一般財団法人 環境イノベーション情報機構

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EICピックアップ環境を巡る最新の動きや特定のテーマをピックアップし、わかりやすくご紹介します。

No.088

Issued: 2006.12.28

2005年環境重大ニュース(国内編)

EICネットの環境ニュース編集部では、2005年に紹介した数々の記事より、国内編・海外編 各10件ずつを「重大ニュース」として選定しました。
やや偏りはあるかも知れませんが、今年1年の国内・海外における環境ニュースをふりかえるきっかけにしていただけると幸いです。

 2005年の国内環境重大ニュースをお届けします。順位については、「海外ニュース編」同様、独断と偏見です。
「クールビズ」が流行語大賞トップテンに入った一方、アスベストによる健康被害が広範囲でおきていることが伝えられるなど、改めて振り返ってみると、明暗とりまぜ、環境関連のニュースが数多く話題となった年でした。

第1位:京都議定書発効と「京都議定書目標達成計画」の決定

 先進国・経済移行国の温室効果ガス削減目標を定めた京都議定書が2月16日に発効したことを受け、「京都議定書目標達成計画」が4月28日に閣議決定され、2008〜12年の平均温室効果ガス排出量を1990年比マイナス6%にするという、日本の議定書上の削減約束を達成するための具体的な方針が新たに示されました。
 しかし、2004年度時点の日本の温室効果ガス総排出量(速報値)は90年度の総排出量を7.4%上回る13億2,900万トン(二酸化炭素換算)に達しており、日本は約束した「マイナス6%」分と、増加した「7.4%」分をあわせた13.4%を削減する必要に迫られる厳しい状況。2006年は「京都議定書目標達成計画」にも記された運輸部門の省エネ規制が本格的に始まりますが、排出量取引環境税などについても削減策として議論が本格化していくと思われます。

第2位:政府がアスベストによる健康被害救済法案大綱決定

 過去にアスベストを扱っていた事業所の従業員や周辺住民に健康被害が多発していることが6月以降、複数企業から公表され、政府でもこれまでのアスベスト対策の徹底検証やアスベスト使用状況の把握調査、健康被害を受けた人の救済策の検討が行われました。
 政府の救済策としては11月29日に「石綿による健康被害の救済に関する法律(仮称)案大綱」が決定されましたが、この法案は事業主などから徴収した費用と行政の拠出金により基金を新設し、健康被害が認定された患者や遺族に対する救済に充てるとしています。
 さらに平成18年度の税制改正の中に、この救済法にもとづいて税制優遇措置を行うことが盛り込まれているほか、従来の労働安全衛生法による規制に加え、大気汚染防止法や建築基準法によるアスベスト規制強化の方向性も示されてきています。

第3位:「3Rイニシアティブ閣僚会合」の開催

 2004年のG8サミットで小泉首相が提唱し合意された「3Rイニシアティブ(行動計画)」を開始するための会合「3Rイニシアティブ閣僚会合」が、4月28日から30日まで東京で開催されました。
 近年アジア各国では特に、資源に対する需要の高まりを背景として国境を越えた再生資源の取引事例が増えてきており、「資源有効利用と環境汚染防止との両立」が重要な課題となっています。
 「3Rイニシアティブ閣僚会合」では20か国の担当閣僚と4国際機関の代表出席の下、「環境汚染防止に対する監視を強化した上で、再生資源の国際移動に関する障壁を低減することが、資源の有効利用に役立つ」などと指摘した議長総括が採択されました。
 なお環境省は11月15日にも、「3Rイニシアティブ」に関する今後の取組み内容を発表したほか、中央環境審議会にも専門委員会を新設し、国境を越えた循環資源の適正な流通・利用について議論を開始しています。

日本から輸入された廃プラスチックを選別している中国・広州市の人たち

日本から輸入された廃プラスチックを選別している中国・広州市の人たち(2004年12月)/写真:小島道一さん提

中国での電子・電機製品解体作業の様子

中国での電子・電機製品解体作業の様子。国外から輸入された使用済み製品も多く扱っている。(2004年11月)/写真:小島道一さん提供


第4位:水俣病への新対策発表

 環境省は4月7日、水俣病についての新対策を発表しました。
この新対策は、(1)関西訴訟と熊本水俣病二次訴訟で損害賠償認容判決が確定した原告への自己負担分医療費支給、(2)未認定患者のうち軽症者を対象にした「水俣病総合対策医療事業」の拡充、(3)水俣病発生地域の再生・融和策の推進──の3点を柱としたもので、このうち水俣病総合対策医療事業拡充については、「保険手帳」の申請受付再開と手帳所持者に対する自己負担分医療費全額支給が盛り込まれています。
「保険手帳」申請受付は10月13日から再開され、その交付対象者は11月30日までに379件(うち認定申請者55件)に達しています。

第5位:クールビズ、ウォームビズの実施

 夏のオフィスの冷房設定温度を省エネ温度の28℃程度にするとともに、この室温で涼しく働くことができる軽装のビジネスファッションスタイル「COOL BIZ(クールビズ)」を環境省が呼びかけ、大きな話題となりました。
クールビズに対応した涼しい素材のシャツなどの売り上げが伸びたほか、約100万世帯の1か月分の排出量に相当する約46万トン分の二酸化炭素削減が達成されたとの成果の推計が、環境省から発表されています。
また環境省では現在、冬の省エネを目的とする「WARM BIZ(ウォームビズ)」を引き続き、呼びかけています。

第6位:愛・地球博に約2,200万人が入場

 3月25日から9月25日まで愛知県名古屋東部丘陵(長久手町・豊田市、瀬戸市)を舞台に開催された愛・地球博には、121か国と4つの国際機関が参加し、当初目標の1,500万人を大幅に上回る約2,200万人の入場者を記録しました。
 「自然の叡智」をテーマに据え、人間と自然が共生する文化・文明の創造を目指した愛・地球博では、自然の地形や森林をできるだけ残した会場づくり、リユースを前提にしたパビリオン建設、環境負荷の少ない交通手段・環境先進技術の採用など、さまざまな環境への取組みが行われました。
 また、日本政府の公式パビリオン・日本館では、会期終了後に使われた資材をリユースするために、Webサイト「リユース日本館(http://www.reuse-nippon-kan.jp/)」を設置。リユース先を公募しています。

閉幕後に資材のリユースが行われている愛・地球博日本館

閉幕後に資材のリユースが行われている愛・地球博日本館

周辺気温の抑制効果が報告された愛・地球博の緑化壁

周辺気温の抑制効果が報告された愛・地球博の緑化壁


第7位:知床の世界遺産指定

 7月14日、南アフリカ共和国のダーバンで開催されていた第29回世界遺産委員会知床世界遺産登録が決定し、日本の世界遺産登録地は自然遺産3件、文化遺産10件の計13件となりました。
 知床の登録は、北半球の流氷の南限としての特異な生態系と、シマフクロウなどの希少種の重要繁殖地・越冬地となっていることなどが評価されたものです。最終的な登録区域は知床国立公園と遠音別岳原生自然環境保全地域の全域を含む、北海道斜里町・羅臼町の7万1,000ヘクタールに及びました。
 なお、登録時には世界遺産委員会から「海域管理計画」の早期策定などが勧告されましたが、勧告に対する対応の進展を通じ、より知床の保全が強化されることが期待されます。

第8位外来生物法の施行

 「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(外来生物法)」が6月1日から施行されました。
 この法律は海外から日本に侵入してきた外来種のうち、特に生態系や人の健康、農林水産業に被害を与える可能性があるものを規制対象種に指定し、その飼養、栽培、保管、運搬、輸入などを原則禁止するとともに、国や自治体が防除措置を講じることを規定しているものです。
 規制対象となる外来種としてはオオクチバスなど1科4属32種(これに加え18年2月1日付けで9属34種が追加される予定)が定められており、これらの種を野外に放つなどの違反事例については、個人には懲役3年以下か300万円以下の罰金、法人には1億円以下の罰金が課されることになっています。

【関連ニュース】

第9位:景観法の完全施行

 16年12月に一部施行されていた景観法のうち、未施行だった「景観地区」関連部分の規定が6月1日から施行されました。
 「景観地区」は広域を対象に、届出・勧告による緩やかな規制を行う「景観計画区域」に比べ、より積極的に良好な景観形成を行うことができる地域として想定されており、市町村はこの区域内で、建築物のデザインや高さの制限などを行うことができます。
 なお景観法に基づいた自治体の取組み状況としては、9月15日までに171自治体が景観行政の主体となる「景観行政団体」としての公示を行ったほか、滋賀県近江八幡市が全国に先駆けて景観計画「水郷風景計画」を策定し、9月1日から施行しています。

道路拡幅事業に伴い、江戸時代の景観を復元した滋賀県彦根市の町並み

道路拡幅事業に伴い、江戸時代の景観を復元した滋賀県彦根市の町並み


第10位:ラムサール条約登録湿地計33か所に

 11月8日から15日にかけてウガンダで開催されたラムサール条約第9回締約国会議で、日本の湿地20か所が同条約の「国際的に重要な湿地」として新たに登録され、日本の登録湿地は33か所になりました。
 ラムサール条約の登録湿地は、1999年の第7回締約国会議で、「第9回会議までに2,000か所以上(当時の登録湿地数の約2倍)に増やす」という目標が決議されており、日本も国内条約湿地数を1999年当時の2倍にあたる22か所以上に増加することを目標に、検討会を開催して準備を進めていました。

 気候変動関係の動きについては海外重大ニュースのコメントに譲りますが、国内2位にあげたアスベスト対策については、8月に発表された政府の過去の対策の検証結果が印象に残りました。
 この検証結果では、「「旧労働省・旧環境庁が1972年にはアスベストの危険性を認識していたが、当時は(1)環境対策はエンドオブパイプ(汚染物質の工場外排出防止)で行うという認識が強かった上に、(2)科学的に不確実な問題への予防的対策の必要性も薄く、さらに(3)政府全体として危険性についての情報共有がされていなかったため、政府全体で総合的にアスベスト対策を展開していくことが遅れた」という指摘がされています。
 この指摘を逆手にとると、「問題の根本原因を的確に捉え、早期から予防的に、関係者と情報共有や適切な連携しながら対策を進める」ということが望ましい環境問題への取組みということになりますが、現在進んでいるさまざまな環境問題対策について、果たしてこのことがどこ程度実現されているのか、大切な教訓になる指摘だと思いました。
 なお1〜10位に示したもののほかに、改正省エネ法の公布(8月、ただし施行は18年4月)【1】、EUのRoHS指令などへの対応を示した環境省検討会と産業構造審議会の2報告書の公表(8月)【2】、ダイオキシン類排出量削減の新計画了承(6月)【3】、水素燃料電池自動車の型式認証(6月)【4】、新首相公邸への家庭用燃料電池導入(4月)【5】などランキング候補にあがったニュースが数多くありました。
 2006年には明るい環境ニュースが増えてくることを願ってやみません。

 今年も残すところ、あと僅かになって参りました。2005年は、皆様にとって、どのような1年間でしたか?
 1年を通してみると、異常気象や事故など、悲しいニュースもありましたが、ジーコ・ジャパンのサッカー・ワールドカップ出場決定など、元気の出る、明るいニュースもありました。環境関係でも、いろいろな出来事がありましたね。
 そこで、今回は、1年間を振り返り、日頃、EICネットで海外ニュースを担当しているスタッフが、2005年の海外環境重大ニュース・10選をお送りします。若干、独断と偏見も入っていますが、やはり第一位は...。

第1位:京都議定書発効、第一回締約国会合開催

COP11・COP/MOP1開幕 議長国カナダ ディオン環境大臣の開会挨拶

COP11・COP/MOP1開幕 議長国カナダ ディオン環境大臣の開会挨拶(写真:(C)Government of CANADA)

 2月16日、先進国の温室効果ガス排出削減目標などを定める京都議定書が発効しました。1997年のCOP3(京都会議)で採択されてから、8年間の長い道のりでした。この間、COP6【6】での交渉の決裂、世界最大のCO2排出国アメリカの離脱など、何度も、存続の危機に瀕してきた京都議定書。ロシアの批准により、やっと発効の日を迎えることができました。
 そして年末には、Pick Up!の前号でも緊急報告【7】のあった、COP11&(COP/MOP1)が開催【8】。議定書の運用ルールが正式に採択され、また、同議定書に基づき、2012年以降の先進国の目標の検討を開始することが合意されました。なお、アメリカや京都議定書上の削減目標を負っていない途上国も交え、気候変動枠組条約の下、地球規模の長期的な取り組みについて対話を始めることに合意したことも大きな成果となりました。


第2位:EU 温室効果ガス排出量取引スキームがスタート

 京都議定書の温室効果ガス排出削減目標を達成する手段のひとつとして、EU温室効果ガス排出量取引スキーム(EU-ETS)が、今年1月1日からスタートしました。
 これは、世界で最初の国際的なCO2排出量取引制度! EU25カ国にある、発電所、製鉄所などのエネルギー多消費施設、1万1,400カ所以上が参加しています。
 加盟国が15カ国から25カ国に増えても、着実に制度を実現し、実行に移していくEUに脱帽。

第3位:EU 新化学物質規制REACH 年内合意にリーチ

EU本部(ベルギー・ブリュッセル)

EU本部(ベルギー・ブリュッセル)

 REACHは、化学物質の登録、評価、許可をひとつに統合する、EUの新しい化学物質規制です。現行の化学物質審査制度が導入される以前(1981年)から流通していた化学物質を含め、3万もの化学物質をカバー。1トン以上の化学物質を製造・輸入する企業は、安全性等を示すデータを欧州化学物質庁に登録することになります。
 化学産業などからコストがかかるとして強い反対を受け、一時は先行きが危ぶまれたREACHですが、妥協案が提示され、欧州議会(11月17日)、欧州競争政策閣僚理事会(12月13日)の第一読会で、なんとか合意に至りました。最終的な正式決定は、2006年秋の見込み。


第4位:G8グレンイーグルズ・サミット 気候変動等に関する宣言を採択

 今年、G8議長国とEU議長国(2005年後半期)をダブルで務めたイギリスは、気候変動問題を重点の一つに掲げ、果敢に取り組みました。7月のG8グレンイーグルズ・サミットでも、気候変動問題とアフリカ問題が2大テーマに。サミット準備のため、ブレア首相自ら、気候変動について、ブッシュ大統領と差しで会談した場面もありました。ただ、ブッシュ大統領の反応はいまいちで...。
 とは言え、サミットで、アメリカも含め、先進国と途上国との間で、気候変動やエネルギーに関する新たな対話を開始することに合意したのは、なかなかの成果。また、再生可能エネルギーの促進、途上国のクリーンエネルギーへの移行支援などを盛り込んだ「グレンイーグルズ行動計画」【9】も打ち出されました。

第5位:国連 ミレニアム生態系アセスメント報告書公表

豊かな生態系は、「地球の生命維持装置」(UNEP テプファー事務局長)

豊かな生態系は、「地球の生命維持装置」(UNEP テプファー事務局長)

 国連の呼びかけで2001年にスタートした、ミレニアム生態系アセスメントの総合報告書が、3月30日に公表されました【10】。95カ国から1,300人以上の専門家が参加した大規模なプロジェクトで、報告書は、人類が過去50年間、かつて無いほど急速に生態系を変えてきたことを指摘。水供給、大気質や水質の管理、自然災害の防止など、生態系が提供してきた多様なサービスのうち、約60%近くが悪化しており、今後、さらに深刻になるおそれがあると警鐘を鳴らしました。


第6位:大型ハリケーン アメリカを襲撃

 大規模な自然災害の続いた今年、アメリカも、大型のハリケーンに相次いで襲われました。特に、ハリケーン・カトリーナは、全米史上最悪の被害をもたらしたとされ、EPA(米国環境保護庁)も、捜索・復旧活動の支援、氾濫水の水質調査、有害廃棄物の回収など対応に追われました。
 ハリケーンを契機に、ブッシュ大統領も、不要不急の場合には、自動車の運転を控えるなど、国民に省エネを訴える異例のスピーチを行いました(石油精製施設が破壊され、石油価格の高騰に拍車がかかった)。相次ぐ異常気象の背景として、地球温暖化の影響も指摘されていますが、ついに、ブッシュ大統領を動かしたか?

第7位:フランス 環境憲章を公布

 フランスでは、環境に対する権利と義務を憲法上位置づける、環境憲章に関する憲法法案が議会で承認され、3月1日に公布されました。これは、2002年の大統領選挙でのシラク大統領の公約を実現したものですが、基本的人権、社会権と並んで、環境権を位置づける歴史的な改正となりました。環境憲章では、環境に関する権利と義務に加え、予防原則や持続可能な開発など、政策上の基本原則も示されています。
 さすが、人権宣言の国、フランス、まずは原則から明確に。

第8位:北京再生可能エネルギー国際会議

膨らむ再生可能エネルギーへの期待

膨らむ再生可能エネルギーへの期待

 風力、ソーラー、バイオマスといった再生可能エネルギーの利用拡大を呼びかける「北京再生可能エネルギー国際会議(BIREC2005)」が、11月7日・8日、中国の北京で開催されました。最終日には、再生可能エネルギーの拡大状況を審査・評価するための国際的な組織の設置、国際協力の推進などを盛り込んだ「北京宣言」が採択されました。
 ちなみに、中国政府は、2010年までに、電力の10%を再生可能エネルギーで賄い、この割合を2020年までに20%にするという積極的な目標を掲げています。今後の取り組みに期待したいです。


第9位:ドイツ 環境機器輸出で世界一に

 ドイツ連邦環境省が9月に発表したデータにより、ドイツが、アメリカや日本を抜いて、世界一の環境機器輸出国になったことが明らかになりました。トリッティン前環境大臣(緑の党)は、野心的な環境政策がなければ、このような結果は生まれなかったと評価しています。
 総選挙後、1998年から続いてきた赤緑連合(社会民主党+緑の党)に代わり、キリスト教民主・社会同盟と社会民主党の大連立政権が発足したドイツですが、引き続き、環境先進国としてリーダーシップを発揮できるかが注目されます。

第10位:イラク南部湿地 回復へ向かう

 2005年環境重大ニュースの締めくくりは、戦禍に苦しんできたイラクで、湿原が回復しつつあるという、少し明るいニュースです。イラク南部湿原(メソポタミア湿原、聖書の「エデンの園」があった場所とも言われる)は、旧政権下の大規模な灌漑などで、ほぼ壊滅的に失われていました。しかし、日本の復興支援等【11】により、約4割近くまで回復したことが、UNEPが8月に開催した国際シンポジウムで明らかになりました。また、水の浄化事業、戦争で破壊された工場の跡地などの汚染地域の浄化事業も始まっています。
 こうした平和的な環境貢献が、今後は増えることを祈りつつ。

 以上、2005年の海外環境ニュースを足早に振り返ってみました。
 上位には、やはり(!?)、気候変動関係のニュースが並びました。中でも、今年は、COP11&COP/MOP1の議長国として、広範な議論をまとめ、将来の枠組みづくりにつなげたカナダ、また、G8議長国&EU議長国として、アメリカや途上国を対話の場に引っ張り出し、協力可能な分野を見出そうと奔走したイギリスの活躍が光っていました。もちろん、排出量取引スキームをスタートさせたEUも。今後の国際交渉では、京都議定書の第一約束期間が終了する2012年以降の取り組み、アメリカや途上国の参加のあり方について、どれだけ具体的な議論ができるかが(知恵が絞れるかが)焦点になります。リーダーシップを発揮するのは、どこでしょう。
 なお、10件を選んでみましたが、他にも、国連改革や国連ミレニアム開発目標の進捗状況の評価について話し合われた国連首脳会合(9月)【12】、アメリカ議会のエネルギー法案可決(7月)【13】、イギリスの森林認証制度や違法伐採木材対策の進展(8月)【14】、トリノ・オリンピックがカーボンニュートラルを目指す(11月)【15】等々、話題になったニュースがいくつもありました。来年も、示唆に富んだ、有意義な海外環境ニュースをお伝えしていきたいと思います。
 2006年が、皆様にとっても、環境にとっても、素晴らしい年となりますように。
【1】 省エネ法改正案の国会提出
【2】 RoHS対応産構審WGの報告
【3】 ダイオキシン類排出量削減で新計画が了承
【4】 水素燃料電池自動車型式認証
【5】 新首相公邸に家庭用燃料電池導入
【6】第6回気候変動枠組条約締約国会議(2000年11月 オランダ・ハーグ)
【7】Pick Up!『COP/MOP1 モントリオール会議から』(前・後編)
【8】COP11&COP/MOP1
第11回気候変動枠組条約締約国会議(COP11)・京都議定書締約国会議第1回会合(COP/MOP1)。
会期は2005年11月28日〜12月9日、カナダ・モントリオールにて開催
【9】グレンイーグルズ行動計画
【10】ミレニアム生態系アセスメント
【11】日本政府による国連イラク復興信託基金への助成を活用して行われている。
【12】国連首脳会合開催
【13】アメリカ議会 エネルギー法案を可決
【14】森林認証スキームの改革が進む
【15】第6回スポーツと環境世界会議開催
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(文章・写真)源氏田尚子 協力:海外ニュース ワーキンググループ

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