一般財団法人環境イノベーション情報機構

ヘルプ

サイトマップ

メールマガジン配信中

生物多様性民間参画ガイドライン 環境用語

作成日 | 2010.06.10  更新日 | 2023.09.04

生物多様性民間参画ガイドライン

セイブツタヨウセイミンカンサンカクガイドライン   【英】Guidelines for Private Sector Engagement in Biodiversity  

解説

環境省によって作成された、事業者の自主的な生物多様性活動のための指針として、事業者が、生物多様性の保全と持続可能な利用を進める上での原則や考慮すべき視点、さらに参考となる実践ヒントなどが盛り込まれている。ガイドラインは強制的なものではなく、企業が自主的に事業活動と生物多様性の影響関係の把握し、生物多様性に配慮した事業活動を実施する際などの取り組みの方向を示したものである。その他、生物多様性に及ぼす影響の回避・最小化、予防的・順応的な取り組み、長期的な観点といった基本原則、および考慮すべき視点、参考となる実践ヒントなどが示されている。

2009年に第1版が策定され、2017年に第2版、2023年に第3版が発行された。第3版の改訂では、経営とのかかわりや「昆明・モントリオール生物多様性枠組み」、国家戦略、目標設定、情報開示などを追記し、事業者の「依存と影響」「リスクとチャンス」について解説。また、自社の取り組みレベルを把握し、一層のステップアップを図るため、目標設定と情報開示を2本柱に取り組みレベルを明示している。さらに定量的な影響評価・目標設定の方法やその具体的な指標をはじめ、情報開示の方法、国際的な先進的枠組みである「SBTs for Nature」や自然関連財務情報開示タスクフォースの事例を掲載。そのほか「Q&A」として実務担当者への助言なども紹介している。

2006年3月にクリチバ(ブラジル)で開催された第8回生物多様性条約締約国会議(COP8)では、生物多様性の保全と持続可能な利用のための民間参画の重要性が決議された。また、第三次生物多様性国家戦略(2007年11月)では、企業等の活動が生物多様性にさまざまな影響を与えている一方で、生物多様性の保全と持続可能な利用を社会経済的な仕組みの中に組み込むための事業者の役割は重要であることから、事業者の自主的な活動の指針となる生物多様性企業活動ガイドラインを策定する方針が示された。さらに、2008年6月施行の生物多様性基本法第6条においても事業者の責務が規定された。これらを踏まえて、環境省は2008年8月に「生物多様性企業活動ガイドライン検討会」を設置し、2009年7月にガイドライン(第1版)が決定された。

その後、2010年に愛知県で開催されたCOP10で採択された愛知目標2015年の国連持続可能な開発サミットで採択されたSDGsや、ISO14001の改定やESG投資の拡大など生物多様性の保全と持続可能な利用に関する事業者の対応への期待が高まり、2016年度から第2版の改定作業が進められてきた。第2版改定後も、ビジネスと生物多様性に関する国内外の多くのイニシアチブが発足し、影響評価や情報開示に関する枠組みの検討が活発に行われてきた。2021年のG7「自然協約」の合意を受けて日本でも陸と海の保全に関する「30by30目標」が設定され、企業等の保有地等も生物多様性保全に貢献する地域としてその一部に組み込まれた他、2022年12月に決定された「昆明・モントリオール生物多様性枠組」でも事業者に関する多くの目標が含まれた。(2023年4月改定)

この解説に含まれる環境用語

この環境用語のカテゴリー

関連Webサイト