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環境Q&A

下水処理場やし尿処理施設の汚泥処理について 

登録日: 2006年05月21日 最終回答日:2006年05月23日 ごみ・リサイクル リサイクル

No.16619 2006-05-21 08:29:27 山田太郎

最近某下水処理場の市職員の人とかかわる様になり、いろいろ話を聞くうちに
汚泥処理方法としての嫌気性消化はほとんど使用されていなく、今では消化設備
は撤去されて高性能な脱水−焼却設備のみになっている様です

ネット上やいろいろ書物を見る限りでは嫌気性消化は汚泥の減量化や発生する
ガスの再利用等で有効と云うことですが

現実、標準活性やOD方式だと発生する余剰汚泥は嫌気性消化等で減量化しないと
脱水汚泥が膨大になると予想できるのですが

現在では一般的な下水処理場やし尿処理施設では嫌気性消化は使用されない方向
にあるのでしょうか?

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No.16633 【A-1】

Re:下水処理場やし尿処理施設の汚泥処理について

2006-05-23 18:18:06 水商売にだまされないで

排水処理でどれだけキレイになったかを判断する指標はBOD、CODなどです。生物処理によって生じるのは生物によって酸化された有機物と、有機物を食べて太った微生物です。
汚泥減量法として、せっかく有機物を固定した汚泥を超音波などの機械的方法で破砕する方法が提案されていますが、この方法では固定された有機物が液体分子に戻ってしまいます。機械的破砕法で生じた排水は原水槽に戻されるので、生物処理槽の負荷が高くなるだけです。
嫌気性消化も同様に、せっかく酸化された有機物を還元してしまうので、本当にCODやBODの低減になっているのか怪しいところです。
排水処理の分野では新しい方法が次々と提案されていますが、全体として有機物による汚染が減少しているか疑わしいものもたくさんあります。バイオガスが生じるからといっても、一定量で高品質のバイオガスを安定的に供給できなければ、ビジネスになりません。ゴミペレット燃料がもてはやされたこともありましたが、品質面や供給量が不安定で成功していません。
排水処理分野には、化学や微生物学にウトイ人が、専門家の様な顔をして、大手を振って歩いていますが、簡単に信じてはいけません。
脱水機と焼却設備に置き換わっているとしたら、この辺が原因ではないでしょうか?

回答に対するお礼・補足

回答ありがとうございます

>バイオガスが生じるからといっても、一定量で高品質のバイオガスを安定的に供給できなければ、ビジネスになりません。
>ゴミペレット燃料がもてはやされたこともありましたが、品質面や供給量が不安定で成功していません。

せっかくできたガスも再利用できなくて、臭気などの弊害の方が多いのかな
予算や手間を嫌う、あほな役所は時代の流れに逆行していく所もあるのかもしれません

超音波での汚泥破砕ですが、これは程度の問題で生物処理槽の負荷が高くなっても全体的にうまく行く
所があると思いますが、さらなる研究を願います。

嫌気性消化のことですか、嫌気性消化でガス発生した分、いくら還元したからと言って物質収支の観点から
CODやBODの低減ならないのは不思議です

No.16636 【A-2】

Re:下水処理場やし尿処理施設の汚泥処理について

2006-05-23 19:59:54 TM

私は某メーカーの会社員です。
下水の消化処理は行われていないのか?とのご質問ですが、全くそのようなことはありません。
確かに2000年以前は消化設備はその維持管理の煩雑さから採用を見送る自治体が多く見られましたが、近年のバイオマス・ニッポン総合戦略に則って、消化ガス有効利用が積極的に進められようとしています。全国約900箇所の下水処理場(小規模を除く)の内、300箇所には消化設備があります。発生した消化ガスにより発電を行っている処理場は20箇所以上あります。
 行政としては積極的なのですが、消化の維持管理が手間なのは変わりませんので、知り合いの某処理場職員は「(消化の)止め時を無くした。」とぼやいておりました。
 ちなみに消化工程は、有機物としての炭素をメタンとして取り出しますのでBODやCODの増加は小さいかほとんどありませんが、嫌気処理によりリン・窒素の再溶出するため、水処理の運転の負担にはなります。
 基本的に汚泥処理プロセスは自治体毎に方針が決められますから、某市職員の方には自身の自治体の状況しかご存じないのではと思われます。
乱筆・乱文ご容赦下さい。
 

回答に対するお礼・補足

>全国約900箇所の下水処理場(小規模を除く)の内、300箇所には消化設備があります。発生した消化ガスにより
>発電を行っている処理場は20箇所以上あります。

ほしい情報だったので、ありがとうこざいます。
内容については、多いのか少ないのか?今後どうなっていくのか?ん〜と云う感じです

No.16638 【A-3】

Re:下水処理場やし尿処理施設の汚泥処理について

2006-05-23 23:24:12 papa

>現実、標準活性やOD方式だと発生する余剰汚泥は嫌気性消化等で減量化しないと脱水汚泥が膨大になると予想できるのですが
ウェットベースで考えると、脱水前の汚泥量は減量化になりませんが、ドライベースならほぼ半分になります。従って脱水後工程の処理量が半分になりますから、大きな減量効果があります。
>現在では一般的な下水処理場やし尿処理施設では嫌気性消化は使用されない方向>にあるのでしょうか?
し尿処理で扱う汚泥量は大きいところで1処理場当たり300m3/日くらいですから、ドライベースでは人口10万人程度の地方都市下水処理場の汚泥処理量程度です。これくらいでは費用対効果は小さいと思いますので、し尿処理や小規模処理場では採用が困難です。しかし、下水処理では未利用バイオマスの利用の観点や臭気対策が容易であることから最近は再評価されています。
http://www.eic.or.jp/qa/?act=view&serial=16422
ついでに
>生物処理によって生じるのは生物によって酸化された有機物
>嫌気性消化も同様に、せっかく酸化された有機物を還元してしまう
という回答には誤解があります。
活性汚泥の呼吸によって生成するエネルギーはATPの形で生物の生合成や生体膜を通じての物質輸送に利用されるので、活性汚泥の増殖過程を「酸化」としてとらえるのは生物学の常識からは少しずれてます。同様に、嫌気消化の過程を「還元」としてとらえることも一面的であり、生成物の物質収支を考えると、反応全体としては酸化でも還元でもありません。嫌気消化でメタンとほぼ同量の発生がある炭酸ガスをとらえて嫌気消化で炭素が酸化されたとおっしゃる専門家はおりません。
嫌気消化設備の採用状況は下水道統計(日本下水道協会)をご覧ください。



回答に対するお礼・補足

情報ありがとうございます、下水道統計(日本下水道協会)も調べてみたいと思います。

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