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環境Q&A

企業での温暖化対策費用分析の方法 

登録日: 2004年06月04日 最終回答日:2004年06月24日 地球環境 地球温暖化

No.6189 2004-06-04 20:45:58 eco

私は企業内で温暖化対策の戦略を検討しています。京都メカニズムの利用や,自社での削減など多数の手段の中から最適な組み合わせを決めるにあたり,費用分析の方法を検討中です。
自社内の削減手段を洗い出してコスト分析をし,社外手段との比較をする方法については,ミクロ経済学の限界費用曲線を利用した方法をよく論文などで見かけます。ですが,実際実務に利用しようとすると,@長期曲線と短期曲線A限界費用か平均費用か といったところで難しい問題がでてきます。

@長期曲線は設備投資も時間的調整ができるとして可変費用ととらえますが,温暖化対策で自社に限られた手段しかない場合にも適用できるのか。また,短期と長期を使い分けるポイントは,期間なのかどうか。
A設備投資をどうとらえるか,つまり固定費を考えにいれなければ社外手段とどちらが安いかの比較はできないわけですが,限界費用曲線ではそれができない(可変費だけを考慮するため)。かといって平均費用では,例えば排出権取引市場の価格と比較するのは不適切。

どなたかこういった考え方でコスト分析をされている例や,どう考えたらよいかご存知の方がいらっしゃればご意見をお伺いできないでしょうか。簡単なことやポイントだけのご意見でも結構です。よろしくお願いします。

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No.6527 【A-1】

Re:企業での温暖化対策費用分析の方法

2004-06-24 14:12:27 BAHAGIAN

企業の限界削減費用の計算方法ですが、個人的には下記のように考えれば良いかと思いますが、如何でしょうか。
1 京都議定書では2008年から2012年までしか削減義務については決まっていないので、この5年間にかかる費用だけを計算する。(従い、設備投資を伴う場合はこの5年間で償却して計算)(この価格より安ければ、少なくとも第一約束期間に限っては市場で調達したほうが得。)
2 貴社の販売計画が分かれば、それに伴うCO2増加量がある程度算定でき、そうすれば1単位辺りの削減コストが計算可だが、実質的に製品生産時の限界CO2発生量など計算不可(手間) 従い、変動費部分は特に考えずに、生産量が変化しないとして、当該技術の削減コストを計算。これを並べても生産量が増加したときと大差なしとする。実際は生産量が増えればCO2限界削減費用は下がることが予想されますが、それほど劇的に下がることはないのではないでしょうか。

ただ、第一約束期間の後、どうなるかということを考え出すと難しくなると思います。第一約束期間はETで調達して、その後に更に同様の削減が必要になり、自社投資で賄うと第一、第二を通じた平均の削減費用は最小化出来ない可能性がありますよね。
また、御社の(かぶせられたとして)キャップの総量によっても、社外調達の方が安いかどうかの比較も出来ないということもあります。
答えになっていませんが、幾つかのシナリオに従って削減費用を計算する必要があるかと思います。

更に貴見頂けると幸いです。

回答に対するお礼・補足

ご回答たいへんありがとうございました。
1については,特に設備投資を伴う自社削減はリードタイムの問題から,費用分析にあたって期間設定をする必要があるということですね。まずは2012年までにアウトプットが見込める選択肢を抽出し,その期間でかかる費用を分析するのがよさそうですね。
2については,販売計画からある程度排出量予測ができると思います。それを用いて排出量ギャップ(削減必要量)をシナリオ別に算出することは可能ですので,それを使って分析ができそうです。

2012年以降については,制度の不確実性が高すぎるあまり世界的にもカーボン市場の動きは少ないですよね。費用分析についてはとりあえず2012年までを目安に行おうと思っています。

1つの懸念は,実際にコスト分析を行うと,自社削減は市場調達と比較して極めてコスト高という結果が予想されます。その場合にどんなフレームワークで意思決定をするかというのも問題ですよね,つまりコストだけでは企業は行動できない,ということになりますよね。また,安い順番に並べることはできても,採算性を考えると「ペイしない」投資ばかりになるという可能性もあります。 これからも調査をつづけますので,また迷ったときはご意見をいただければとても助かります。
どうもありがとうございました!

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