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No.239

Issued: 2016.02.02

COP21の成果と今後(環境省地球環境局)

第1幕「パリ協定の背景」

 2015年11月30日から12月13日まで、フランス・パリ郊外で国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)が開催され、世界の気候変動対策に関する新たな法的枠組みである「パリ協定」が採択されました。気候変動枠組条約の下で、すべての国が参加する公平で実効的な枠組みに世界190以上の国が合意したことは、歴史的にも極めて重要な意味を持つものです。
 第1幕では、COP21の議論に至るまでの背景及び全世界が参加する枠組みの必要性について解説します。

気候変動は今そこにある危機

 近年、大型台風、集中豪雨、干ばつや熱波などの異常気象とそれに伴う災害が世界各地で発生し、被害をもたらしています。気候変動によって、こういった極端な気象現象が増え、インフラ等の機能停止のリスクが高まったり、食料安全保障が脅かされたりする可能性が指摘されています。また、生物多様性が損なわれたり、氷床消失等による不可逆的な変化が起こったりすることもあり得ます。
 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によれば、世界の気候が温暖化していることは間違いなく、人間活動がその支配的原因である可能性が極めて高いとされています。また、現行を上回る地球温暖化対策をとらなかった場合、今世紀末までに世界の平均気温が最大4.8℃上昇する可能性があると予測されています。地球温暖化は私たちの目の前にある危機であり、早急に地球規模で対策を講じていく必要があります。

気候変動枠組条約と京都議定書

 気候変動は国境を越えた地球規模の環境問題であるため、国際社会全体で取組を進めていかなければなりません。こうした認識の下、気候変動枠組条約が1992年に採択され、94年に発効しました。2016年1月28日現在、この条約には世界の195の国と1地域(欧州連合)が参加しており、1995年以降の毎年、年末に条約締約国会議(COP)が開催されてきています。この条約は、「大気中の温室効果ガス濃度を影響のないレベルで安定化させる」ことを目的とし、その達成のため「共通だが差異のある責任」等の原則や各国の責務などを定めたものです。まさに「枠組」条約であり、温室効果ガスの排出削減等の対策を進めるためには、より具体的な取り決めが必要であることが、条約の発効当初から認識されていました。
 このため1995年の第1回締約国会議(COP1)以降2年間の交渉を経て、1997年12月に京都で開催された第3回締約国会議(COP3)で京都議定書が採択されました。京都議定書では、共通だが差異ある責任原則に基づき、2008年から2012年までの5年間に先進国全体で1990年比少なくとも5%の削減を目指し、各先進国に対して法的拘束力のある数値目標を設定しました。また、排出量取引、クリーン開発メカニズム(CDM)など目標達成のための各国間の協調のメカニズム(いわゆる「京都メカニズム」)を導入するなど、温室効果ガスの排出削減を目指す初めての国際的な法的枠組みとして画期的な合意でした。
 しかしながら、当時世界最大の排出国であった米国が2001年に京都議定書を締結しないことを表明したこと、2000年代に入り中国、インドなど京都議定書の下で排出削減義務を負っていない開発途上国(新興国)の排出量が急増したことから、こうした国々を含む世界全体の気候変動対策を強化する必要が出てきました。

世界全体での取組の必要性

【図1】世界のエネルギー起源CO2排出量の推移
【図1】世界のエネルギー起源CO2排出量の推移
※拡大図はこちら

 2013年時点の世界のエネルギー起源CO2排出量は、中国が28%、米国が約16%となっており、世界全体の322億トンのうち、米中2か国で世界の排出量の40%以上を占めています(図1)。京都議定書は2012年のCOP18で改正され、2013年から2020年までの第二約束期間が設定されましたが、この第二約束期間に目標を掲げる一部の先進国の排出量が世界全体に占める割合はわずか10数%となっています。また、将来に目を向けると、2030年の時点では、先進国の排出量は減少傾向であるのに対して、途上国からの排出量がさらに急増すると予想されています。こうしたことから、京都議定書に代わる、途上国も含めたすべての国が参加する新しい枠組みの構築が求められたのです。

 このような状況の中、2011年末に南アフリカ・ダーバンで開催されたCOP17において、「気候変動枠組条約の下で、すべての国に適用される議定書その他の法的な枠組み」を2015年までに採択すること、そのための交渉の場として「ダーバン・プラットフォーム特別作業部会」(ADP)を設置すること等が合意されました。
 その後、この合意に基づき2012年に設置されたADPにおいて国際交渉が進められました。2015年には、2月、6月、8月、10月に計4回のADP会合が開催され、最終的にCOP21における「パリ協定」の採択に至りました。

次ページでは、「交渉の経緯と論点」について解説します

(記事・図版:環境省地球環境局)

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