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環境Q&A

バイオ知的財産の産業化と環境問題解決は共存できるのか? 

登録日: 2004年01月23日 最終回答日:2004年01月30日 環境一般 その他(環境一般)

No.4783 2004-01-23 18:18:51 まなぶ

初めまして。私は現在大学農学部3年生でバイオ先端技術、具体的にはバイオテクノロジーによる有用微生物の開発やゲノム解析などを専門として勉強をしています。
 日頃研究活動に携わるなかで研究の現場が社会での産業化に非常に疎遠であると感じていたので将来はまずバイオ技術を専門として院に進学し弁理士の資格を取ってバイオ知的財産の社会への還元の掛け橋になりたいなと思っていました。
 私には興味があるテーマが2つあって、それが<生命科学>と<環境問題>なのですが、将来はバイオ技術によって環境問題解決に貢献する自分は橋渡しになるんだ(例えば難分解性物質を分解する微生物の開発によるバイオレメディエーションなどの環境産業)。弁理士として産業化しようと意気込んでいました。
 しかし最近生態学専門の友人からそのような分解微生物などを自然界に放したら生態系は駄目になる。バイオ技術は人口系の中(例えば工場の敷地内)以外では使うべきでは無いと諭されました。他たくさんの友人に本当に環境のことを考えるのならバイオ技術産業化は長期的に見れば環境悪化の手助けだぞと言われました。
 確かに自分でも周囲のバイオ技術研究者は細胞の中を重視し生態システム的な考えが欠けていると感じますし企業は結局儲け第一主義なので、企業にバイオ知的財産を預けることは危険なのかもしれないと感じています。すぐに結果が得られ需要もあるバイオ技術は現在の資本主義システムにうまくマッチしますが、環境問題は資本主義に馴染まないためエコビジネスとは本当のところ環境に優しいのだろうかと考えてしまいます。
 先端バイオ技術と環境問題は対極にあり、本当の意味で共生出来ないのでしょうか?私が将来しようとしていることは間違いですか? 今すごく悩んでおります。
 できれば、共生できる、といった肯定的な納得のいくアドバイスを誰かお願いします。 
 また弁理士やエコビジネスを実際に立ち上げた方がいらっしゃいましたら、私と同じ葛藤を経験していると思いますのでぜひどうやって悩みを解決したのか教えてください。
 

 

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No.4848 【A-1】

Re:バイオ知的財産の産業化と環境問題解決は共存できるのか?

2004-01-30 09:07:06 東京都 / こん

こういう疑問を解明していくのも大学での勉強・研究の目的と思います。
 新しい生命によって現在の生態系やヒトの生活環境が乱されるのであれば、環境悪化ということになりますが、現在の主要な生態系に有害となっているものや難病を克服させるものだったらどうなのか。それも環境破壊か、緊急避難か、あるいは環境改善なのか。
 生態系や多様性の保護というのも、結局の発想はヒトのためかもしれません。環境問題がビジネスに結びつかないモノであれば、投資は限られたものになります。また、バイオテックは遺伝子操作だけではないでしょう。
 情報を得、自分でも十分勉強して考え、行き先を決めていくのが良いと思います。それでも悩んだままであれば、早急に撤退して自分でわかる別の道へ進むのが良いでしょう。

No.4849 【A-2】

Re:バイオ知的財産の産業化と環境問題解決は共存できるのか?

2004-01-30 10:34:32 東京都 / 君山銀針

こんさんも書かれているようにバイオ技術といっても範囲が広く、一概にはいえないと思います。
個々の技術の性格・目的が環境に沿ったものか、環境に悪影響を与えない使われ方をしているかということだと思います。

なお国でも
「バイオテクノロジー戦略大綱」
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/bt/kettei/021206/taikou.html
を定めており、その中に「いかに優れた技術であっても、安全の確保と国民からの信頼なくしては、産業化・実用化もおぼつかない
 BT関連製品・サービスには、医薬品や食品など直接人体に摂取されるもの、植物・動物・微生物等環境に放出されるものなどがあり、人の健康や環境への影響の防止の観点で安全性の確保が不可欠である」と指摘され、さらに環境に貢献するバイオ技術としては
「バイオプロセスによる物質生産系と資源利用サイクルの革命的変化が起き、持続可能な経済社会と地球温暖化問題などの環境問題への対応が実現される。
 また、化石燃料の代替としての各種バイオマスのエネルギー源としての利用やバイオマス由来プラスチックの利用の飛躍的拡大により、温室効果ガス排出削減、廃棄物削減が図られるとともに、化石資源依存の低減・エネルギー自給率向上を通じ、エネルギーセキュリティーにも資することとなる」というイメージが提示されてます(この点に関してもいろいろな議論はあると思いますが)

また「バイオテクノロジー戦略大綱」との関連では
農林水産省が中心になっている
バイオマス・ニッポン http://www.maff.go.jp/biomass/index.htm
というプロジェクトもあります。 

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