、脱窒、BOD処理
が完了します。必要に応じ2段目の嫌気槽では、水素供与体としてのメタノールを添加します。窒素除去率は95%以上ありました。
 pHは、アンモニア性窒素1モルに対して酸化により2モルのH+、硝酸生窒素の還元反応で1モルのOH-が生じ、これらが混合されると、結果的に1モルのH+が残ります。実際にはし尿1kL当たり25%苛性ソーダ液2から3kg程度を1段目の好気槽に添加し、中和しておりました。(Mアルカリ度を0とした場合の10分の1程度の量)
 し尿のBODと窒素のバランス(硝酸性窒素1kg脱膣するのに2.86kgのBODが必要)なども関係しますので、詳しくは、し尿処理についての文献を参考にしてみてください。
 うまく説明できず、ごめんなさい。

回答に対するお礼・補足

papaさん、クマムシさん、いちこつさん
丁寧な回答して頂きありがとうございました。

硝化・脱窒によるアルカリ度の変化とpHの間には、あまり関係がないということがわかり勉強になりました。

実は、浄化槽とは全く違うのですが嫌気1→嫌気2→好気の順番で、好気槽の一部を嫌気1に返送するタイプAと嫌気1と嫌気2の両方に返送するタイプBについてラボスケールでの実験を行っていまして、その中で嫌気1槽において著しいpHの違いが(タイプAは、中性付近、タイプBは、酸性)みられ、その原因が硝化・脱窒に関わるのかと思ったのです。つまり、嫌気1槽では、タイプBよりAの方が脱窒する割合が多い為、pHが中性域になったのかと考え、このような質問をさせて頂いたのです。

ちなみに、嫌気1槽だけを考えると流入する廃水及び好気槽から返送する循環水の量やpH、CODは、ほぼ同じです。ただ違うことは、タイプAはタイプBに比べ循環比が少ない(嫌気2槽に返送しない)為、全窒素及び硝酸態窒素濃度は違います。

実験の詳細は、あまり記入していない為わかりにくいですが、みなさんどのような見解を持ったか教えて頂けると助かります。

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