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環境Q&A

水温低下時のPH低下について 

登録日: 2009年02月28日 最終回答日:2009年03月08日 水・土壌環境 水質汚濁

No.31442 2009-02-28 09:24:31 ZWlc25 初心者

水温が下がる冬季にPHが低下するのはなぜなんでしょうか?
水温が下がり酸素が溶け込みやすくなり硝化が進むというのは聞いたことがあるのですが
水温が下がると生物の活性も落ちるのに、処理が進むのが理解できません。
ご教授お願いいたします。

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No.31443 【A-1】

Re:水温低下時のPH低下について

2009-02-28 14:12:58 papa (ZWlbd18

水温低下時期の運転方法としては一般的に活性汚泥濃度を高くする操作を行うことが一般的です。

>水温が下がり酸素が溶け込みやすくなり硝化が進むというのは聞いたことがあるのですが
酸素供給が行いやすいから硝化が進むというのは誤解です。系内の汚泥保持量増加しSRTが長くなりF/M比も低下するような操作を行うために硝化が進むわけで、酸素溶解度が上昇することとは直接的には関係ありません。

>水温が下がると生物の活性も落ちるのに、処理が進むのが理解できません。
生物活性低下分は生物量で相殺するということになります。

pH低下を硝化だけに原因を求めるのは不十分で、いろいろな水質要素を総合的に検討すべきと思いますが、実負荷運転では水温低下時でも硝化は進みます(進むような運転条件を設定している)が、酸素溶解度の上昇と酸素消費速度の低下により嫌気、無酸素条件を維持するのにかなりの工夫が必要になります。
低水温期では硝化は進むが脱窒が進まずpH低下になるというのが経験上の結果です。

回答に対するお礼・補足

丁寧に説明してくださってありがとうございます。
酸素溶解度の上昇が直接的な関係が無いことは理解できました。

その次項の生物量のお話ですが
おそらく活性汚泥法のお話だと思います。
しかし、接触ばっ気でも同じ事が起こる現場が多いです。
私が詳細に記載していなかったので申し訳なかったです。
流入水は一般家庭排水です。

上司には冬場は空気量を落とせと指示され、実際その方法で解決することが多かったので空気量→溶解量と誤解していたようです。
空気量を落とすのは硝化を抑えるというよりかは、脱窒を少しでも促進してやるという解釈でよろしいでしょうか?
水処理は一点だけに集中して考えるのはよくないことかと思いますが、よろしければご教授お願いいたします。

No.31526 【A-2】

Re:水温低下時のPH低下について

2009-03-08 20:30:49 papa (ZWlbd18

>接触ばっ気でも同じ事が起こる現場が多いです。
浄化槽についてはあまり詳しくないので、どなたか経験豊かな方からのレスを期待しながら、少々思いついたことを回答します。
固定床を有するタイプの浄化槽では、極端な高負荷でなければSRTは硝化に十分な程度になります。また、溶存酸素が十分存在している状態でも生物膜の厚さ方向では深部が無酸素状態になりやすいことが知られています。
全くの推定ですが、浄化槽の設計上は酸素供給よりも固定床の閉塞防止のため流速に重点を置いた設計となっているいることが多いので、送気量を減らすと局所的に流速が低下して無酸素状態を形成しやすいということではないかと思います。

>上司には冬場は空気量を落とせと指示され、実際その方法で解決することが多かったので空気量→溶解量と誤解していたようです。
空気量を落とすのは硝化を抑えるというよりかは、脱窒を少しでも促進してやるという解釈でよろしいでしょうか?

推定をもとにしていますが、そのような理解でよいと思います。上司の方のご指示は適切と思います。(形態別窒素の計測を行って検証することも必要かもしれませんが)
接触ばっきの浄化槽で送風量で硝化をコントロールするのはとても困難なことです。
浄化槽の送気倍率は下水処理場の常識から考えるとかなり多いので、水温による溶解度の変化を運転上考慮するファクターとはならないことが多いと思います。しかし担体流動などの単位装置を有する浄化槽では、タイマーや台数制御で下水処理場なみの送気倍率の機種もあります。
下水処理場では冬季は気温が低いために吸い込み空気の密度が高くなり、水温が低下して酸素溶解度も上昇するため酸素供給量の厳密な制御をおこなっている処理場では省電力で運用しやすい季節です。

回答に対するお礼・補足

御礼が遅くなってしまい失礼いたしました。
大変わかりやすく説明していただきありがとうございました。
今後の管理に生かしたいと思います。

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