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環境Q&A

植林・植樹について 

登録日: 2007年01月31日 最終回答日:2007年02月01日 地球環境 森林の減少

No.20814 2007-01-31 10:26:33 キヨシ

 今、大学3年生なのですが将来植林事業に携わりたいと思っています。そこで一番関心のあるのが温暖化と植林・植樹について調べています。
これから先、10年から20年後植林事業への影響・困難は発生するでしょうか?
後できれば、国内での海外に比べ国内の植林事業が活発に行われていない背景を教えていただけたら幸いと思っています
 僕自身、真剣に考えているので回答よろしくお願いします

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No.20820 【A-1】

Re:植林・植樹について

2007-01-31 12:13:59 環くん

「植林事業への影響・困難」というご質問ですが、
もう少し具体的に何をお知りになりたいのか説明して頂けますか?
例えばですが、
・植林の実施を困難にさせる政治的・経済的要因には何が考えられるか
・気候変動によって現在の植林方法が不適切になる可能性はあるか
というような意味でしょうか?

上記の質問はひとまず置いといて・・・
砂漠化が問題になっている国々に比べれば、
確かに日本ではあまり植林は緊急課題として扱われていませんね。
その理由としては、
・温暖湿潤なので、わざわざ植林しなくても勝手に樹木が生えてくる
・急傾斜地が多くコストがかかる
・そもそも植林する余地が少ない(国土の60%以上が既に森林であり、しかも人口密度が非常に高い国ですから)
などでしょうか。

発展途上国は燃料木の伐採や焼畑、砂漠化などで森林が減少しているので、
その伐採跡地に再び植林すればいいわけですが、
日本や先進国では開発や農地化のために伐採されるケースが多いので、
そういった別の目的で利用されている場所には植林できませんよね。
ですから日本では、植林地の伐採跡地の再植林か、
樹林化を促進するための防災・景観緑化などが大部分になっているのだと思います。

回答に対するお礼・補足

返答ありがとうございます。
質問の件ですが、温暖化の影響で現在の植林方法が不適切になるか?聞きたいです
よろしくお願いします

No.20834 【A-2】

Re:植林・植樹について

2007-01-31 18:50:47 環くん

温暖化の予測自体が難しいので、
「かもしれません」という想像の域を出ませんが・・・
まぁ、ご参考までに。

一般に温暖化のシミュレーションでは、
気温上昇は海洋より陸上、熱帯より極地の方が大きいとされているようなので、
(例えばhttp://www.env.go.jp/earth/earthsimulator/index.html
これを前提として考えてみます。

まず寒帯では、気温が急激に上昇することによって、
凍土地帯にも、樹木を植林できるようになるかもしれません。
(温暖化防止のための植林としては本末転倒な話ですが・・・)

日本のように湿潤な温帯では、降水量は増加すると予想されているため、
乾燥化の影響は少なさそうですが、気温上昇に伴って、
夏の暑さに弱い冷温帯の樹木(ブナなど)は育たなくなるかもしれません。

そして気温上昇の激しい温帯・熱帯内陸部は、もともと乾燥気候ですし、
降水量の増加は見込まれておりませんから、
もともとその地域に生育していた植物種を植林していた場所は、
激しい乾燥化によって枯れるかもしれません。
また降水量の減少を補うために地下水を汲み上げて散水すると、
塩害が発生し、それが原因で育たなくなる可能性もあります。

また熱帯沿岸部では、温暖化で海水面が上昇すると、
マングローブなどの生息適地が変化するかもしれません。

こんな感じで回答になってますか?
もし私が質問の意図を勘違いしているようでしたら、
すみませんが再度ご説明ください。

回答に対するお礼・補足

ありがとうございます。
たいへん参考になりました。これからの糧にし自分の方向を定めようと思います

No.20843 【A-3】

Re:植林・植樹について

2007-02-01 00:18:53 森野力

この質問のカテゴリが 地球環境>森林の減少となっているように、
温暖化対策としての植林とは「森林減少」への対策です。

日本国内の植林は普通「樹種転換」ですので、CDMなどとは異なります。
「森林増加の余地」がなければ、この「植林」は不可能です。
そのため、京都議定書の運用に当たっても、日本特例が設けられたわけです。

 これらは、環くんさんが述べられているとおりですが、
より厳密な表現を用いると
 発展途上国では燃料木の「過剰伐採」や「非伝統的移動耕作」、
農地(プランテーション)開発などで森林が減少しています。
 先進国では、農耕地や牧場に転用されて減少しました。
だから、植林する場所は「伐採跡地」ではなく、非林地でなければなりません。
 これらの事情は、FAOの State of the World's Forests
(世界森林状況)の各年度版に囲み記事で書かれています。

 したがって、温暖化による影響は、植林可能な場所(農耕放棄地など)が何処にできるのか、
ということが基本であって、技術上の課題としては
その地域で未経験の気候条件に対応した樹種の育苗、
植林方法が求められるということではないでしょうか。

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