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環境Q&A

大気汚染への自動車の寄与 

登録日: 2002年06月19日 最終回答日:2002年06月19日 大気環境 大気汚染

No.851 2002-06-19 17:51:29 Dr.Q

 現在,大気汚染物質への自動車の寄与の割合を調べています.

 環境省での「ディーゼル車対策技術評価検討会」での資料を見るとSPM(平成6年)とNOx(平成12年)についてはわかりました.

 そこで質問があります.

1)他の物質で調べているものはありますか.
2)関東,関西以外の地域で調べているものはありますか.
3)将来予測をしているものはありますか.

 これらについて,知っている方がいらっしゃればよろしくお願いします.

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No.853 【A-1】

Re:大気汚染への自動車の寄与

2002-06-19 20:24:33 茨城県 / 平井

こんばんは。
主に1)、2)について回答します。

自動車から排出される大気汚染物質でSPM, NOx 以外のものというと、
1) NMVOC(非メタン揮発性有機化合物)
2) PAH(多環芳香族炭化水素)
3) 鉛(有鉛ガソリン時代の過去の話かも)
などが思いつきます。

一方、排出量インベントリとして利用可能なものに、
1) 温室効果ガスの国別報告書(第3回報告書2002年6月)
http://www.env.go.jp/earth/ondanka/kikouhendou/index.html
2) PRTRパイロット事業報告書(自動車からの排出量推定を含む)
http://www.env.go.jp/chemi/prtr/h12pilot/hokoku12.html
3) ダイオキシン類排出インベントリ
 などがあります。

 いくつか調べてみた結果を紹介します。
温室効果ガスの国別報告書には、NMVOCについて記載がありました。(温室効果ガスの前駆物質という位置づけだったはず。)該当部分は、第2章10節NMVOC。1999年度のNMVOC総排出量は185万トン。部門別内訳で、最も排出量が多いのは「有機溶剤および他の製品の使用」による130万トン。運輸部門は22万8千トンとなっています。
ただし、自動車・船舶・飛行機の内訳までは詳述されておらず、資料出所も追跡困難な形で引用されているため、自動車分の寄与をこの資料のみから推計することは難しそうです。さらに詳しい資料は担当者に問い合わせるなどする必要があるかと思います。
 また、国立環境研究所の研究によると、
「NMVOC(非メタン揮発性有機化合物)については、走行時の排ガスよりも、給油時の揮 発など燃料供給に関わる排出の寄与が大きく、車両の塗装による影響も無視できないことが明らかとなった。」
http://www.env.go.jp/press/file_view.php3?serial=799&hou_id=1250
とされていますので、走行時以外も含めたライフサイクル全体での評価も必要なようです。なお、給油時の揮発分は、先の国別報告書では、「燃料の漏出」に該当すると思われます。

PRTRパイロット事業報告書では、工場以外(=非点源排出源、自動車など)からの化学物質排出量も推定されています。推計方法は「資料3 非点源排出源からの排出量の推計方法等」

以上です。参考にしていただければ幸いです。

回答に対するお礼・補足

走行時の大気汚染物質は想定していましたが,走行時以外に自動車のライフサイクル全体での評価が必要になってきていることを見落としていました.
また何かありましたらよろしくお願いします.
大変勉強になりました.

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