一般財団法人環境イノベーション情報機構
関電、タイでマングローブの植林技術とエタノール化技術を開発へ
エネルギー】 【掲載日】2010.09.30 【情報源】企業/2010.09.27 発表
関西電力は、京都大学などと共同でマングローブの一種、ニッパヤシの植林技術と、エタノール化技術の開発を始める。タイのエビ養殖池跡の荒廃地に植林し、樹液からガソリン代替燃料を製造する。植林によるCO2吸収だけでなく、バイオエタノールを生産することでさらにCO2削減効果を狙う。試験地面積は約0.7haだが、約20万haと推定されるエビ養殖池跡にニッパヤシを植林すると約50万kLのバイオエタノールを生産でき、年間約80万tのCO2を削減できると試算している。ニッパヤシはマングローブの一種のヤシ科の植物。樹液にはサトウキビと同等の約14%の糖分が含まれている。試験地に植林したニッパヤシの成長データを収集し、植生の密度や土壌の条件などの立地条件と成長との関係を分析。より多くの樹液を採取できるように植林技術を開発する。
同時に土壌の成分や熱処理が、樹液の効率的なエタノール化にどのように影響するかを解明。さらにサトウキビからエタノールを製造する工場でニッパヤシによるバイオエタノール製造が可能かどうか検証する。タイ南部のナコンシタマラットの試験地で2012年度まで3年間にわたって開発を進め、その後事業化を判断する。
タイでは、天然のマングローブ林を伐採して造ったエビの養殖池が放置されて荒廃地となり、CO2吸収源の減少や生態系破壊など大きな環境問題となっている。一方、トウモロコシやサトウキビなどによるバイオエタノール生産は、食料需要との競合問題が指摘されている。関電は、ニッパヤシの植林で自然環境の修復を可能とすることに加え、食料との競合問題が起きないバイオエタノール生産技術の確立を目指す。