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環境Q&A

大腸菌群数について 

登録日: 2002年07月09日 最終回答日:2002年07月30日 水・土壌環境 水質汚濁

No.922 2002-07-09 20:55:42 あめんぼう

大腸菌群数について質問致します。

水濁法で規定される大腸菌群数は、その単位は[個/mL]ですが、環境基準としては[MPN/100mL]となります。測定方法が異なることからそのようになるのでしょうが、具体的に同じ項目であるにもかかわらず測定方法が異なるのは何故でしょう。また、MPN値を算出する統計学的な説明に詳しいサイトがありましたら教えてください。

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No.943 【A-1】

Re:大腸菌群数について

2002-07-16 10:02:06 東京都 / ちしゃ

http://www.tenryugawa.org/ryuuiki/suisitu/senmon.html
大腸菌群数は、検水1ml中の個数(正確には培養後の集落数)または、検水100ml中の最確数(MPN)で表す。環境水などの比較的低濃度の資料ではMPN法がよく用いられている。
との説明があります。

水質汚濁防止法が特定施設を設置する工場・事業場の排水基準 (基準3,000 個/mL)
http://www.kankyo.metro.tokyo.jp/kaizen/kisei/mizu/kijyun/itiritu_1pan.htm
であるのにくらべ、
大腸菌数が基準値となっている「生活環境の保全に関する環境基準」は一般の河川・湖沼で「維持されることが望ましい基準」です。
http://www.env.go.jp/kijun/mizu.html
つまり、かなり低濃度の資料の測定になるからではないでしょうか。

調べ方については 
「MPN法について教えてください」 http://www.sat.affrc.go.jp/saikin/Osiete/Osiete_QandA.htm
測定用テストキットの使用方法 http://www.kanto.co.jp/siyaku/kank/ecoli.html
などに情報がありますが、
これらの情報を見ると、式というより最確数表にまとまっているものを使う方法になっているようです

回答に対するお礼・補足

なるほど。ちしゃ様、とっかかりが出来ました。ありがとうございました。勉強いたします。ばい菌のことを専門に勉強したことがありませんので、このようにヒントをいただけると有り難いです。で、最確値表ってどうやって作ったんだろう?

No.971 【A-3】

Re:大腸菌群数について

2002-07-29 10:27:35 新潟県 / sory

工場排水試験方法や下水試験方法では、検水を培養皿に取って水中の大腸菌を培養し、
そのコロニー数を実際に数えて測定します。(平板培地法)
培養後のコロニー数の数は、分析誤差の観点から、30〜300個程度になるように
検水の量あるいは希釈率を調整することとされていますが、平板培地では分析に
使用する検水量は1mL程度が限界です。
従って、公共用水域など低濃度(河川AA類型で50個/100ml=0.5個/ml)の分析は、
0.5個を数えるという概念になってしまうのでうまくいきません。

仮に大腸菌群数0.5個/mlの水を10個の培養皿に1mlずつとって試験したと考えると、
陽性の皿が5個、陰性の皿が5個となる確率が一番高く、次いで4:6と6:4が
ほぼ同率、以下、3:7と7:3、2:8と8:2、となるわけです。
この確率分布は、「水中に大腸菌が一様に分散し」「分取された菌は陽性反応する」
との条件下で統計学的に処理できます。
逆に、濃度未知の水を同様に試験したとき、陽性の皿が5個、陰性の皿が5個出れば、
0.5個/mlである確率が一番高いでしょう。むろん実際には、0.5を中心としたどこかに
真の値があるわけですが、先ほどの確率分布をもとに、真の値が「0.4〜0.5」である
確率等を考えることが可能です。
これを一般化し、大腸菌群数x個、皿の数n個、うちコロニーが検出されたものp個
として考えて統計学的に処理し、nとpから最も確からしいxの値がいくつかを
考えるのが最確数法の手法です。nが大きいほど正確ですが、試験が煩雑になるので
環境分析ではn=5を使い、また希釈倍率を変えた3段階の検水で判定しています。
この値の「95%信頼区間」が示された最確数表もあります。

最確数法は試験に対し陰性か陽性かを判断(いわゆる定性試験)した結果を、
統計学的手法により定量化しているだけなので、菌の種類によりません。
平板培地法やメンブランフィルタ法(例:海水浴場のふん便性大腸菌の測定)などの
直接計数と比べ精度は落ちますが、コロニーを形成しない細菌などの測定には有効です。

回答に対するお礼・補足

概略を良く理解することが出来ました。御礼申し上げます。

No.975 【A-4】

Re:大腸菌群数について

2002-07-30 21:32:42 北海道 / きた

>水濁法で規定される大腸菌群数は、その単位は[個/mL]ですが
 「下水の水質の検定方法等に関する省令」により測定することになっていますので、単位は[個/cm3]となっています。(計量法とは合わないからか?計量法107条以外の測定とされています。)
 最確数のほうが低濃度の試料には「精度」がよいと書いてあるものがありますが、少なくとも分取試料(検水)の量が50倍以上になる最確数の測定が検出率はよいことになります。
 最確数の計算についてはほとんどの実務者がブラックボックスの値として算出しています。ちなみに、最確数の計算は一様ではなく、最大値や最小値等が異なる表があります。この計算に言及したHPはほとんどありませんが、有償の最確数ソフトがあります。統計のホームページで質問したら教えていただけるかと思います。一度、生物統計の本で見たことがありますが、プログラムを完成できませんでした。
 外国のサイトにはあるかと思いますが、探せませんでした。
 ホームページで見れるものには、次のものがあります。
用水・排水中の大腸菌群試験方法 JIS K0350-20-10:2001
JISK0430-72-20 規格名称 水質−培養による微生物計数の一般的指針
http://www.bact.wisc.edu/bact102/102dil3.html

http://l5labo3.cee.yamanashi.ac.jp/labhp/resinfo.htm

http://www.cfsan.fda.gov/~ebam/bam-a2.html#tab2

 

回答に対するお礼・補足

ちしゃ、sory、きた様と、ご回答頂いた順に理解が深まりました。本当にありがとうございました。bact.wisc.eduとcfsan.fda.govのサイトにいたっては夢中になって読んでしまいました。

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