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環境問題にチャレンジするトップリーダーの方々との、ホットな話題についてのインタビューコーナーです。

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エコチャレンジャー

環境問題にチャレンジするトップリーダーの方々との、ホットな話題についてのインタビューコーナーです。

目次
私はもともと民法が専門で、公害被害者の救済について研究していました
日本の環境政策の2本の柱であった公害対策基本法と自然環境保全法に含まれる内容を、環境政策という1つの枠にまとめあげる
できるだけ縦割りにならないよう、横を眺め統合的な環境政策になるよう努力している
【1】加藤一郎(1922年9月28日−2008年11月11日)
 日本の法学者で、専門は民法。1969〜1973年に東京大学総長を務め、また1979年より法制審議会の民法部会長など多くの政府の委員を務める一方で、日本交通法学会(1970年)、公害・環境問題に関する人間環境問題研究会(1973年)、医事法学会(1977年)、金融法学会(1984年)、日本生命倫理学会(1991年)など、新しい分野の学会の設立に尽力した。
【2】環境影響評価法
 環境影響評価法(通称・略称:環境アセスメント法・環境アセス法)は、1981年に国会に提出されたものの1983年に廃案となり、ついで、1984年に「環境影響評価の実施について」が閣議決定された。その後、1993年に制定された環境基本法において、「環境アセスメントの実施」が位置づけられ、新たな環境影響評価法が1997年に成立した。

No.033

Issued: 2015.06.19

第42回 中央環境審議会会長の浅野直人さんに聞く、中環審の役割と、“環境配慮の必要性”を主流化するために大事にすること[1]

実施日時:平成27年5月19日(水)18:00〜
聞き手:一般財団法人環境イノベーション情報機構 理事長 大塚柳太郎

私はもともと民法が専門で、公害被害者の救済について研究していました

浅野 直人(あさの なおひと)さん
浅野 直人(あさの なおひと)さん
福岡大学名誉教授。
昭和47年福岡大学法学部専任講師(民法)。昭和55年同教授、昭和62年から同大学法学研究科教授を併任、平成26年から法科大学院特任教授、平成27年4月より現職。 平成9年〜平成13年学校法人福岡大学理事、法学部長。
平成27年2月に中央環境審議会会長に就任。
この他、福岡県環境審議会会長等を歴任。平成8年に環境保全功労者として環境庁長官・大臣表彰を受賞。

大塚理事長(以下、大塚)―  今回は、我が国の環境行政のお目付け役である中央環境審議会の浅野直人会長にお出ましいただきました。我が国の環境行政の現状や課題、中央環境審議会(以下、中環審)の役割などについてお伺いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
浅野さんは長年にわたり、法学の専門家として中環審の委員をお務めですが、最初に、浅野さんが環境政策あるいは環境行政にかかわられるようになった経緯や、中環審が発足したころの状況などをご紹介いただけますか。

浅野さん― 私はもともと民法が専門で、公害被害者の救済について研究していました。加藤一郎【1】先生が主宰されていた「人間環境問題研究会」のメンバーとして勉強したことなどがきっかけになって、1980年に当時の環境庁から依頼を受け、元の「環境影響評価法案」【2】の国会審議を促進するための検討会のメンバーに加わったのが最初でした。
その後、今でいう環境基本計画の「走り」ともいえる「環境管理」の検討会や、さまざまな法律の準備のための検討会に参加しました。しかし、何といっても大きかったのは、環境基本法を作る作業に準備段階からかかわったことです。1993年に、環境基本法が制定されたときのことは今でもよく覚えています。

大塚― 当時は「公害」から「環境」への移行期だったと思います。加藤一郎先生のお名前も出ましたが、法学者の中でも民法の専門家が活躍されたのですね。

浅野さん― 大事なのは、公害被害者の救済より、被害を出さないようにすることです。私自身の研究テーマはもともとは裁判を通じての差し止め請求でしたが、裁判を起こさなければならない状況になる前に、行政がしっかり対策するべきだろうと考えるようになりました。ですから、専門外だった行政関係法にも首を突っ込む結果になったようなわけです。

循環型社会形成推進基本計画の見直しについて答申する、中環審循環型社会部会長(当時)の浅野さん(平成25年5月29日)。
循環型社会形成推進基本計画の見直しについて答申する、中環審循環型社会部会長(当時)の浅野さん
(平成25年5月29日)。

日本の環境政策の2本の柱であった公害対策基本法と自然環境保全法に含まれる内容を、環境政策という1つの枠にまとめあげる

浅野さん― 中環審が発足したころの状況ということですが、1993年の発足時における定員は80名でした。最初の大きな仕事は、環境基本法に基づく環境基本計画を作ることでした。毎週のように部会を開き、小委員会を開き、さらにヒアリングも全国9カ所で開きました。

大塚― 80名ということですが、分野の異なる方々がお集まりだったのでしょうね。

浅野さん― そうですね。学者は大体その中の3分の1くらいで、産業界の方、労働組合の方、民間団体の方、マスコミの方などがおられました。

大塚― 80名の方々が一堂に会した会議も開かれたのですか。

浅野さん― それはほとんどありません。各委員は専門の部会に属して活動したわけですが、しかし環境基本計画を作る企画政策部会には特別委員を含めると49名の委員がおられたと思います。

大塚― 環境基本計画を作るのに、どのくらいかかったのでしょうか。

浅野さん― 1年です。まるまる1年をかけ、1994年12月16日に閣議決定されたのです。委員はこの作業にかかりきりという感じでしたし、環境省も省をあげて計画策定にとりかかったわけです。
環境基本法とこれを受けて作られた最初の環境基本計画の一番のポイントは、それまでの日本の環境政策の2本の柱であった公害対策基本法と自然環境保全法に含まれる内容を、環境政策という観点から1つの枠にまとめあげることでした。環境基本法の中に大気汚染とか水質汚濁という言葉が一言も入っていないのです。当時、環境問題といえば公害問題であり、自然保護は自然保護という別の領域となんとなく考えられがちであったそういう考え方を根本から変えることが課題でした。そして、この環境基本法を具体化するための環境基本計画ですから、各委員の関心を、大気汚染や水質汚濁のような個別テーマではなく、トータルな環境政策に向けるのにはかなりの努力も必要でした。

大塚― 委員には、公害問題にかかわられた方が多かったのでしょう。

浅野さん― 実は私も公害問題にかかわっていたのですが、会議では大きな目標に向かうことを目指してストレートな発言をし、ほかの委員からひんしゅくを買うこともありました。今思い起こすと、結果的にいい基本計画ができたので、中環審の役割は大きかったと思っています。

大塚― 浅野さんは本年2月に中環審の会長に就任され忙しい日々をお過ごしですが、国民の皆さまに、中環審の紹介をお願いいたします。

中央環境審議会組織

中央環境審議会組織
※拡大図はこちら

浅野さん― なかなか難しいですね。環境基本法の41条に中環審について規定があり、中環審が何をしなければいけないかが書かれています。まずは、環境基本計画を作ること、その改訂・見直しをすること、環境大臣や関係大臣から訊かれたことにしっかり答えることです。それから、いくつかの法律には中環審の意見を訊くようにと書かれていますので、それに該当する場合にも意見を述べることになります。それ以外に、中環審は環境大臣や関係大臣に意見を述べることができるとなっています。つまり、大臣から訊かれなくてもこちらから意見を述べることもできるわけで、私はこの仕組みも重要だと考えています。
その例としてわかりやすいのは、昨年7月に、武内和彦・前会長のもとで、中環審総会での議論を経て、これからの環境政策では縦割りをやめ、もっと横の連携を強化しなければいけないという、我が国の今後の環境政策の課題と戦略について包括的な意見具申をしたことです。また、福島原発事故を受け環境政策が放射性物質を扱うようになったことにかかわり、関係する法律の整理にかんする意見を積極的に述べ、その意見が法律に反映されたこともあげられます。

大塚― 分かりました。ところで、中環審に今は何名の委員がおられるのですか。

浅野さん― 現在、中環審の委員の定数は30名です。30名ではとても足りませんので、100名以上の臨時委員や専門委員に加わっていただいています。30名の委員が集まる総会で大事な決議をすることもありますが、通常は9つの部会で、臨時委員・専門委員にも加わっていただきそれぞれの分掌の事項について審議をしています。私自身はかつて8つの部会をかけもちしたことがありましたが、現在は、各委員が大体2つか3つの部会に属しています。


できるだけ縦割りにならないよう、横を眺め統合的な環境政策になるよう努力している

大塚― 環境問題は多様化・複雑化の傾向にあり、中環審への期待もますます大きくなっていると思います。会長としての抱負をお聞かせください。

浅野さん― 最初に述べたいのは、各部会がそれぞれの専門性に基づき議論するために、どうしても横のつながりが取りにくいことです。武内前会長時代になされた意見具申に、私もまったく同感です。できるだけ縦割りにならないよう、横を眺め統合的な環境政策になるよう努力しているところです。
もう1つ注意しているのは、当面の課題に誠実に対応するのは当然ですが、それと同時に、将来の課題への対応が重要なことで、該当する方策はできるだけ早期に行政に反映するよう努力したいと考えています。

大塚― 大変大事なポイントと思います。よろしくお願いいたします。

低炭素・資源循環・自然共生政策の統合的アプローチによる社会の構築 〜環境・文明社会の創造〜(意見具申)
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※PDF(281KB)はこちら

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