一般財団法人環境イノベーション情報機構

ヘルプ

サイトマップ

メールマガジン配信中

環境Q&A

里山の管理について 

登録日: 2004年07月12日 最終回答日:2004年07月14日 自然環境 身近な自然の保全

No.6779 2004-07-12 01:08:10 しんご

「里山の管理」というのを環境問題の話題でよく耳にするのですが、いまいちよくわかりません。「里山には多様な生態系があるから、適度に人間が手を加えて管理しないといけない。」というところです。荒れた里山は、放っておけばいずれもとの自然の山に戻り、そこに新しい生物(もともとそこに生息していた生物)がやってきて、新たに別の多様な生態系を築き上げるんじゃないんですか?人間がいないころは、自然の撹乱はあっても、間伐をしたりして管理することなんかなかったんですから。自然の撹乱は今もありますし。

それとも、人間が造った(?)里山は、もはやもとの自然には戻らない。だからせめて現状の里山の豊かな生態系を守るために管理しなければいけない、ということですか?

総件数 4 件  page 1/1   

No.6813 【A-1】

Re:里山の管理について

2004-07-13 13:04:45 兵庫県 / ごみごみマン

荒れた里山は、放っておけばいずれもとの自然の山に戻り、
>

たぶん長い年月(数千年とか数万年とか)をかければそうなるんでしょうね。

天然の自然を守るのは大切なことですが、
たぶん今、里山を守ろうとしている方々は、自然との共生を目指しているのではないでしょうか。(自然に親しんで、利用しながら自然の大切さを実感するような。)

回答に対するお礼・補足

ありがとうございます。「自然との共生」ですか...
これもまた、なかなか理解できない概念のひとつなんですが。でもなんでも自然の回復力にまかせっきりではだめだということですね。

No.6817 【A-2】

Re:里山の管理について

2004-07-13 17:08:23 楽環

環境省のレッドデータに挙げられている絶滅危惧種とされる稀少生物種の多く(約半数)が里山に生息しているものとされています。すなわち里山は日本の生物多様性を育む重要な生息地となっていると云うことでしょう。また、シュンランやカタクリ、草ボケ等のいわゆるスプリングエフェメラルと呼ばれる林床植生も、落葉広葉樹の里山雑木林固有のもので、放置して遷移が進むと消滅してしまいます。さらに森林の樹木種にしても、里山の雑木林はその構成種が豊富で、樹木の生物学的多様性に優れているそうです。放置したばあい、照葉樹林にもどればまだしも、最近では江戸時代に移入された孟宗竹の竹林になってしまう処が圧倒的におおく、そうなったばあい、樹林の生物学的多様性にとって略回復し難いダメッジとなることが予想されています。地球上のバイオシステムの種の多様性を維持することは、人類と云うその構成要素の維持発展にとって、その存亡に係わる重要なこととされています。人類は人類だけでは生存出来ないと云うことでしょう。

回答に対するお礼・補足

親切なご回答ありがとうございます。里山が生物多様性にとってそんなに重要なものとは知りませんでした。
それに、人間の造った(?)里山に棲みついた生物たちには何の罪もありませんものね。放っておくわけにはいかないですね。

No.6819 【A-3】

Re:里山の管理について

2004-07-13 20:36:02 東京都 / 君山銀針

里山は日本の国土の4割程度を占め、
動物RDB種集中地域の49%が里地里山の範囲に分布、植物RDB種集中地域の55%が里地里山の範囲に分布しています。 そこががたがたになると影響が大きいです。

参考 環境省 日本の里地里山の調査・分析について(中間報告)
http://www.env.go.jp/nature/satoyama/chukan.html

回答に対するお礼・補足

いつもいつも、貴重な情報をありがとうございます。
最近は、こんなに親切に回答してくださるみなさんに甘えて、自分で何も調べずに質問してしまいがちになっています。でもこれでは勉強になりませんね。まずちゃんと自分で調べないと。
自分でどんなに調べてもわからなかった時にはまた、どうかよろしくお願いします。

No.6823 【A-4】

Re:里山の管理について

2004-07-14 01:30:35 大阪府 / ひげ

 
ごみごみマンさん、楽環さん、君山銀針さん、皆さん的確な論理的回答があり付け加える事は有りませんが、情緒的な面から一言。
森林、林分内の心地よい見通し距離は50bと言われています、私の居住区関西の里山植生は暖温帯照葉樹林、シイカシの林分なので放置すると直ぐ人を寄せ付けないヤブ状に成ってしまいます、こうなると見通しは数メートルも有りません、プロパンガスが普及する昭和30年代後半時点である程度の大木が残されていた林分以外は、その後薪炭利用が成されなくなった時点で急速にわい林化が進み現在の荒れた里山の姿が有ります。
逆に極一部残された管理された萌芽更新の多い里山は見通しも良く清々しく本当に心地よいもので、沢山の山の幸、山菜、渓流魚、食用鳥獣、キノコ、木材、燃料、肥料等の恵みを受ける事が出来ます、ここには深山の近付き難い神々しさとは又違った人々の生活と密着した親しみ易い独自の生態系が存在します。
通常私達が感じる「自然」がこの様な生態系だと思います、全く人の手が入らない高山や原生林はもっと危険で激しく険しいものです。

総件数 4 件  page 1/1