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環境ニュース[国内]

石綿の健康影響に関する3報告書を公表

健康・化学物質 有害物質/PRTR】 【掲載日】2007.06.05 【情報源】環境省/2007.06.05 発表

 平成19年5月28日に開催された「石綿アスベスト)の健康影響に関する検討会」で、「大阪府・佐賀県における石綿の健康影響実態調査報告」、「大阪府泉南地域・尼崎市・鳥栖市における石綿の健康リスク調査報告」、「石綿ばく露の疫学的解析調査報告(尼崎市)」の3つの報告書がまとめられ、19年6月5日に公表された。
 このうち、「大阪府・佐賀県における石綿の健康影響実態調査」は、大阪府内と佐賀県内の15〜17年の中皮腫死亡者(注1)について、遺族の協力を得た上で、聞取り調査、医療機関のカルテ調査、石綿取扱い施設調査を実施したもの。
 労働現場に関連して石綿にさらされたことがある人が多数を占めることが確認され、石綿にさらされた経路が特定できなかった人が相対的に多い地域は確認できなかったとされている。
 また「大阪府泉南地域・尼崎市・鳥栖市における石綿の健康リスク調査」は、一般環境中に飛散した石綿が原因となった健康被害が発生する可能性がある大阪府泉南地域・尼崎市・鳥栖市で、石綿にさらされた可能性がある人に対し、問診、胸部X線、胸部CT検査を実施し、健康影響に関する知見を収集するとともに、石綿にさらされた地域の広がりや石綿関連疾患の発症リスクに関する実態把握を行ったもの。
 大阪府泉南地域では22%、尼崎市では37%、鳥栖市では25%の調査対象者について、労働現場と関連して石綿にさらされた経験が確認できなかったと報告されている。
 さらに「石綿ばく露の疫学的解析調査(尼崎市)」は、18年5月にまとめた「兵庫県における石綿の健康影響実態調査」の結果で、石綿にさらされた経路が特定できない中皮腫死亡者が相対的に多いとされる尼崎市に焦点を絞り、市内の6地域別に、中皮腫の実死亡数と全国の中皮腫の死亡率との比を求める(注2)などの疫学的調査を実施するとともに、リスクが相対的に高い地域の確認、石綿による健康被害の実態把握を行ったもの。
 石綿関連工場が集中していた尼崎市小田地区では、女性の死亡が全国比で29.6〜68.6倍、男性の死亡が同じく全国比で10.6〜21.1倍と顕著に高かった(注3)ことが報告されているが、職業上での被爆とそれ以外の被爆を区分できないなど、調査設計上の制約が大きかったため、この結果がただちに、一般環境経由による発症リスクを示すものではないという指摘が付されている。
 環境省は、大阪府泉南地域、尼崎市、鳥栖市での調査を今後も継続するほか、奈良県、横浜市鶴見区、岐阜県羽島市でも新たに健康リスク調査を実施するとしている。また、一般環境中の石綿による健康影響に関する知見の収集や、尼崎市のリスクが高いとされた地域の住民に対する継続的な健康管理・健康影響の実態把握についても、今後継続していく予定。【環境省】

(注1)人口動態調査による中皮腫死亡者。
(注2)対象グループの中皮腫死亡実数÷Σ{(全国の中皮腫の年齢別死亡率)×(対象グループの年齢別人口)}で計算。
(注3)全国比の数値に幅があるのは、各地域の住民を居住期間によってさらにグループ分けし、それぞれのグループについて中皮腫の実死亡数と全国の中皮腫の死亡率との比を試算したため。

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