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環境Q&A

プール排水について 

登録日: 2003年09月08日 最終回答日:2003年09月17日 水・土壌環境 水質汚濁

No.3427 2003-09-08 23:31:26 かえる

地方の環境行政にたずさわる者です。ある地域が分流式の下水道処理区になったのですが、その区域の某事業所がトイレの排水等は下水へ接続するが、プールの排水は公共水域へ直接排水する、とのことですがこれは特に問題ないのでしょうか?下水道法第10条のただし書きの観点から除外施設は必要ないかとおもいますが、事例等ありましたらよろしくお願いいたします。

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No.3434 【A-1】

Re:プール排水について

2003-09-09 20:33:41 神奈川県 / あめんぼう

 基本的に排水区域(多くの場合処理区域と同義です。)の供用開始の告示がなされると、遅滞なく(下水道法第10条第1項)排水設備を設置しなければなりません。早い話が、自分の家に、事業場に本下水がお迎えに来たらさっさとつなぎなさい、という公物法には珍しい使用の強制規定です。さて、お尋ねの件ですが下水道関係者には大変悩ましい事案です。

 ・・ただし、特別の事情により公共下水道管理者の許可を受けた場合その他政令で定める場合においては、この限りでない。・・法第10条第1項但し書き

 ここで言う政令規定は鉱山保安法がらみの規定であり一般には関係ありません。我々関係者がこの条文の運用に当たり拠り所とするのは、「下水道法第10条第1項の運用について」と題する昭和38年2月8日建設省都発第19号都道府県知事宛建設省都市局長通達です。

 ・・法第10条第1項ただし書により排水設備の設置義務を免除する場合には,法施行令第6条により,その区域の公共下水道からの放流水につき定められている水質基準によって措置するものとし,かつ,河川等へ下水を直接排除することの許可にあたっては条件を附し,将来基準に適合しない下水を排除した際は,許可を取り消す旨明定するとともに,下水排除状態を常時把握する等の措置を合わせて講ずることとされたい・・

 大凡これを根拠に、除害施設等を必要としない間接冷却水、プール排水等、つまり何にもしなくても下水処理場の処理水よりもきれいな排水(下水)だけを対象に、下水道管理者が要綱、規則、要領等で下水につながなくてもいいよ、と定めているところが多いです。プール排水、間接冷却水に限って言えばたくさん事例はあります。でも下水道管理者は本当は全部接続させたいのです。下水道収益が上がりますから。ただ一作年、画期的(事業場側に)な判決が静岡地裁で出ました。詳細は省きますが処理後の水でも場合に因ったら下水道に無理してつながなくてもいいよ、というものです。関係者はひっくり返りました。下水道管理者が控訴したか、つまり判決が確定したか否かは分かりませんが、判例として今後どう扱われるか、不安です。

話はそれますが、下水道管理者もこの但し書きを便利に使ってきた側面もあります。字数が限られているのでこれ以上は書けませんが。

No.3436 【A-2】

Re:プール排水について

2003-09-10 00:59:28 北海道 / きた

あめんぼうさんが書かれた件は次にありました。

http://courtdomino2.courts.go.jp/home.nsf
http://courtdomino2.courts.go.jp/home.nsf
http://courtdomino2.courts.go.jp/kshanrei.nsf/0/641CD7BB5D52FF7949256B5A00077A16/?OpenDocument
◆H13.11.30 静岡地方裁判所 平成11年(行ウ)第19号 排水設備設置義務免除及び放流許可に係る不許可処分取消請求
事件番号  :平成11年(行ウ)第19号
事件名   :排水設備設置義務免除及び放流許可に係る不許可処分取消請求
裁判年月日 :H13.11.30
裁判所名  :静岡地方裁判所

http://homepage3.nifty.com/junko-nakanishi/zak216_220.html
雑感218-2003.5.26「安倍川製紙の下水道訴訟-静岡市完敗-」

No.3437 【A-3】

Re:プール排水について

2003-09-10 17:26:06 papa(経験者)

分流式の場合はほとんど10条但し書きで排水設備免除だと思います。合流式や雨水渠未整備地域では汚水として排除されていると思います。処理場側では、設備能力さえ許せば管渠掃流効果などもあるので時間帯さえ考慮されればプール水も結構利用価値があります。

10条但し書きの運用は、一般の事業所と下水処理場の公共用水域への排水基準が異なると、なかなか煩わしいことになります。
一部の自治体では下水処理場と一般事業所との排水基準の差異がないような上乗せ条例ができています。そうなればあまり悩むこともないと思いますが。

No.3442 【A-4】

Re:プール排水について

2003-09-10 23:41:34 山形県 / いちこつ

私も、下水道にたずさわっております。
 プール排水については、雨水と分離することのできない屋外プールについては、公共用水域に排除させており、屋内プールについては下水道に接続していただいております。もし、屋内プールからの排水を公共用水域に排水したい場合には、実情を勘案し、ただし書きを適用させるか協議の上、決定することになります。
 除害施設(除外ではないと思います。)については、プール排水水質は、明らかに終末処理場からの処理水水質と同等以上であることから、必要はありません。
 別の事例で申し訳ございませんが、特定事業場から間接冷却水、純水装置(RO)の濃縮排水なども、ただし書きの適用申請が多くあります。しかし、実務面において種々の事情から、排水水質のみで適用させることが難しいことが多いようです。
 静岡市の判例も研究されることをお勧めします。

No.3478 【A-5】

Re:プール排水について

2003-09-17 19:26:25 神奈川県 / あめんぼう

この問題は、実は運用面でたくさん問題を抱えています。

これはある市の例です。全有収水量の約12%が事業場排水ですが収益の半分近くをそれに因っています。下水道使用料が排除量に対し大きな累進制を採っているからです。逆に家庭雑排水は事業場排水があるが故に使用料が安く(といっても上水道料金とそう変わらないところが多いのですが)済んでいるという現実があります。大都市近郊の自治体の昨今の悩みの一つは、ア 工場(事業場)が地方に逃げていき跡地にマンションが建つ イ 工場が減産、水の再利用等々で下水量が減っている といった理由で事業場排水量が年々減少していることです。下水道管理者にとって、実は事業場排水はとっても美味しい「しのぎ」なのです。ここにきて、10条第1項但書を振りかざし接続を拒否するような事態が仮に軒並み起こると、企業会計を採っている公共下水道は財政破綻するところが出てきます。

特別の事情により公共下水道管理者の許可を受けた場合・・とあります。下水管への接続を逃れた(あくまで法律上は下水道管理者の許可を得て行う一時的な暫定措置であり、接続義務の執行を一時的に猶予したに過ぎません。)下水については,下水道管理者が常に(否,時々orたまに)監視を行わなければなりません。万が一,汚い水を公共用水域に出していたら許可を取り消してさっさと下水道本管につながせなければなりませんし,その公共用水域の水質の保全が保てなくなってしまったことに対して,許可を与えた責任があるからです。明白な間接冷却水やプール排水ならば監視なんかしません。でも,汚水の処理施設(若しくは除害施設)を必要とする排水に関しては監視しなければなりません。監視にはお金がかかります。営業費(下水道使用料)から支出することになります。でも金を取っていない排水に対して営業費を割いて水質規制を行うことについて,他の使用者に説明がつきません。1〜2件ならまだしも,これが数十件ともなると莫大な金がかかります。

他の発言者が公共用水域に排出する際の排水基準の差について言及されていました。例えば神奈川県では鉄、マンガン、銅がそれに当たります。また、来年4月に施行される改正下水道法施行令によって特にBODが、今以上に問題となります。

他にも色々ありますが、決して簡単な事案ではないことをご理解ください。

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