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EICピックアップ アメリカ横断ボランティア紀行 INDEXアメリカ横断ボランティア紀行

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第38話
| 2014.05.09
No.231

総集編

 世界の国立公園の理想をリードしてきたアメリカ、その現場で何が起きているのか。国立公園2か所と、国立野生生物保護区を管轄する魚類野生生物局でボランティアという立場で勤務した様子を紀行文的にご紹介してきた。大学のコースに所属していたわけでもなく、指導教官ももちろんいない。とにかく「百聞は一見にしかず」、直接会って話をする、実際に現場で働いてみる、そんなことの繰り返しだった。私が経験できたことはアメリカの保護区政策全体のほんの一部、それも現場での経験ばかりだ。


第37話
| 2014.02.13
No.229

第37話 「さよならワシントンDC」

 いよいよ2年間の研修も残すところ3か月。最後の研修地ワシントンDCを去る日が刻々と近づいてくる。魚類野生生物局での研修を終了し、最終報告書を作成する。その合間にニューヨークやボストンを訪問する。帰国間際に環境省から出張者が来ることになり、思いがけずシェナンドア国立公園などを訪問することになった。


第36話
| 2013.06.10
No.220

第36話 「ドンさんインタビュー(2回目)」

 私たちがいつものように魚類野生生物局の国際課で作業をしていると、国際課幹部のテイコさんが遊びに来てくれた。「今度ドンがクラブケーキをご馳走したいって言っているんだけど、うちに来ない?」クラブケーキ(Crab cake)とは、カニのほぐした肉にパン粉や牛乳、卵などをつなぎにして焼くか揚げるかして作るアメリカの伝統料理のこと。またまた魅力的なお誘いだ。


第35話
| 2013.03.01
No.218

第35話 「魚類野生生物局の予算」

 アメリカの魚類野生生物局の予算は、国立公園局に比べて特別会計に依存する割合が大きい。特別会計には入場料金収入や狩猟許可などに伴う手数料などが含まれる。保護区の管理を充実するためにはそれなりの予算と体制が必要となる。予算や組織を充実するための魚類野生生物局の戦略と課題について、国際課長のハーブ・ラファエルさんに伺った。


第34話
| 2012.09.20
No.211

第34話 「国立野生生物保護区訪問」

 ワシントンDC内を横断する高速道路を避け、市街地の南部から環状に走る高速道路インターステート495号線に入る。東方に向かって走り、チェサピーク湾を渡る。魚類野生生物局での研修の一環で、近郊の国立野生生物保護区を訪問することになった。上司のピーターさんから、チンカティーグとブラックウォーターの2箇所を勧められた。


第33話
| 2012.01.26
No.203

第33話 「ドンさんとの出会い」

 魚類野生生物局本局での勤務は刺激的だ。ワシントンDCという米国政治の中心地に近いからだろうか。それとも魚類野生生物局の持つ雰囲気だろうか。自分たちの組織が抱えている課題やそしてそれを解決するための道筋などを、政策立案の中心的な関係者がインターンの私たちにも率直に語りかけてくれる。組織としての懐の深さを感じさせられる。
 ただ、こうした話を自分なりに消化できるようになったのは、これまでの1年半にわたる現場でのボランティア経験があったからこそといえる。


第32話
| 2011.12.12
No.201

第32話 「魚類野生生物局でのボランティア開始」

 私たちが、ワシントンDCに近いバージニア州ボールストンという街に落ち着いたのは11月の半ばだった。ボールストンには、最後の研修先となる内務省魚類野生生物局がある。住居はボランティア向けアパートで、事務所のすぐ近くの高層アパートにある。部屋の窓からはポトマック川とその向こうに広がるワシントンDC郊外の森を見渡すことができる。
 ここでは、国立公園と国立野生生物保護区の違い、野生生物に関する国際協力プログラムなどについて研修する予定だ。


第31話
| 2011.09.09
No.198

第31話 「国立保全研修所訪問」

 魚類野生生物局(FWS)の所管する国立保全研修所(National Conservation Training Center:NCTC)は、保全に関する連邦政府機関連携型の施設で、アメリカ国内の自然環境の保全に関する研修所として設置された。ウェストバージニア州シェファーズタウン郊外の、広々とした敷地にゆったりと整備されており、ハーパースフェリーセンターのFWS版ともいえるメディアセンターの他、アーカイブ(収蔵庫/博物館)が併設されている。


第30話
| 2011.07.26
No.196

第30話 「ハーパースフェリーセンター訪問」

 ハーパースフェリーセンターは、アメリカ国立公園局の総合メディアセンターだ。建物のデザインは近代的で、隣接する古めかしいレンガ造りのマザー研修所とは対照的だが、この2つの施設が隣接することには実は大きな意義がある。インタープリテーション技術を教えるマザー研修センターと、国立公園内の展示や様々なデザインを一元的に担当するハーパースフェリーセンターの連携が、アメリカの国立公園というブランドを支えている。


第29話
| 2011.04.27
No.192

第29話 「国立公園『レンジャー養成所』訪問!(その2)」

 国立公園局の初任者研修のエクスカーションに参加するため、アンティータム国立戦場を訪問する。
 アンティータムは南北戦争の歴史の中でも有数の激戦地だ。こうした戦争の歴史を伝える歴史公園の管理についてもお話を伺うことにした。これまで訪れた国立公園とはひと味違うお話しが聞けそうだ。


第28話
| 2011.02.10
No.188

第28話 「国立公園『レンジャー養成所』訪問!(その1)」

 ウェストバージニア州ハーパースフェリーには、国立公園のレンジャーの養成機関として名高い「マザー研修所」と、同局のメディアセンターであるハーパースフェリーセンターがある。私たちはまずマザー研修所を訪問して、国立公園局の職員研修制度について話を伺うことにした。
 ハーパースフェリーは、ポトマック川の上流に位置する歴史的な町で、南北戦争当時は戦略的な要衝として激戦地となった。ポトマック川の下流にはワシントンDCがある。車なら2〜3時間ほどの距離だ。いよいよ今回の横断も大詰めを迎えた。


第27話
| 2010.10.07
No.182

第27話 「マンモスケイブ再訪」

 デンバーを出発し、高速道路インターステート70号線をひたすら東へ向かう。コロラド州からカンザス州、ミズーリ州、イリノイ州などを横断する。今まで経験したことのない、内陸の大平原だ。途中、グレートプレーンズの穀倉地帯を通過する。この豊かさがあったからこそ、西部開拓前には6,000万頭ともいわれるアメリカバイソンが生息していたのだろう。


第26話
| 2010.07.15
No.178

第26話 「大陸横断(デンバー)」

 自然資源プログラムセンターでのインタビューを終え、フォートコリンズからコロラド州の州都デンバーへ移動する。デンバーは、学園都市フォートコリンズとは打って変わって大きな都市だった。デンバーでは、魚類野生生物局の第6地域事務所と、国立公園局のデンバーサービスセンターを訪問する予定だ。


第25話
| 2010.06.03
No.177

第25話 「大陸横断(フォートコリンズ)」

 コロラド州のフォートコリンズには、国立公園局自然資源プログラムセンターがある。このセンターは、私たちがマンモスケイブやレッドウッドで勤務していた、資源・科学部門の「総元締め」のような機関だ。
 このセンターに勤めるジムさんに面会をお願いしていたところ、快くインタビューに応じてくれた。国立公園全体のモニタリングや科学的調査に関するお話を伺う、絶好の機会になるだろう。


第24話
| 2010.04.08
No.174

第24話 「大陸横断(レッドウッド〜フォートコリンズ)」

 10月半ば、レッドウッドからワシントンDCまでの大陸横断の旅が始まった。マンモスケイブからの横断に対して、今回は西から東への大移動だ。
 前回はメキシコ国境近くを通る南のルートだったが、今回はロッキー山脈の真ん中付近を越えるようなルートをとることになった。ロッキー山脈はそろそろ雪が降り始める時期を迎えており、とにかく雪が降る前に山脈を越えてしまいたい。レッドウッド国立州立公園近傍の国立公園を回った後は、雪に追いかけられるようにして一気にロッキー山脈を越えることになった。


第23話
| 2010.01.21
No.171

第23話 「さよならレッドウッド」

 レッドウッド国立州立公園を去る時が目前に近づいてきていた。アラスカでの2週間があっという間に過ぎ、滞在期間は残すところあと1ヶ月ほどになっていた。次の研修地、ワシントンDCでの研修が11月半ばから始まる。出発までに、荷物の整理、職員へのインタビュー、そして職員向けに、私たちの研修成果に関するプレゼンを行わなければならない。二次林の調査もまだ担当分が残っている。
 10月に入ると、夜、雨が降ることが多くなった。レッドウッドに雨の季節がやってきたのだ。レッドウッドの静かな雨音を聞いていると、来月にはここを出なければならないということが信じられなかった。私たちは、すっかりこの森と公園が気に入ってしまっていた。


第22話
| 2009.08.25
No.167

第22話 「アラスカへ(その4)」

 朝、荷物をまとめフェアバンクスに向けて出発する。出発前、少し早起きして、デナリ国立公園のパークロードを自動車で走ってみた。あいにく動物は1頭も姿を現さなかった。
 デナリ国立公園からフェアバンクスまでは車で3時間ほどの距離だ。来た時とは打って変わって空はどんより曇っている。よく見ると、太陽は出ているようなのだが、辺りが霞んでいる。森林火災の煙が流れ込んできているようだ。フェアバンクスの近郊で、かなり大規模な森林火災が発生していたのだ。


第21話
| 2009.06.11
No.164

第21話 「アラスカへ(その3)」

 デナリ国立公園の少し手前にデナリ州立公園がある。駐車場に車を停めると、すぐ目の前にマッキンリー山とアラスカ山脈が広がる。手前に広がる森林地帯とのコントラストがとてもきれいだ。最初に訪れたキーナイフィヨルド国立公園とは異なる、内陸の本格的な山岳公園らしい景観だ。


第20話
| 2009.03.18
No.160

第20話 「アラスカへ(その2)」

 スワードからアンカレッジに戻った次の日は、晴天に恵まれ暖かい1日となった。アラスカでは9月は晩秋だ。
 「前任のNさん、Kさんはどうしていますか?」
 アラスカ地域を管轄する魚類野生生物局のリージョン7事務所でのインタビューは、こんなふうに始まった。
 「今の担当のMさんもがんばってくれています。だけど、日本(環境省)の担当者は早く代わり過ぎますね。顔と名前を覚えて、これからというところで担当者が代わってしまうのはとても残念なことです」
 そういうケントさんは、このアラスカ地域の仕事一筋20年以上。アメリカでもかなり長い。その間、日本側の担当者はどれだけ代わったのだろうか。


第19話
| 2008.12.11
No.155

第19話 「アラスカへ(その1)」

 “トナカイ、ジャコウウシ、ホッキョクグマの生息地”、“米国49番目の州”、“ロシアから1ヘクタールあたり5セントで購入された土地”、“ハワイ以外で旧日本軍との戦場になったところ”。アラスカにはいろいろな形容詞が当てはまる。オーロラが夜空を彩り、氷河が海に崩れ落ちる「米国最後のフロンティア」は、雄大な自然と魅力がいっぱいだ。  アラスカは、米国本土の5分の1程の面積がある。アラスカの国立公園と野生生物保護区には、他の米国本土48州にはない課題と政策があるに違いない。...


第18話
| 2008.08.28
No.151

第18話 「イエローストーン国立公園」

 1872年、世界で初めての国立公園、イエローストーン国立公園が設立された。今もハクトウワシが舞い、バッファローが群れをなすイエローストーンは、野生生物にとって、アラスカを除く米国本土48州に残された“最後の楽園”といえる。 私たちが訪問した当時、イエローストーンではスノーモービルの乗り入れ規制導入をめぐって関係者の意見が対立し、司法、さらには政権を巻き込んだ論争に発展していた。 自然のスケールばかりでなく、「もめごと」のスケールも大きい。国立公園発祥の地、イエローストーンは、今も国立公園行政のフロンティアと言える。...


第17話
| 2008.06.19
No.148

第17話 「オレゴン州、ワシントン州遠征」

 レッドウッドに到着してから約半年。日々の調査業務にかまけて、報告書作成に必要な情報がなかなか集まらない。『米国の保護地域における自然資源管理』というテーマは、思ったよりも難しかった。残された現地研修期間は3ヶ月。このままではあっという間に終わってしまう。...


第16話
| 2008.04.24
No.143

第16話 「レッドウッドの見どころ」

 アルカタ空港に双発のプロペラ機が到着した。機体はターミナルビルの目の前に止まり、簡単なタラップから乗客が次々に降りてくる。石原都知事も姿を現した。さっそく自己紹介する。...


第15話
| 2008.03.06
No.140

第15話 「国立公園局と州政府の協力」

 「トウキョウのガバナー・イシハラって知ってる?」  ワシントンDCの国立公園局国際課ルディーさんからメールが入った。石原慎太郎都知事のことだ。  「まだ内々の話なんだけど、ガバナーが国立公園視察に興味をもっているらしいんだ。彼が日本の有力な政治家で首相候補のひとりというのは本当?」...


第14話
| 2008.01.10
No.135

第14話 「ヨセミテ国立公園へ!」

 レッドウッド国立州立公園から、針葉樹林の中を走る「レッドウッドハイウェイ」を南下する。セコイア・キングスキャニオン国立公園、そしてヨセミテ国立公園を目指して車を走らせる。同じ道をレッドウッドに向けて北上したときから、ほぼ4ヶ月。いよいよアメリカの国立公園制度の「聖地」ともいうべき、シエラネバダ山脈の山岳地帯を訪れる機会を得た。...


第13話
| 2007.11.01
No.132

第13話 「レッドウッドのボランティア」

  「ワタル、スタージアが呼んでるよ」
 出勤すると、上司のジェイソンさんが探しにきた。さっそくスタージアさんの個室にかけつける。スタージアさんは国立公園勤務の植物学者で、植生部門の「ナンバー2」に当たる。
 「あなたたちにお願いしたいことがあるの」
 私たちが仕事を任されるのはこれが初めてだった。


第12話
| 2007.08.30
No.129

第12話 「レッドウッドの森のボランティア」

  「ユー・ガイズ! まずは年輪計測の練習に行こう」
 私たちの上司のジェイソンさんが同僚のスコットさんと、さっそく私たち2人をフィールドに連れ出す。
 アメリカ国立公園での長期ボランティア研修も、2箇所目の研修地・レッドウッド国立州立公園に移り、新しい生活がはじまろうとしていた。


第11話
| 2007.06.28
No.126

第11話 「レッドウッド国立州立公園到着」

 サンフランシスコで大量の生活物資や食料を買い込み、次の研修地、レッドウッド国立州立公園を目指す。太平洋岸に沿ってカリフォルニア州道1号線をゆっくり北上していくと、これまで走ってきた内陸部とは全く違う風景が広がっていた。レッドウッド国立州立公園のゲートシティーであるアルカタという町までは1泊2日ほどの行程だ。


第10話
| 2007.05.17
No.123

第10話 「大陸横断編・その3(アリゾナ州〜ネバダ州〜カリフォルニア州)」

 グランドキャニオンは、コロラド川に沿って形成された延長277マイル(446キロメートル)、幅15マイル(約24キロメートル)、深さ6,000フィート(1,830メートル)にも及ぶ大峡谷だ。私たちは、グランドキャニオンの南にあるアリゾナ州フラッグスタッフからこの大渓谷を目指し北上していた。...


第9話
| 2007.03.15
No.120

第9話 「大陸横断編・その2(テキサス州→ニューメキシコ州→アリゾナ州)」

 約9ヶ月を過ごしたマンモスケイブ国立公園(ケンタッキー州)を離れ、次の研修地であるレッドウッド国立州立公園(カリフォルニア州)を目指す。そこは、マンモスケイブ国立公園から直線距離にして約3,500km、太平洋岸北部にある巨木と霧の公園だった。...


第8話
| 2007.01.18
No.117

第8話 「大陸横断編その1(テネシー州−ミシシッピー州−ルイジアナ州−テキサス州)」

 ゆったりとしたカーブが鬱蒼とした森の中に続く。アメリカの国立公園での最初の研修となった、ケンタッキー州マンモスケイブ国立公園での9ヶ月間の勤務を終え、次の研修地、カリフォルニア州レッドウッド国立州立公園を目指す。約9ヶ月間のレッドウッド勤務を経て、3ヶ所目の研修地、ワシントンDCでの研修を終えると、アメリカ大陸を一往復することになる。
 この最初のアメリカ横断の旅は、ナチェストレイス・パークウェイからはじまった。テネシー州の州都ナッシュビル近郊からミシシッピー州南部のナチェスまでをつなぐ総延長444マイル(約710km)のパークウェイは、かつての交易路に沿って整備されている。交易路はナチェストレイスと呼ばれ、近代アメリカ合衆国建国の歴史が文字通り「刻み込まれて」いる。


第7話
| 2006.11.30
No.113

第7話 「さよならマンモスケイブ」

   「W氏はもうここにはいません。国立公園局を去りました。残念ながら鈴木さんたちのことを引き継いでいる者はおりません」
 2003年11月。マンモスケイブ国立公園のボランティア生活も半年を越え、そろそろ次の研修先であるゴールデンゲート国立レクリエーション地域での生活について準備を始めなければならない時期に差し掛かっていた。予想外の回答に、私たち夫婦は2人とも面食らってしまった。


第6話
| 2006.10.26
No.109

第6話 「遠征編 from Mammoth Cave」

  国立公園北の入り口ゲートを通過してしばらくすると、右手に広々とした盆地をシェナンドア川がゆったりと蛇行して流れる風景が一望できる。ここはバージニア州にあるシェナンドア国立公園。アパラチア山脈の北端に位置する国立公園で、首都ワシントンDCからは2時間程の距離だ。
 公園を南北に貫くスカイラインドライブは、ほぼ山脈の稜線に沿って建設されている。
 路傍の駐車スペースで車を降りると、私たちはすぐにカメラを取り出して写真に収まった。


第5話
| 2006.09.14
No.106

第5話 「マンモスケイブ国立公園の夏」

 マンモスケイブ国立公園でのボランティア生活も1ヶ月を経て業務にも慣れてきたある日のこと。出勤前にメールをチェックしていたところ、久しぶりに環境省の元同僚からメールが届いていた。日本を出発して以来、メールは1日1通来るかこないか。それもほとんどは友人や身内からだった。
 「お元気ですか?」から始まる少し長いメールは、至急の調査依頼だった。期限は1週間。調査内容は、国立公園における建設事業の事業評価とアセスメントの手法について。どうやらまたひと騒動起きているようだ。


第4話
| 2006.07.27
No.102

第4話 「マンモスケイブ国立公園での生活」

 アメリカで自動車がないことは死活問題だ。
 ケンタッキー州の片田舎にあるマンモスケイブ国立公園では、最寄りのスーパーマーケットまで車で30分はかかる。それでいて、公共交通機関はまったくない。
 公園内には、キャンプストアが開店している。ただ、卵やソーセージなどは売っていても、野菜や雑貨がない。値段も高く営業時間が短い上に、近いとはいえ、宿舎から徒歩で片道15分ほどかかる。
 ボランティアをしていると毎日弁当が必要だし、肉体労働なのでお腹も減る。日本を出るとき、アメリカに着けば何でも買えるだろうと、食材はそれほど持参してこなかった。それも、到着から1週間ほど経って、すでに底をつきはじめていた。


第3話
| 2006.06.08
No.098

第3話 「ボランティア開始」

 公園の管理事務所ではボランティア・コーディネーターのメアリーアンさんが待っていてくれた。早速、ボランティアの簡単な契約書にサインする。ところが、どういうわけか契約書が2枚用意されていた。「2人でボランティアやるんでしょ?」と当然のように言うメアリーアンさん。妻も特にやることはなかったし、英語でうまく説明できそうにはなかったので、そのまま2人ともボランティア登録することにした。手続き終了後、ボランティア時間の記録票と帽子を1つずつもらった。
 後でわかったことだが、ボランティア宿舎に滞在するには、週におおむね40時間程度の勤務が必要だ。家族も例外ではない。ボランティアハウスに入居させてもらえることになった時点で、妻にもボランティアとして勤務する義務が生じていたのだった。


第2話
| 2006.04.20
No.094

第2話 「受入れ先決定〜マンモスケイブ到着」

 当初の甘い見通しに反し、研修先が決まらなかった苦悩の日々。今思えば、公園側のニーズも応募者側(=私たち自身)の特性も考えず、闇雲に当たっては砕けていた。研修の権利失効期限が迫る一方、なかなか出口の見えない手探り状態が続いていたが、ここにきてようやく、少しずつコツらしきものも見えてくるようになっていた。


第1話
| 2006.03.24
No.092

第1話 「アメリカでの研修!?」

 日本の“レンジャー”が体験したアメリカの国立公園での長期滞在ボランティア。それは、日本の“ボランティア”観を覆す衝撃的な体験だった──。
 アメリカ合衆国(以下「アメリカ」)におけるボランティアへの社会的な認知度は高く、またボランティア自身もプライドを持って、明るく楽しく活動している。豊かなアメリカとはいえ、ボランティアの貢献なしでは連邦政府の現地業務は回らない。ボランティアは無給のスタッフとして行政組織の重要な一翼を担っているのです。主体的で明るく楽しく、いわば、直接民主主義の発露として社会に関わっているボランティア。アメリカ国民の誇りともいえる国立公園で働くパーク・ボランティアは、その典型といえる。
 本シリーズでは、アメリカの国立公園で長期滞在のパーク・ボランティアとして公園管理の表裏を実際に体験してきた環境省職員の鈴木さんに、さまざまなエピソードをご紹介していただき、併せて、アメリカ各地の国立公園の魅力とそれぞれの公園の抱える問題などについても言及いただく予定。先日お送りした「導入編」を受け、いよいよ今回から、待望の「本編」をスタートします。


導入編
| 2006.01.31
No.089

導入編

 日本の“レンジャー”が体験したアメリカの国立公園での長期滞在ボランティア。それは、日本の“ボランティア”観を覆す衝撃的な体験だった──。
 アメリカ合衆国(以下「アメリカ」)におけるボランティアへの社会的な認知度は高く、またボランティア自身もプライドを持って、明るく楽しく活動している。豊かなアメリカとはいえ、ボランティアの貢献なしでは連邦政府の現地業務は回りません。ボランティアは無給のスタッフとして行政組織の重要な一翼を担っているのです。主体的で明るく楽しく、いわば、直接民主主義の発露として社会に関わっているボランティア。アメリカ国民の誇りともいえる国立公園で働くパーク・ボランティアは、その典型といえます。
 本シリーズでは、アメリカの国立公園で長期滞在のパーク・ボランティアとして公園管理の表裏を実際に体験してきた環境省職員の鈴木さんに、さまざまなエピソードをご紹介していただきます。併せて、アメリカ各地の国立公園の魅力とそれぞれの公園の抱える問題などについても言及いただく予定。本編は、その導入としてお送りするものです。


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