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環境ニュース[海外]

湿地保護のため泥炭採取を規制

自然環境 生物多様性】 【掲載日】2002.03.11 【情報源】イギリス/2002.02.27 発表

 イギリスのミーチャー環境大臣は2月27日、環境保護のため、スローン・ムーアなど国内3ヶ所の湿地で、泥炭(ピート)の採取を中止することが関係者間で合意されたと発表した。
 泥炭地は通常酸性で栄養分も少ないため、生息できる生物も特殊化している。ヨタカ、モリヒバリ、シギなどの鳥類や稀少な植物、昆虫の宝庫となっているが、一度生態系を破壊されると回復するのが難しいとされている。
 今回の合意は、イングリッシュ・ネーチャー(English Nature)と、3地域の泥炭採取権のほとんどを有するスコッツ社(Scotts Ltd)との間の交渉を受けてなされたもの。スコッツ社には損失補償として、今後3年間で1730万ポンド(約33億円)が支払われる。また、同社は合意事項の一つとして、泥炭の代替物の生産を通じて雇用を維持することを約束している。
 今回泥炭採取が中止される3地域は、EUの「生息環境指令」(Habitats Directive)に基づく「ナチューラ2000」指定地域で、加盟国は、環境的に損害を与える行為を予防する必要がある。同省では、既にその取り組みの一環として、地方の鉱山管理当局に、泥炭を含めた鉱物採取許可を見直すよう義務付けている。また、政府は2005年までに、泥炭の40%を代替物に置き換えていくという目標を設定しており、今回の合意で商業用泥炭のストックが減少し、代替物の開発が進むことが期待される。
 なお、ヨーロッパでは、この100年間で94%の湿地が失われた。イギリスとアイルランドには、大規模で良好な泥炭地域があり、今後時間をかけて動植物相を回復していくことが重要な課題となっている。【イギリス環境・食糧・地方事業省】

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