一般財団法人環境イノベーション情報機構

ヘルプ

サイトマップ

メールマガジン配信中

環境Q&A

原子吸光&ICPについて 

登録日: 2009年03月06日 最終回答日:2009年03月07日 水・土壌環境 水質汚濁

No.31516 2009-03-06 22:33:20 ZWlbb1d 光コンセント

@ 原子化とイオン化の違いを説明できる方おられるでしょうか?
  例えば…鉄を測定する場合、原子吸光では鉄原子として、
  ICPでは鉄イオンとして測定しているのですか?
  全ての原子は、熱エネルギーを与えると原子化→イオン化
  という過程をふむのでしょうか?

A 原子化するために加熱以外の方法はあるのでしょうか? 
  例えば…強い光を照射することでも原子化は可能でしょうか?

B 原子吸光等で測定した金属類は、揮散して大気中にばらまいている
  ことになるんでしょうか?

総件数 1 件  page 1/1   

No.31520 【A-1】

Re:原子吸光&ICPについて

2009-03-07 07:18:59 たそがれ (ZWla61d

@ 原子化とイオン化の違いを説明できる方おられるでしょうか?
  例えば…鉄を測定する場合、原子吸光では鉄原子として、
 ICPでは鉄イオンとして測定しているのですか?
  全ての原子は、熱エネルギーを与えると原子化→イオン化
  という過程をふむのでしょうか?

エネルギーを与えると基底状態の原子になる場合、及び一つ目の価電子が励起される場合と一つ目の価電子が外れて、他の価電子が励起される場合があります。
また、原子吸光やICP程度のエネルギーでは内殻の電子は、はじき飛ばすことはできない、ということをご理解ください。

原子吸光は化学炎ですので最高でも3000℃くらいにしかなりません。目的元素を含む溶液は噴霧されることにより脱水、基底状態の原子になり、特定の波長の光を吸収することで分析に利用されます。程度の差こそあれ、イオン化されるものは少ない、ということです。ただ、アルカリ金属などは容易にイオン化されてしまうためその分、感度が上がりません。(2008年のJISk0102ではCsの添加で改善を促しています。)

ICPはおおむね6000K以上のアルゴンプラズマですのでかなりの部分がイオン化されています。それを引き込み、測定しているのがICP質量分析であり、電離していない価電子からの発光(中性原子線)あるいは、イオンの場合二つ目以降の価電子が励起→基底状態、での発光(イオン線)を利用しているのが、ICP発光分光分析です。


A 原子化するために加熱以外の方法はあるのでしょうか? 
  例えば…強い光を照射することでも原子化は可能でしょうか?
  
分析関係の方になら「そんなこと聞くな」と言いたいのですが、たぶん
違うような気がするのでお答えします。
原子吸光というのは「何らかの方法で目的元素を原子化して・・・」
とありますので当然いろいろです。常温のまま化学反応のみで原子化する方法もあります。(水銀等)

B 原子吸光等で測定した金属類は、揮散して大気中にばらまいている
  ことになるんでしょうか?

原子吸光、ICPとも溶液の90〜99%はドレンに落ちていきますが、それ以外はそのまま・・・?というところが現実、多いのではないでしょうか。

回答に対するお礼・補足

とてもわかりやすい回答ありがとうございました。
まわりに聞ける人がいないので助かりました。
機会があればまたよろしくお願いします。

総件数 1 件  page 1/1