環境Q&A

No.27945 【A-1】

Re:マトリックスデモファイヤーとして硝酸パラジウムを添加

2008-05-11 09:06:01 たそがれ （ZWla61d

マトリックスモディファイヤーは種類、目的もいろいろあります。
パラジウムの場合は、目的元素との間で高融点化合物を作り、灰化段階で共存物質（マトリックス）を揮散させた後、原子化段階へ持っていく、というのが主目的のようです。
また、硝酸塩ですが比較的低温で揮散してしまう塩化物はあまり使いません。
試料は塩酸ではなく、硝酸酸性で機器にかけること、塩化物を多く含む試料は揮散の恐れがあること等。
これらはみな同じメカニズムですのでよく覚えておいてください。

それからマトリックスというのは有機、無機を問わず分析成分と共存する他の成分のことですが、この場合は無機成分が対象でしょう。

このようなことはいくらでも回答が得られると思いますが、専門の書籍、メーカーや学会等の研修を通して全体的な理解を深められることをお勧めします。

No.27946 【A-2】

Re:マトリックスデモファイヤーとして硝酸パラジウムを添加

2008-05-11 10:50:13 なんちゃって計量士 （ZWl9549

　分析屋さんでアルバイトでもされているのかな。
　引用が不適切です。マトリックスmodifier
　modifier＝n. 修正者;修飾語;修飾子、分析の世界では修飾剤でカタカナ表記の場合にはマトリックスモデファイヤーと書くようですが、マトリックス修飾剤と表記されることが多いようです。

　理解される為にはGFAASに限らず、原子吸光分析の測定原理から学ばれる必要があります。

　妨害物質を抑制する目的で修飾剤として添加します。
　作用は目的成分や妨害物質の種類により異なります。
　目的金属の酸化物よりは高融点の複合酸化物を生成し目的成分の飛散を抑制すると高い灰化温度でも原子化効率が良くなります。
　逆に共存成分と低沸点の化合物を生成し、灰化段階で共存物質を蒸発させたり、難解離性物質の生成を抑制したりして、感度が上がります。

　共存妨害物質により修飾剤は使い分けるものです。今回貴女の例示された硝酸パラジウムは多種の分析で高い灰化温度で分析するために使用されています。
　分析の精度向上は多くの実験データの積み重ねによる経験より得られたものです。具体的に詳細な反応経路などが解析されることは殆どありません。というより、反応は物理化学の分野ですが、無機、有機にかかわらず実際の反応経路が解析されているのは一部でしかありません。この辺りに興味があるのでしたら、化学反応論と物理化学を基礎から学ばれることをおすすめいたします。

追加
　記述している間にA-1が出たようです。
　たそがれ殿。この様な場所で失礼ですが、硝酸パラジウムはPb、Cdの分析ではメーカの推奨も関係するのか多くの機関で標準に使われていると聞き及んでいます。そのあたりはいかが思われますか。

No.27959 【A-3】

Re:マトリックスデモファイヤーとして硝酸パラジウムを添加

2008-05-12 21:27:06 たそがれ （ZWla61d

ママ　さんへ
どの程度の水質なのか不明ですが、灰化段階における対象元素の揮散抑制なのである程度は有機マトリックスにも効果はあるでしょう。
しかし、有機物に対しては程度問題であり、標準試料と灰化条件の違い、マイクロピペットからの注入量の狂い等いろいろな障害が出てきます。
汚い試料は分解する、ということを聞いたことがありますでしょうか。
その程度については先輩に聞くなどして自分なりに判断するしかありません。

なんちゃって計量士　さんへ
工場排水試験方法では硝酸パラジウムの添加は操作方法に組み込まれていますし、上水試験方法では推奨されていますので、多くの試験所でそうされていると思います。私どももそうしていました。
そうしていました・・・と言いますのはICP-OES,ICP-MSの導入で現在はバックアップ用としてたまに作動確認するくらいになってしまったのです。
このへんの現状について貴殿も当然知っておられることと思います。
マトリックスの影響をもろに受けてしまうフレームレスAAはICP-OESやICP-MSにおされて役割をまっとうしつつあるという私の認識は正しいと言えるのでしょうか。