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環境Q&A

BOD値を分析する際の計量証明書と試験報告書の違いについて 

登録日: 2009年11月12日 最終回答日:2009年11月13日 水・土壌環境 水質汚濁

No.33657 2009-11-12 00:14:36 ZWlcd5f 紹運

お世話になります。
本日初めて投稿させて頂きます紹運と申します。
浅学なため、恥ずべき質問となるかもしれませんが宜しくお願い致します。

会社の業務命令により工場排水BOD値異常の対策を担前任者より引継ぎ担当することになり、調査をしていたところ、BOD値分析を行ったときの「計量証明書と試験報告書」の内容が県と分析機関で大きく異なるため(下記A,B)、どちらが正しいのか悩んでおります。

Aの情報は弊社総務部の担当が県より入手した情報で、Bは私が分析機関(念のため2箇所で)に問い合わせをして確認した情報になります。私が調べたBの情報が正しかった場合、前任者が途中まで進めた対策がすべて無効になるため、Aの情報で期限(7日間)までに完結するようにと総務課担当から圧力(精神的)をかけられております。Bが正しいかもしれないため、Aが真と断定し進めるのはリスクがあるとの意見は受け入れてもらえませんでした。

今回のような事に関しての知識は全くの素人なのですが、2日前に上方より丸投げされたため、用語の調査から行っている始末です。私の重大な認識違いなどあるかもしれませんが、どうかアドバイス等頂けますよう宜しくお願いいたします。


A.県からの情報
 @試験報告書:採取サンプルをそのまま分析するため、信頼性は低い。
 A計量証明書:微生物、濃度等の環境条件を考慮し、環境計量士が分析するため、高い信頼性がある。
  ・通常は法的効力のある計量証明書を取得して確認をすべき。


B.2箇所の分析機関からの情報
 B試験報告書:微生物、濃度等の環境を考慮し、分析している。
 C計量証明書:微生物、濃度等の環境を考慮し、分析している。(環境計量士の署名有り)
  ・B、Cの分析プロセスは同様であり、環境計量士の捺印有無の違いのみになる。
   成分、微生物、濃度によりBOD値が変化するため、断言はできないが、数百から数千倍近く数値が変動する可能性はある。
   例として関東と東北で分析すると、地域で微生物が変わるためBOD値が大きく変動する可能性がある。


追記:
 実際に分析結果が下記のように出ています。

   A社:試験報告書 濃度1% 1mg/L未満
   B社:計量証明書 濃度1% 3200mg/L

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No.33660 【A-1】

Re:BOD値を分析する際の計量証明書と試験報告書の違いについて

2009-11-12 09:22:39 toho (ZWlb147

計量証明機関の者ですが、多分、Bが正解ですね。
分析結果を拝見しますと、濃度1%とは何の濃度かわかりませんが。。有機物質が10000mg/Lと仮定するなら。。A社の結果は明らかに試験ミス。
結果が数千倍異なるのは明らかにおかしいです。
地域で微生物が異なるとのことですが、BOD試験用微生物が色々と販売されていますので、当社ではそれを使っています。



回答に対するお礼・補足

toho様、ご教授頂きありがとうございます。
分析機関からの情報が正しいのですね。県の担当者が誤った情報で動いているとは、怖いことですね。

引き継いだ情報に不安を感じたため確認したところ、新しいことが判明しました。(私の確認不足でした)

排水系で使用するある薬剤を当時、メーカよりA社分析結果を入手して1mg/L未満の結果から問題ないと判断し使用していたようです。ところが、抜き打ちで県の分析を受けたところBOD値が排水基準を超過していました(58mg/L)。
そこで薬剤の原液100%を弊社よりB社に出したところ320000mg/Lとなったそうです。

   B社:種類不明  排水サンプル 58mg/L :県が採取したサンプルの分析データ
   A社:試験報告書 薬剤濃度1%のサンプル 1mg/L未満 :薬剤メーカのエビデンス。
   B社:計量証明書 薬剤濃度100% 320000mg/L :弊社から県と同じ分析機関に依頼したデータ。

本掲示板で勉強させて頂いたのですが、B社で原液(製品)の計量証明書を発行するのはおかしいですよね?。
(排水されたものでなければ計量法の対象ではないから、発行できない?)

A社の試験報告書の内容を伺ったところ、原液の1.25倍〜2000倍までの希釈液でBOD分析を行い、全ての濃度で、微生物の活動は見られず1mg/L未満だったそうです。
B社でも上記同様にいくつかの希釈液で分析したそうです。
そうなると、A社での分析に何か問題があった、もしくはメーカからA社に渡したサンプルの状態に問題があったと考えるべきでしょうか。

No.33670 【A-2】

Re:BOD値を分析する際の計量証明書と試験報告書の違いについて

2009-11-13 06:22:49 たそがれ (ZWla61d

論点を整理してみましょう。

分析値の確からしさについて
どのような排水なのか不明(逆に言えばこれがわかれば3200mg/Lもでるか検討がつく、ということです。)ですが本当に同じ試料だとしたら、A-1にありますようにBが正解だと思います。
業界人としてあまり言いたくないのですがBODは生物試験ということもあり試験所の違いで2〜3割値が異なることはよくあります。しかも薬品等の阻害性物質が含まれていると、うまく立ち上がらないことがあるのも事実です。
しかし、3200mg/Lに対して1mg/L未満は無いでしょう。
間接的な確認方法として、燃焼や薬品を使った強制酸化のTOCやCOD値を測定してみるのも一手です。(これが高ければ一般にBODも高いです。)
A社の値は察するに試料を取り違えているのでは・・・と思えるほどです。(断定はしません。)

報告値の社会的信頼性について
計量証明事業は一定の要件をクリアしている事業所のみが登録できますので証明書は当然、ただの成績書より説得性は高いです。しかし、これは民間の資格であり、自治体の検査部門については同等、あるいはそれ以上と考えられているため、この制度はありません。したがって、A社という表現になっていますが、自治体の分析値であれば社会的説得性が計量証明よりも劣るということはありません。



回答に対するお礼・補足

たそがれ様、ご教授頂きありがとうございます。

構成成分にジエタノールアミン30%、キレート剤及びエーテル類が含まれていることがわかりました。後者2点はメーカノウハウのため、正確な物質名は判明しませんでしたが、いずれかが阻害性物質として機能しているかもしれないですね。
(MSDSという資料で確認できました。つくづく知識の無さを実感・・・。)

COD値に意識が向いていなかったのですがA・B社のCOD値も測定され、下記の数値でした。

A社:試験報告書 薬剤濃度1%のサンプル  BOD値 1mg/L未満
                    COD値 6800mg/L

B社:計量証明書 薬剤濃度100%のサンプル BOD値 320000mg/L
                 COD値 750000mg/L

比較すると、A社CODがB社の0.91%(約1%)なので相関が取れるならば、A社のBOD値は怪しい。A社でBOD値1mg/L、COD値 6800mg/Lの時点でおかしいと気付かないとまずかったようです。
成分違いの類似品もあるようなので、仰る通りメーカ側での試料取り違いも可能性がありそうです。

No.33679 【A-3】

Re:BOD値を分析する際の計量証明書と試験報告書の違いについて

2009-11-13 13:14:07 toho (ZWlb147

計量証明書ですが、例えば、水道法や温泉法のように規定されているのもの以外は、全て計量証明書が発行できますよ。

BODに用いる微生物ですが、例えば、恒常的に放流している排水の場合は、その水質にあった微生物群が繁殖していますので、それを用いればよいのです。言い換えると採水したサンプルでそのまま試験できます。

ある種の薬液の場合には、当然微生物群が繁殖していませんので、添加する必要があります。この際、どの微生物を用いるかは、実際に微生物を添加して増殖しているかどうか確認しなければなりません。
例えば、フェノールは、殺菌剤にも使われますが、フェノール分解菌というものもいまして、フェノール含有液のBOD測定には、この微生物を馴らして使うわけです。
 ですから、A社の生物活動が見られないとの結果ですが、微生物の選択・培養に問題があったと思われるわけです。

回答に対するお礼・補足

toho様、度々ご指導いただきありがとうございます。

計量証明が発行できるかどうかは、他法令も関係してくるのですね。
(もっと、勉強します。)
言われてみると、対象の設備内に存在する微生物を使えればベストですね、灯台下暗し、気付きそうで気付いておりませんでした。

下記の可能性があることを念頭において、確認したいと思います。
・メーカからのサンプルが別物。
・A社でサンプルを取り違えている。
・A社で微生物の選択、培養に問題がある。
・同じ試料でも、分析条件により2〜3割の変化がある。

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