「気候変動」と「温暖化」の使い分け
登録日: 2007年02月07日 最終回答日:2007年02月12日 地球環境 地球温暖化
No.21008 2007-02-07 11:00:05 雪だるま
先頃から温暖化に興味を持ち、いろいろと情報を収集している者です(当方、環境関連の職業ですが温暖化については門外漢です)。
ところが文献によって「温暖化(global warming)」と「気候変動(climate change)」がほぼ同義のような意味に使われているケースも見られ、少々混乱しております・・・。
温暖化とは要するに(原因は何であれ)「気温の変化」だけを指すもので、「気候変動」は気温だけでなく湿度、地表面温度、降水量、日照もろもろ全ての気候条件についての変動を指す、と考えていたのですが、この解釈は一般的なものでしょうか?
もちろん言葉ですから人によって使い方はまちまちで当然なのかもしれませんが、自分で使うときにはきちんと定義したいので、もし何らかの公式(あるいは一般的)な定義があるようでしたら、出典をお教えいただければ幸いです。
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No.21042 【A-1】
Re:「気候変動」と「温暖化」の使い分け
2007-02-08 15:16:40 東京都 / こん (
強いて個人的な印象を言うのであれば、温暖化は地球規模の長期的な温度上昇傾向を指すように思います(関連する諸変動も含まれます)。気候変動の方は、比較的短期での大幅な変動を指す感じがしますが、一方で、温暖化も気候変動の一つともとらえられると思います。
もし質問者が限定したいのであれば、その論文などごとに、ご自分の考えで定義づければ良いと思います。
回答に対するお礼・補足
ご回答ありがとうございました。温暖化=長期的、気候変動=短期的という印象は、私自身は持っていなかったので、なるほどと思いました。やはり人によってとらえ方が違うのですね。自分で何かを書くときは、誤って伝わらないよう、なるべくきちんと定義して使いたいと思います。
No.21047 【A-2】
Re:「気候変動」と「温暖化」の使い分け
2007-02-08 16:55:45 東京都 / ちしゃ (
意味を厳密に区別して使用されているわけではないと思います。
まず、大気中のCO2の増加→気温上昇という現象がとりあげられ、
(有名なハンセン証言(1988)も
http://en.wikipedia.org/wiki/James_Hansen
気温との関係に焦点をあてたものですし)
「温暖化」ということばがひろまり、
その後、科学的知見が進んだ結果、
大気中のCO2の増加によってもたらされる影響は気温上昇ではないことが明らかになり
「気候変動という言葉を使おう」
ということになったのが歴史的経緯だと思いますが、
実際には「温暖化」という言葉も、
気温上昇以外の影響を含んだ意味に使っていることが多いです。
しいていえば、
一般向けに影響のイメージを喚起したい場合「温暖化」を使用し、
科学的議論、政治的議論を正式に行うような場合に「気候変動」を
使っているという感じではないでしょうか。
参考
全国地球温暖化防止活動推進センター
気候変動枠組条約 国際交渉の歴史と課題
http://www.jccca.org/content/view/799/566/
地球温暖化の歴史(国際的動向)
http://www8.plala.or.jp/kawakiyo/kiyo9_01_02.htm
ハンセン証言(1988)について
英文wikipedia
http://en.wikipedia.org/wiki/James_Hansen
回答に対するお礼・補足
ご回答ありがとうございました。
確かに「温暖化」という場合、気温上昇だけではなく、それに伴う気象変化もひっくるめて書いてあることが多いように思います。ちしゃ様のおっしゃるような経緯があるなら、まだ歴史の浅い概念ですし多少の混乱は仕方ないのかもしれませんね。
No.21051 【A-3】
Re:「気候変動」と「温暖化」の使い分け
2007-02-08 22:01:48 ESA (
地球温暖化
地球温暖化対策の推進に関する法律(平成18年6月7日 法律第57号)
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H10/H10HO117.html
第2条 第1項
この法律において「地球温暖化」とは、人の活動に伴って発生する温室効果ガスが大気中の温室効果ガスの濃度を増加させることにより、地球全体として、地表及び大気の温度が追加的に上昇する現象をいう。
気候変動
気候変動に関する国際連合枠組条約(平成6年6月21日 条約第6号)
http://www.env.go.jp/earth/cop3/kaigi/jouyaku.html
第1条 第2項
「気候変動」とは、地球の大気の組成を変化させる人間活動に直接又は間接に起因する気候の変化であって、比較可能な期間において観測される気候の自然な変動に対して追加的に生ずるものをいう。
第1条 第3項
「気候系」とは、気圏、水圏、生物圏及び岩石圏の全体並びにこれらの間の相互作用をいう。
解釈は質問者の通りで良いと思います。
気候の中の一つに気温があるのだと思っています。そのために、同じような使い方をしても差し障り無く、逆にそれ故に分りづらいのだと思います。
回答に対するお礼・補足
ご回答ありがとうございました。
なるほど、法律の条文を探せばよかったのですね。とても簡潔な定義で参考になりました。
No.21055 【A-4】
Re:「気候変動」と「温暖化」の使い分け
2007-02-09 09:46:31 東京都 / ちしゃ (
>確かに「温暖化」という場合、気温上昇だけではなく、それに伴う気象変化も
>ひっくるめて書いてあることが多いように思います。
先の回答で文字が抜けていた部分があったので、訂正です。失礼しました。
大気中のCO2の増加によってもたらされる影響は気温上昇ではないことが明らかになり
→
大気中のCO2の増加によってもたらされる影響は気温上昇だけではないことが明らかになり
先の回答でも説明していますが
誤解があるといけないので、補足します。
先の回答でいいたかったのは
・もともと「気候変動」のほうが気温上昇以外の広い変動を含んだ概念だと思います。
・これに対し「温暖化」は気温に焦点をあてた言葉ですが、
現在実際に使用される場合には、知見の進展を反映して
気温上昇以外の要因もイメージされるようになってきています
ということです。
>ちしゃ様のおっしゃるような経緯があるなら、
>まだ歴史の浅い概念ですし多少の混乱は仕方ないのかもしれませんね。
温暖化という言葉は、わかりやすく一般に広まっているので、
おそらく、気候変動との区別を厳密に整理しようという動きは、
現時点であまりないと思います。
言葉というのは、研究目的でその場に限定して厳密に用語を定義するのでないかぎり、
ゆれや、概念の重なりがあることが一般的だと思います。
ところで私の印象では
こん さんの書かれた 温暖化=長期的、気候変動=短期的
という区別はあまりないと思っています。
参考
気候変動の研究でも、1000年とか数万年いった長期変動の研究があります。
過去10万年間の気候変動
高橋孝三、岡崎裕典、朝日博史、吉谷洋、松下貴誉加(九州大学理学研究院地球惑星科学部門)
http://www.museum.kyushu-u.ac.jp/PLANET/05/05-10.html
名古屋大学 21世紀COEプログラム 太陽・地球・生命圏相互作用系の変動学
名古屋シンプルモデルの構築〜1000年気候モデルと1000万年気候モデル〜
http://www.coe.env.nagoya-u.ac.jp/project/science-ws/fyh17/sws007.html
回答に対するお礼・補足
わざわざ補足していただきましてありがとうございました。一応、ちしゃ様のお書きになっていたことは理解しているつもりです。私の舌足らずの文章で、お気を使わせてしまって申し訳ありません。
私も、一般人が話すときにわざわざ定義が必要だとは思ってないのですが、専門的であろうと思われる書籍や論文でも、両方の言葉を混在させているものがあるので、アレ?と思ったのでした。
皆様のご回答で何となく頭が整理されてきました。これから読むときは、著者が「気温だけの話をしているのか、それ以外の気候条件も含めているのか」ということと、「どのくらいのタイムスパンの話をしているのか」という2点に気をつけながら、文脈で判断したいと思います。
No.21072 【A-5】
Re:「気候変動」と「温暖化」の使い分け
2007-02-09 19:59:44 あるけみぃ (
日本では「温暖化」という表現が一般的で、海外では「気候変動(climate change)」という表現がよく使われている。
広義ではほぼ同じような現象をさしているように思います。
回答に対するお礼・補足
ご回答ありがとうございました。お礼が遅れて申し訳ありません。
No.21090 【A-6】
Re:「気候変動」と「温暖化」の使い分け
2007-02-11 12:38:39 todoroki (
詳細はちしゃさんが縷々述べてくださったので・・・。
@ これはもうご覧になりましたよね。
→http://www.eic.or.jp/ecoterm/?act=view&serial=1720
→http://www.eic.or.jp/ecoterm/?act=view&serial=578
A @に書いてあるように、本来「地球温暖化」は現象であって、
「気候変動」はそれによって生じる結果なのですが、
現在では同義語で使われていますね。
個人的には、数年前から意識して「気候変動」を
使うようになりました。
回答に対するお礼・補足
ご回答ありがとうございました。お礼が遅れて申し訳ありません。EIC用語集は最初に拝見して参考にさせていただきました。
No.21120 【A-7】
Re:「気候変動」と「温暖化」の使い分け
2007-02-12 16:46:13 BATA (
「温暖化」=「CO2によるいわゆる地球温暖化」=「人為的な自然環境破壊に起因」というイメージと「気候変動」=「天文学的な歴史(氷河期やら間氷期とかっていう)の中での気候の変化」=「自然的原因による気候の変化」というイメージを持っています。
極論かもしれませんが、「温暖化」≒「悪」「気候変動」≒「善」(←これには、多分に違和感のある表現ですが)というものです。
アメリカのブッシュ大統領は「温暖化」とは言わず、「気候変動」という単語を用い、ゴアさんは「温暖化」を用いていると聞いたことがあります。(すいません。裏は取ってないです)
今までご覧になった資料を、そういう視点でごらんになってはいかがでしょうか?今まで学術論文的に書かれた文章が、意図的にどちらかのイメージに誘導されているものがあるかも知れません。
回答に対するお礼・補足
ご回答ありがとうございました。お礼が遅れて申し訳ありません。
「温暖化」より「気候変動」の方が穏やかな表現である、というのはあまり感じたことがなかったのですが、英語ではまたニュアンスが違うのかもしれませんね。これからはそうした違いにも注意しておきたいと思います。
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